CIEEの成り立ちとTOEFL®テストの誕生
国際教育交換協議会(CIEE)は米国CIEEというNPOの日本支部で、TOEFLテスト日本事務局と国際教育交流事業を行っています。CIEEは第二次世界大戦後の1947年、2度にわたる世界大戦という大きな戦争が起こったのは互いの理解不足欠如が原因であったという反省に基づき、若者の国際交流を通じて米国と他国の理解促進を図る目的で設立されました。CIEEの理念を紹介します。
“To help people gain understanding, acquire knowledge and develop skills for living in a globally interdependent and culturally diverse world.
世界はお互いに依存している一方で、文化的には多種多様に異なっています。その中で生きてゆくすべとして、国際理解を深め、知識を蓄え、スキル・能力を向上させる手助けをする“
CIEE日本代表部は1965年に設立され、今年50周年を迎えました。日本代表部では国際教育交流の促進と、米国非営利教育団体であるEducational Testing Service (ETS)との契約によるTOEFLテスト日本事務局事業を柱に活動しており、現在、TOEFLテスト日本事務局としはTOEFL iBT®テストの広報活動、団体向けのTOEFL ITP®テストの実施運営、教育者向けライティング指導ツールであるCriterion®やETSが開発するTOEFLテスト公式教材の提供を行っています。
CIEE日本代表部のユニークな点は、同じ団体の中で国際教育交流とTOEFLテスト事務局が共存している点です。世界中の大学で知られている国際教育交流事業と米国をはじめとする海外留学に必ず必要なTOEFLテストの事務局事業が同じ団体内で行われることにより、国際理解を高め、知識を蓄え、スキル・能力を向上させるという理念を実現できるのです。
TOEFL®テストの概要
TOEFL テスト(Test of English as a Foreign Language)は、1964年に英語を母国語としない人々の英語コミュニケーション能力を測るテストとして、ETSにより開発されました。大学のキャンパスや教室といった実生活でのコミュニケーションに必要な、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4つの技能を総合的に測定します。
TOEFLテストは世界中の英語運用能力試験の中で、最も幅広い国々で受け入れられているテストです。アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダのほぼ全ての大学をはじめとした、130カ国9,000以上の機関が、TOEFLテストスコアを英語能力の証明、入学、奨学金、卒業の基準として利用しています。TOEFLテストは、世界中でこれまでに約3,000万人以上が受験しています。
日本では教育機関等での学内単位認定や、入試優遇、海外派遣選考の目安として利用されています。
現在実施されているTOEFL iBTテストは、大学の授業で実際に使う英語能力を測ります。このテストでは、授業と同じように、受験者が教科書を読んだり、講義を聞いたりした後、その内容をもとに話したり書いたりします。テストは 100% 学術的な設問や課題で構成されるため、多くの大学で入学選考に最適なテストと考えられています。
また、TOEFL iBTテストでは、例えばスピーキングセクションにおいて1 人の採点官が評価するのではなく、スピーキングの解答を録音して 複数の採点官が評価するなど、スコアの客観性と信頼性が保証されます。
さらに、スピーキング、ライティングセクションの採点には採点基準表(Rubrics)が用いられ、ETSはこの基準表を公表しています。採点基準が公表されていることで、なぜそのスコアが付けられたのか、スコアを伸ばすためには何が足りないのかなどを明確に知ることができます。
TOEFL iBT®テストに向けて英語を勉強することの意味
TOEFL iBTテストは、1964年から続いてきたペーパー版TOEFLテスト、1998年から提供されたコンピュータ版TOEFLテストを経て、2005年から新しく始まったインターネット版TOEFLテストのことです。リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの各能力を直接測定する他、スピーキングセクションには読んで聞いて口頭で答える、ライティングセクションには読んで聞いて解答を記述する、という「Integrated Task」と呼ばれる設問があります。
ETSは、英語圏の大学に留学する学生に必要とされる英語力を効果的に測定するために、またTOEFLテストに向けて学習し、スコアを取得した学生が実際の留学生活で困ることがないよう、テストの出題形式に改良を加えてきました。
その中で、スピーキングとライティングの能力を直接測定すること、また、Integrated Taskを設定することにより、テストの出題内容が実際の学生生活を疑似化したものになっており、テストに向けた学習がそのまま留学生活において必要な英語力の獲得につながっていると言えるでしょう。
日本人のTOEFL®テストスコアはもっと高くてもいい
