あなたのやりたいことは日本になくても世界のどこかにある/ミニット アジア パシフィック代表取締役社長 迫俊亮さん

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ミニット アジア パシフィック代表取締役社長 迫 俊亮さん

kato 聞き手:株式会社レアジョブCEO 加藤智久

20代経営者の現場との信頼関係づくり

Q:迫俊亮さんは20代という若さで創業者ではない経営者、という特別な立ち位置にいますが、最も心がけているのはどのような点ですか。

社員との信頼関係を築くことから始める、ということです。経営者として何か自分がやりたいことがあったとしても、社員との信頼関係がなければ「スーツ着て現場がわかっていないことを言う奴」と見なされて終わってしまいます。形だけ実行されてもPDCAが回らず、自分の経営の目的を達成することができません。300店舗もあると最低ひと月、ふた月はかかりますが、社員と同じ目線でのコミュニケーションを最重視しています。

Q:社員とコミュニケーションをとる中で何かエピソードがあれば教えてください。

社員との信頼関係の作り方は「お国柄」「文化」によって異なります。海外事業統括部長として採用され、そのあと営業本部長を経て社長になりました。入社直後にまず見た海外事業では、オーストラリア・ニュージーランドも管轄範囲に入っていました。初めてオーストラリアに行ったとき、2メートル近い大男たちに囲まれ、若い日本人で自分のような者は軽く見られてしまいがちでした。しかし、そこで役立ったのが日本で言う「飲み」でした。オーストラリアはもともとイギリス系の文化背景を持つ地域なので「飲み」文化 があります。「男は黙ってジャック・ダニエル」みたいな(笑)。そこで、初めて行った時に飲み比べを始めたら、お互いテキーラを40杯ずつまで飲み、最後はふらふらになりました。で、翌日出社すると、スタッフはなぜかフレンドリーになっていたんです。国によってコアなところは違わない、今はそう思います。社員たちが嫌うのは、スーツを着てネクタイを締めて上から目線で偉そうに命令すること。その感覚は世界共通です。表現の仕方は国や文化によって異なります。オーストラリアやニュージーランドはお話ししたような「飲み」の文化ですし、華僑が多いシンガポールやマレーシアでは、家族のつながりが強いので店舗に行って家族の話を聞くといった感じです。日本は現場感をとても大切にしているので店舗回りをしっかりすることや、現場のやりたいことを徹底的にヒアリングすることが重要です。現場とのコミュニケーションが経営者として結果を出すために必要不可欠だと考え、行動しています。

初めての成功体験「英語」との出会い

Q:迫俊亮さんの英語との出会いはどのようなものでしたか?

私は高校生の時まで「何かをがんばった」と思える経験がありませんでした。勉強を一生懸命やっていたわけでもなく、スポーツも、入っていたサッカー部を辞めてしまいいわゆる「帰宅部」でした。あるとき「自分の人生このままじゃだめだ」という思いが湧き出てきて、何かやらなくてはという気持ちになったんです。

Q:意外です。迫俊亮さんは順調に人生を歩んできたイメージがありました。

迫さんの英語との出会い

高校時代まではいわゆる成功体験というものは全くありませんでした。偏差値50前後の高校にいて成績もよくない。昔の友人は悪い先輩たちとつるみだしてもいたのですが、それは見ていても決して楽しそうに思えなかった。先輩からいわゆる「シメられる」こともあるし、なによりやることがない。でもこのままだと自分もそうなってしまう。何かに一生懸命になりたい。そう思ったとき、思い浮かんだんのが「格闘技」と「英語」でした。家族で海外旅行に行ったことがあってそれが楽しかったという思い出と、当時流行していた海外ドラマ「ビバリーヒルズ青春白書」を見て単純に「カッコイイ」と思ったことがきっかけです。「格闘技」だと競技一本だけど、「英語」を頑張れば受験や他のことにも役に立つかな、というぐらいの軽い気持ちで英会話教室に入学したのが私の英語との出会いです。

Q:英会話教室をどのように活用したのですか?

