英語を自由自在に操り、グローバルに活躍される岩崎日出俊さん。高校時代のアメリカ留学に始まり、スタンフォード大学のビジネススクール留学、海外の企業との取引、外資系企業での勤務などから得たものは? 英語の学習法は?岩崎日出俊さんの著書『残酷な20年後の世界を見据えて働くということ』を読んで、どうしてもお会いしたいと取材をお願いしたレアジョブ新入社員の中沢亮太がお話を伺いました。
72億人がいる世界に活躍の場を広げる
Q:岩崎日出俊さんの著書『残酷な20年後の世界を見据えて働くということ』を拝読して、私自身は自分の将来にとても危機感を覚えました。私と同年代の若い方から、どんな反響があったかを教えていただけますか?
この本は「がんばれば何とかなる」という内容ですから、参考になったという人と、本当の意味で若い人の悩みを理解していないという人にはっきり分かれた気がします。ニートをはじめ、できることなら、学校にも行きたくないし、社会に活躍の場を求めていないという層の人たちには、「何を言っているんだ?」と受け取られているのかもしれません。
今の日本の社会では、50代や60代がこれまでに活躍をし、その結果、現在では会社でそれほど働かなくても高収入を得られる仕組みが出来上がっているわけです。同じ職場でそれを見ていて、自分たちばかり働かされる、理不尽なことばかり言われると、嫌になってしまう若者も当然います。著者として、その気持ちをつかみきれているか?と言われれば、十分ではなかったかもしれません。
Q:岩崎日出俊さんご自身が今の若者に一番伝えたいメッセージはどのようなことだったのでしょう?
世界の人口は今や72億人、日本は1億2,000万人です。それなら、72億人がいる世界へ飛び出して、活躍の場を広げ、いろいろな経験を積んだほうがずっといいと思いますよ。例えば、世界に一歩出れば、インド人、中国人、アメリカ人、イギリス人と、「すごい」と感じられる人たちと巡り会います。一緒に仕事していると、日本での経験をはるかに超えられることがたくさんあります。
モルガン銀行のCEOだったデニス・ウェザーストーン氏はイギリス人ですが、実は16歳で簿記係として入行、もちろん大学も卒業していません。しかし、そこからトレーダーとして活躍、CEOまで上り詰めました。日本の銀行では考えられません。年功序列の今の仕組みでは、世界との距離は広がるばかりです。今や、日本企業だとか、外資企業だとかにとらわれる時代ではないと思います。そのときに、自分が活躍できる場、何ができるのかをよく考えて、世界の人々を相手に切磋琢磨していく姿勢が重要だと思います。
私にとってのメルクマールは、高校時代アメリカに留学したときのアメリカ人やヨーロッパ人の仲間です。あのときにもし日本に戻らず、アメリカに留まっていたら、私はどうしていただろう?と考えると、自分の足りないところが見えてくるんです。高い倍率を勝ち抜いて日本企業に就職したからといって、その周りだけを見て、同期で1番を狙うことに意味はありません。
目的に向かって集中すれば、英語学習の結果はついてくる
Q:高校時代の留学のお話が出ましたが、それが岩崎日出俊さんと英語の出合いになるのですか?
はい。中学までは公立校でしたが、けっして英語が得意ではありませんでした。高校に入学当時は、ほとんど英語は話せませんでしたよ。高校入学後のクラブ見学で、ESSを覗いたら、帰国子女とAFS(高校留学・国際交流を推進する世界的な非営利団体による留学制度)から戻ってきた人が多く、みんなペラペラと英語を話していましてね。先日約40年ぶりにESSの会合で当時の先輩と話したら、「当時は、英語が話せると女子校との交流会でモテるから入部した」なんて言っていましたけどね(笑)。
高校2年生のときに、AFSの試験に受かって、高3の夏から1年間、アメリカへ留学しました。アメリカの学校は、8・4年制なので、いわゆる高校4年、ハイスクールの最終学年に編入しました。ハイスクールを卒業するのに必要なアメリカの歴史などの必修科目を取って卒業、帰国後は日本の高校3年に戻って、こちらも卒業しました。
Q:高校入学時はあまり英語が得意ではなかった岩崎日出俊さんが、高校2年のときには、難関であるAFSの試験を突破されています。どのように英語を勉強されたのでしょう。
確かに難しい試験だったようです。私のときに合格したのは、男子は東京で7人でしたからね。英語は、松本亨先生のラジオ「NHK英語会話」を毎回、テープレコーダーで録音して、繰り返し聞いていました。松本亨先生の英会話のスキットはとてもおもしろくて、今でも覚えていて話すことができますよ。もうひとつは、リンガフォンを買って、レコードを聞いていました。英語の発音がとてもわかりやすかったんです。ひたすら聞いていました。基本的にはその二つだけです。
高校の授業はあまり役に立ちませんでしたね。
英語の勉強でもうひとつ大切なことは、集中することです。だらだらやっていては効果がありません。「1時間やったからいい」「これだけ勉強したからいいことにしよう」など、英語を勉強すること自体を目的にしてはいけません。私の場合は、「どうしてもAFSの試験に合格してアメリカに行きたい」という気持ちを強く持っていたので、集中できたのだと思います。そういう強い気持ちを持っていれば、自ずと結果はついてきます。そして、取得した英語を使い続けることも大切です。
Q:岩崎日出俊さんはアメリカ留学を終えて、日本の大学に進学されました。日本ではどのような形で英語を使われていたのですか?