さて、新聞やインターネットのニュースで日本人の英語力について報道される際、世界のTOEFLテストスコアランキングが参考資料として紹介されることがよくあります。ETSは世界におけるTOEFLテストスコアデータサマリー(http://www.cieej.or.jp/toefl/toefl/data4.html)を発表しており、各国の平均スコアも公表しています。ちなみに2014年のサマリーによると日本人の平均スコアは70点(リーディング18点、リスニング17点、スピーキング17点、ライティング18点)で、全受験者の平均80点(リーディング20.0点、リスニング19.7点、スピーキング20.2点、ライティング20.3点)を下回る状況となっています。
ETSがこのレポートを発表する意味は、あくまでテストの受験者や大学などのスコア活用団体に対するデータ提供のためであり、これらのスコアが各国の英語力を反映している、というわけではありません。なぜなら、受験者数や受験者の母集団は国によって異なるからです。経済的に恵まれていない国では、海外留学を検討することができるのはとても限られた人たちである、といったように各国の置かれた状況が異なるので、平均スコアを比較し、その国の英語力の高低を議論することはできません。
日本人のTOEFLテストスコアについてETSと話をしたことがあります。ETSによると、日本人のTOEFLテストスコアはもっと高くてもいいはずだ、ということでした。なぜならば、日本は先進国であり、義務教育をはじめとする教育制度が国家全体として整備されており、国民全体に英語学習の機会があるからです。このコメントを逆説的に理解すると、正しい方向性に向けてトレーニングを重ねれば、もっと英語力が高まるということではないかと私は考えるのです。
留学に必要な英語を話せるようになるために、何に取り組むか
「日本人は英語が話せない」とよく言われます。私は、日本人が英語を話せない理由は話すためのトレーニングを積んでいないからであると考えます。特に、TOEFLテストのスピーキングで高いスコアをとれるということは、海外の英語で授業を行う大学においてディスカッションをしたり、教授との質疑応答ができたりするということを意味します。日本の教育制度では、こういった状況にのぞむための訓練はあまり行われていませんね。ロジカル・ライティングやプレゼンテーションは段階を踏んだ練習を積んで、場に慣れていけば誰でも一定水準にたどり着くことができる「スキル」です。アメリカの小・中・高校ではスピーチというクラスがあり、人前でロジカルに話す、自分の考えをまとめて相手に伝える、ということに早い段階から取り組みます。
日本のTOEFLテスト受験者に話を聞くと、「こんな難しい課題に対して意見を言うなんて、日本語でもできない」と言われることがよくあります。日本の教育制度は少しずつ変わりつつありますが、日本の学校では、母語である日本語でも人前で話したり自分の考えを披露したりするという機会が少ないのが実情です。母語でもこのような訓練が行えていれば、英語力を高めることにより英語で同じことをできるようになるのはもっと容易になるはずです。
英語で自分の考えを述べる訓練を行う場合、考えを聞いてフィードバックしてくれる相手が必要です。アンケートによるとTOEFLテストの受験者は独学で受験準備を行う傾向が高いようですが、特にスピーキングに関しては、フィードバックをもらえる環境を創り出すことが上達の秘訣でしょう。オンライン英会話を活用したTOEFLテストスピーキングの練習は、一つのソリューションですね。
TOEFL®テストに向けた勉強を通じて「学のある英語」を手に入れよう
30年前に比べ、学ばなくてはいけないことは増大し、学びの種類は多様化しています。グローバル化が進む環境において、若い方々がこれから仕事を共にする相手は、中国やアジア各国のMBAホルダーや博士号を持つ人たちです。そういった人たちと伍して仕事を進めていくときに、最低限のコミュニケーションが取れるだけの英語力では心もとないと思うことでしょう。グローバルな社交の場では、会議の合間のおしゃべりも重要な役割を果たします。仕事の話は当然として、仕事以外でも例えば相手方の国の歴史や文化、文化の背景にある思想や宗教について英語で理解できる知識を持ち、相手のバックグラウンドを汲み取れることがビジネスを成功させる上で大きな役割を果たします。仕事以外に話すことが無い人は、あまり尊敬されません。教養というファンダメンタルな基礎力があれば、いったん社会に出た後であっても、たとえばインターネットを通じて世界中の一流大学の講義を聴講するといった方法で自分の力を高めることができます。
TOEFLテストはそういった、ファンダメンタルな英語力を養うために活用できる有力なツールです。TOEFLテストを通じて「学のある英語」を身につけることにより、自分の人生の可能性を大きく広げることができるのです。
海外に出るという経験を通じて世界で活躍する力を身につける
現代は、インターネットを通じて世界中の情報を入手することができます。しかし、私は特に大学生の間に海外に出るという経験をすることを強くおすすめします。「匂い」「食らい」「歩き回り」「人と話す」ことによって見えてくるものが必ずそこにはあります。英語の学習と海外に出ることは世界で活躍するための二つの大きな柱であり、両方に取り組むべきだと考えます。CIEEのミッションとしてお伝えしたとおり、これからグローバルな社会を生きていくにあたり、相手の文化を知り、理解し、受け入れることが仕事を進める上で必須となります。たとえ日本企業で働いても、上司も部下も同僚も日本人ではないという環境が当たり前になっていきます。その中で自分のアイデンティティを確立し、他者と自分の違いを理解し、受け入れた上で、ともに尊重し合うために、英語力と海外経験を積んで、多くの日本人が世界で活躍してほしいと願っています。
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