私が通ったのは 「駅前留学」のNOVAです。行ったこともある方は多いと思いますが、週に1回のごく普通のグループレッスンです。入った時の私の英語の偏差値は20、NOVAでいうレベル8でした。そして私が最終的にたどりついたのは「予習9割復習1割」という学習配分です。この学習配分により、周囲の人は特に伸びていないのに自分だけ英語力が伸びたと実感しています。

Q:オンライン英会話でも予習復習をする方ほど英語力が伸びる傾向があります。予習復習のやりかたを詳しく教えてください。

予習としては、「テキストの単語の意味を事前に調べる」「テキストの内容をシャドウイングして暗記する」という内容です。特にセンテンス(文章)レベルでの暗記を相当数こなしたと思います。単語レベルでの暗記ではなく、文章をまるごと暗記してしまえば、そのまま会話で使うことができます。ですから暗記した文章をレッスンの中で先生に試す、というやり方でレッスン中の会話量を増やしていくことができました。一方復習は、覚えていったはずなのに忘れてしまいレッスン中に言えなかった表現や、「もっとこういう言い方もあるよ」と教えてもらった表現などをさらに覚えていきました。オンライン英会話でも必要な予習復習は同じだと思います。

Q:英会話のレッスンを受けることのメリットはどのようなことだと思いますか?

英会話のレッスンを受けること のメリット

週1回のレッスンだけで英語を話せるようになるということはありません。外国人の先生ができることは「発音のお手本になる」「同じような意味を持つ別の表現をたくさん知っている」ことです。自分で編み出した英語カリキュラムの中にレッスンの強みを取り入れるために、外国人の先生が得意でない、たとえば単語の意味を説明することなどには時間を極力使わないように予習を組み立てました。レッスンの時間はフルに先生の得意なことを吸収できるようにしたのです。その結果、先ほどお話しした「予習9割復習1割」というスタイルが確立していきました。
英会話ができるようになっていったことで、人生で初めて「成功体験」を感じることができるようになりました。自分の能力が伸びていくという、初めての体験です。そのことがとても楽しかったという記憶があります。

アメリカ人よりも英語ができるようになりたい

Q:その後アメリカに留学された時には、どのように学習していたのですか?

留学して「アメリカ人よりも英語ができるようになる」と心に決めました。スピーキングは途中で無理だと気づきましたが、リーディングとライティングは実際にそうなったと思います。
数ヶ月間、アメリカで語学学校に通った後、アメリカのカレッジに行きました。アメリカの授業ではエッセイを提出するという課題がありますが、1週間ある提出期限のところ、毎日教授に提出しに行ったんです。教授に提出して見てもらい添削してもらう、修正したものをまたその翌日に提出して添削してもらう、それを毎日続ける、このやり方を2年間続けたんです。成績は常に「A」でしたが、それは当たり前です。採点する教授が5回も6回も添削したものは、よい点がつくに決まっているからです。この繰り返しにより、ライティング力が飛躍的に伸びました。
アメリカの授業でのアカデミックライティングは論理構造がはっきりしており、「書くこと」は「考えること」に通じています。アカデミックライティングを極めることは思考力を鍛えることになり、脳を鍛えることができたと感じています。

Q:アメリカ人に勝ったと思った瞬間はどんな時ですか?

先ほどのライティングでも常にアメリカ人に負けない成績がとれるようになりましたが、リーディングのクラスでも教授からアカデミックリーディングにおける「読み方」を習い、アメリカ人に負けない速さで読むことができ、ポイントを理解してサマリーを書くことができるようになりました。その結果、アメリカの大学でアメリカ人に勉強を教える立場であるイングリッシュチューターに選ばれたんです。やればやるほどできるようになっていく体験は楽しく、そしてアメリカ人に負けないと決めたその通りになったことは大きな成功体験になりました。

Q:アメリカでそこまで勉強に打ち込めたのはなぜだと思いますか?