決して裕福な家庭ではなかったので、大学時代は英語を使って、通訳案内士、ガイドのアルバイトをしていました。英検1級合格後すぐに資格試験を受けました。外国人を空港でピックアップして、ホテルに案内し、部屋割りを決めたり、箱根や日光、ときには瀬戸内海まで案内したりすることもありましたよ。当時は英語の通訳やガイドをする人はそれほど多くなかったので、仕事には困りませんでした。給料以外にチップももらえたので、社会人になってからより、稼いでいたくらいです。
通訳案内士の試験は、とても難しく、英語が話せるだけでは通用しないのです。日本人と違って、外国人はいろいろなことに興味を持って、質問してきます。今のようにスマホでパッと調べるということはできませんからね。
世界を変える勢いで活躍する人材と肩を並べて
Q:その後、岩崎日出俊さんは、スタンフォード大学のビジネススクールに留学されることになります。
自分が活躍できる場を考えて、最初は外交官になりたいと思っていました。実際に試験も受けたのですが、途中で自分が活躍できる場ではない気がしてきたんです。英語を含め、まだまだ勉強したい気持ちが強かったので、留学制度が充実している日本興業銀行に入行し、入行した年の5月には留学生試験を受けました。今考えてみると、4月に入行したばかりの海のものとも山のものともわからない新入職員に門戸が開かれていて、受かったら戻らなくてもいいという珍しい銀行でしたね。
とはいえ、仕事をしながらの留学受験準備はとても大変でした。TOEFLと、GMAT(Graduate Management Admission Test、ビジネススクールへの入学希望者を対象に行われる入学適性テスト)で、ある程度の点数をとらなくてはならないんです。どんなに英語が話せる人でも受験勉強していないと点数がとれませんからね。
朝9時から夜10時まで働いて、それから勉強するので、毎晩寝るのは午前2時、寝る間も惜しんで勉強しました。しかし何より大変だったのは、スタンフォード大学への志望理由を述べるエッセイでした。
Q:試験官は、そのエッセイからスタンフォード大学の求める人物像を探すのですね。
スタンフォード大学のビジネススクールでは、毎年350人程度の合格者を採るのですが、「その中からひとりでも世界を変えるような人材を」と学長も話しています。スタンフォードの卒業生のなかには、(学部は違いますが)グーグル創業者であるラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、あるいは私のビジネススクールの同級生で、著名な投資家ビノッド・コスラーなど、グローバルに活躍している人がいます。大学は彼らの素地をエッセイから読み取るのです。私はただ自分のことを正直に書いただけでしたが、試験官が認めてくれて入学が許可されました。
大学は、おそらく受験生にどのくらいポテンシャルがあるかを見ています。そういった意味では、海外には厳しい境遇の中で、小さい時からいろいろな経験を積んできている人たちがたくさんいます。私の友人で、共産圏だった当時のユーゴスラビア出身の人は、幼いころ家族と一緒に自分の国から抜け出すために、真夜中に対岸まで川を潜って渡ったと言います。そのとき国境警備隊の撃った銃の弾が自分のすぐ近くをかすったとか・・。そういう経験を持っている人のほうが、それからの一生を大切に考えるのだと思います。今の日本人は裕福になりすぎているから、ビジネススクール受験に際してはアピールの面で少し不利かもしれませんね。
Q:スタンフォード大学時代の岩崎日出俊さんの学校生活をお話しいただけますか?