アメリカ人よりも英語ができるようになりたい

日本の学校では自分の考えや意見を言うと先生に嫌がられて「そんなこと言う前にこれを暗記しろ」などと言われていました。だから、全く勉強に興味を持てないまますごしていました。アメリカに行くとむしろ逆で、本に書いてあることをうのみにせず、考えて自分の意見を述べることが賞賛されるんです。自分の意見が求められている、そのことが楽しくなって、勉強にはまっていきました。日本の学校よりもアメリカの学校が合っていたのだと思います。カレッジで、「君は社会学といった考える学問に向いているからUCLAに行きなさい」と言ってくれた先生がいて、人生が開けたように思います。日本では自分のことを認めてくれる先生はいなかったのに、アメリカで自分の素質を見出してくれて学問を勧めてくれる人がいたことが自信になり、その後の道筋につながったと思います。

ドメスティックな産業こそ英語が役立つ

Q:アメリカでの学問との出会い、そして三菱商事、マザーハウスでの経験を経てプロの経営者として活躍していますが、これまでの選択における行動原理のようなものはありますか?

周囲の目を気にせず自分の好きなことをやったことだと思います。自分の好きなことをやり続けたことによって、自分の経歴が「他の誰でもない」ものになりました。今の会社の海外事業統括部長として採用されたのも、英語ができ、海外マーケティング経験があり、しかもそれがアパレルの分野だという、なかなかない経歴だからです。競争戦略では、競争の少ないところに行くのが基本です。好きなことの中でも何かを選ぶ機会があれば、競争が少なく価値がありそうなものを選んできたかもしれません。「やりたいこと」×「需要がある」×「結果を出せる」という組み合わせで選択してきた結果として、今の状況があるかもしれませんね。

Q:今の仕事の中で英語の位置づけはどのようなものですか?

今の仕事の中で英語の位置づけ

英語はやれば誰でもできるスキルです。そして、マストな基礎セットの一つであると考えています。今の事業で考えると、各国のマーケットは国内にありますが、成功事例は海外にあることが多いんです。例えばイギリスの同業の会社で経営がうまくいっているようならば、その会社を訪問する。よい事例を見つけて真似すべき点を取り入れる。そういった情報が日本国内だけでなく世界中から探せるということは有利です。
この業界ではまだ海外に目を向けている経営者は多くありません。「タイムマシン経営」という言葉がありますが、この業界ではまだ、海外で流行っているもの、うまくいっているものを取り入れれば日本で成功する余地があります。

Q:内需産業でも英語は必要ということですね。

当社の事業は典型的な内需産業で、今盛り上がっている「インバウンド」でもありません。それでも、世界中から役に立つ情報を集めれば、たとえば部品調達で国内よりも海外の方がよい部材があることに気づき、導入するといったことも可能となります。今当社では日本のものよりも安価で、ヨーロッパのハイブランドが使っているような部材を輸入して取り入れていますが、そういった動きも英語ができるからこそできることですね。
すでにグローバルな業界では、こういった差分を作ることは難しいかもしれません。ドメスティックな業界だからこそ英語でできること、それを経営者である自分が判断して実行することを心がけています。そして、日本で成功した事例を別の国で展開するときにも英語を役立てています。

理由がなくても飛び込んでみよう

Q:英語学習者に対するメッセージをお願いします。

日本人はまじめな人が多く、何か行動をするのに「理由」を求めます。「好きだから」「おもしろそうだから」それだけで行動するのはいけないことのように思われてしまいがちです。自分のやりたいことがまだ見つかっていないとしても、やりたいことは日本にはないかもしれないけれども世界中を探せばどこかにあるかもしれません。経営者になりたいのなら、1億人のマーケットから探すのではなく、100億人のマーケットから探せばいいと思います。そうでない方にとっても、自分が興味を持てることを、世界中の情報からやりたいことを見つけることができるなら、その方が絶対に楽しい。
「おもしろそう」と思って飛び込んで何かをやってみると、そこから見えてくるものが必ずあります。理由がなくてもまずは行動してみる、そこから新しい世界が開けてくるはずです。英語は必ず大きなきっかけになりますよ。

レアジョブCEO加藤智久と
迫俊亮さん(写真右)とレアジョブCEO加藤智久(写真左)
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