授業についていくだけで精いっぱいでした。思い切りプレッシャーをかけられ、卒業できない可能性もありましたからね。何しろ最初の学期をクリアするのが大変です。夜、心配で、目が冴えてしまって寝付けないことも、しょっちゅうありました。
特に私も含めて日本人は、英語は話せても、読む速度が圧倒的に遅いんですね。「この本を読んで1時間後にディスカッションをしなさい」なんていう授業もありましたが、間に合わず、ディスカッションに参加できないこともありましたよ。英語を読むことの重要性をつくづく感じましたね。
Q:岩崎日出俊さんは、2年の留学期間を経て、日本興業銀行に戻られました。
入社してたった1年でアメリカに送り出してくれた興銀に恩義を感じていましたから。外国為替部を皮切りに、シカゴ駐在員事務所、審査部、営業3部、企業投資情報部の副部長と、通算22年勤務しました。
その後、J.P.モルガン、メリルリンチ、リーマンブラザーズといった外資系の投資銀行を経て、今に至っています。
バックグラウンドの違う外国人に寛容な気持ちをもつ
Q:グローバルに活躍されてきた岩崎日出俊さんが、たくさんの外国人の方と交流するにあたって心がけてきたことを教えてください。
国が違うとそのバックグラウンドも違ってくるので、考え方や文化も多様になります。ですから、相手や彼らを取り巻く環境を理解し、認める寛容な気持ちが必要になってきます。それが相手の立場を尊重することにつながっていくのです。
一方、私たちも日本人としてのバックグラウンドを、外国の人たちに理解してもらえるように、日本のことを勉強して、英語でも説明できるようにしておかなければいけません。
Q:岩崎日出俊さんが交流されてきた外国の方の目には、日本人はどのように映っていると思われますか?
外国の方は、企業買収や合併も、迷わずどんどん決定していきます。動きが速いんですね。外資系投資銀行に勤めていたときの話ですが、私が顧客としていた日本企業は、「そういうことも考えなきゃいけないんだよね」と言うだけで終わってしまうケースがほとんどですから、実績を上げるのはとても大変でした。「日本でマクドナルドに行ってハンバーガーを注文したら、受付の女の子は上司と相談しますって言わなかったから、ハンバーガーがすぐに出てきたよ」というジョークがあるくらい、アメリカ人は日本人がなかなか決断しないことも、アメリカで稼ぐような形で稼げない日本のマーケットも理解しています。
私が高校時代にアメリカに留学していた1970年代、そして1980年代は「日本人は礼儀正しく、思いやりの気持ちを持っている、politeだ」といわれていました。しかし、バブルが終わった頃から、「arrogant、傲慢だ」に変わってしまいました。海外を見下したり、自分は偉いんだという感じの人が増えてきたからでしょう。「polite」は、間違いなく強みでしたから、またそちらに戻していかないと、この先大変なことになっていくと思います。
世界の人が理解できる英語を話せる素地を作る
Q:グローバル化に伴い、英語を公用語化する日本企業も出てきました。
それなりに意味があることだとは思うのですが、海外の会社には、公用語はありませんよ。その国の言葉がわからない人がひとりでもいたら、「みんながわかる言葉で話そうね」というだけのことですから。今日のように日本人が4人集まったときは、日本語で話すのは当たり前ですよね。それがアメリカ人であっても、スペイン人であっても、自国語で話していると思いますよ。それをあえて「英語で話そうね」と言わなくてもいいんじゃないかなぁ。
もしここにひとりでも日本語がわからない外国人がいたとしたら、みんなが理解できる言葉で話そうということになりますよね。どの外資系でも、公用語は英語と決めなくても、自然にそうしていました。日本語がわからない人がいるときに、日本語で話すのは、失礼なことだと思いませんか。英語でコミュニケーションをとれる素地が必要な時代になりつつあるんですね。
Q:レアジョブ英会話を利用されている方に、岩崎日出俊さんからアドバイスをお願いします。
語学の上達には、その言葉を使うことがとても重要になります。英語は使えば使うほど、上達します。ですから、「レアジョブ英会話を使いまくれ」ということでしょうか。高校時代に留学したときに、「英語が上手になりたかったらデートしなさい」とよく言われたものです。デートを想定して反復練習し、彼女を迎えに行くわけです。あるとき、私はデート相手の女性の自宅に迎えにいったのですが、彼女のお父さんが出てきて居間に通されました。「娘は2階で支度をしている」と言われ、彼女の支度を待つ間、お父さんと英語で話をするのです。その彼女のお父さんは弁護士で、まるで面接しているみたいでした(笑)。そうやって必死に英語を身につけてきたんです。必要に迫られれば、英語は必ず上達しますよ。レアジョブ英会話で、英語を使えば使うほど、上達すると思います。そして、世界に目を向けて、広い視野を持って、活躍の場を広げてください。
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