英語教育のキャリアアップを目指そうと考えている場合、または、これから転職を考えていたりする場合、TESOLという言葉を聞いたことのある人は多いでしょう。求人情報を見ていて、応募条件に「TESOL修了者歓迎」などと書かれているのを見たことのある人もいるのではないでしょうか。しかし、言葉は知っていても、それが何を指すのかいまいちはっきりしない人もいるかもしれません。そこで今回の記事では、そのような方のためにTESOLについて詳しく解説していきます。
TESOL=「ある人たち」のための英語教授法
ティーソル、あるいはテソルとも呼ばれるTESOL。まずはTESOLが一体どういうものなのか、その概要を確認していきましょう。
TESOLとは英語教育に関する学問領域のこと
TESOLとは’Teaching English to Speakers of Other Languages’の頭文字をとったものです。つまり、「英語以外を母国語とする人たちのための英語指導」ということです。例えば日本人や韓国人、中国人、スペイン人、イタリア人など、「母国語が英語以外の人」は全員対象となります。そのターゲット層に対し、どういった指導方法が適切なのか?を研究する学問のことをTESOLといいます。
研究は世界中で行われている!
上述の通り、TESOLがターゲットとする層は非常に幅広いです。そのため、各言語を母国語とする人たちのために、研究は世界各国で行われています。母国語の違いだけでなく、年齢や環境による違いも考慮して、さまざまな研究が実施されているのです。
例えば「日本人」をターゲットにした研究を調べてみると、「小学生」を対象にしたものもあれば「成人学習者」を対象としている者もあります。学習環境についても「大人数クラス」と「個別指導」、「オンライン指導」と「対面指導」、という風に研究の内容は細かく分かれています。
このように、「英語以外を母国語とする人」の中でもさらに細かくターゲットを絞り、その人たちに有効な指導方法を研究していくのが、TESOLという学問で行われていることです。
TESOL=資格ではない!
しばしば誤解されることなのですが、TESOL自体は資格や免許ではありません。あくまで「学問領域」であり、大学院などでTESOLのコースを受けた場合に得られるものは「学位(degree)」あるいは「証明書(certification)」のみです。教員免許のように、「持っていれば学校で英語教師として働ける」といったものではないのです。
しかし、TESOLは世界的に認められている学問であり、その修了者は日本だけでなく世界で英語教育者として有用な人材とみなされます。特に語学学校や英会話スクールなどでは、TESOL修了者を積極的に採用しているところが少なくありません。
どこで学ぶ?思い切って海外留学!
TESOLは大学や大学院で学ぶことができます。日本国内でもオンラインで受講することはできますが、中には海外の大学院で学ぼうと考えている人もいるでしょう。海外の大学院に行く場合には、どのような選択肢があるのでしょうか。
単位の取得には1~2年
TESOLを開講している大学は世界各地にあります。大学によって、またコースによって変わりますが、すべてを修了するまでに1~2年を要することが一般的です。例えばTESOLの権威と呼ばれるオーストラリアのウーロンゴン大学の大学院では、TESOLには1年半のコースと2年のコースとがあります。一方、イギリスのエディンバラ大学の大学院では1年間ですべて修了するプログラムです。どの長さを選んでも「TESOL修了」という結果自体は同じですが、そこに至るまでの1週間の授業数や1学期あたりの科目数などが変わってきます。
教員経験がアドバンテージになることも
英語の教員免許を取得しており、すでに大学で英語教育について学んだ経験のある人の場合にはその単位がtransfer(置き換え)できることがあります。つまり、本来取るべき単位を免除にすることができるのです。そのため、本来1年半のコースを1年間で修了することも可能です。
ドキドキの入試!…はないところも?!
大学院に進学するにあたり、気になるのは入学のプロセスですよね。入学試験の難易度や受験の方法など知りたい人は多いでしょう。結論から言うと、日本の大学入試のような”テスト”は基本的にはありません。ただ入学までのプロセスについては国によって、大学によって大きく異なります。
例えば先述のオーストラリアのウーロンゴン大学の場合、必要なことは必要書類を揃えて提出するだけです。必要書類は入学願書、身分証明書、大学の卒業証明書と成績証明書、英語テストの結果、収入証明書、CV(簡単な履歴書)といった事務的な書類のみです。面接や筆記試験などはありません。
一方、アメリカのサンフランシスコ大学の場合には上記のような書類に加えて志望動機を書いたエッセイを提出しなければなりません。また、自身をよく知る大学教授などからの推薦状も2通必要です。同じく筆記試験などはありませんが、必要な書類が少し異なります。
大学院留学に求められる英語力とは?
いずれの大学でも、留学生として入学する場合には十分な英語力を有していることを証明する必要があります。英語「を」学ぶのではなく英語「で」学ぶのですから、すでに相応の英語力を持っていなければ入学は認められません。
どのテストを受ける?
英語力を測るテストはいろいろとあり、大学によってどの英語テストの結果を受け入れるかは異なります。しかし、一般的には下記のテストの結果を採用している大学が多いです。
・TOEFL iBT(Test of English as a Foreign Language – internet-based)
・IELTS(International English Language Testing System)
・PTE(Pearson Test of English)
・ケンブリッジ英検
これらのうちいずれかのテストを受験し、必要なスコアに到達する必要があります。
英語スコアの目安
入学時に求められる英語力の目安は「CEFRのC1以上」です。CEFRとは「ヨーロッパ言語共通参照枠」と呼ばれる、言語学習における習熟度を判断するガイドラインです。A1、A2、B1、B2、C1、C2と分けられており、A1が初級者、C2が最上級者となっています。C1、C2レベルは「熟達した言語使用者」とカテゴリー分けされ、複雑な話や抽象的な話もそつなくこなせる、いわゆる「ペラペラ」な人を指します。このレベルに相応するのは、各英語テストで下記のスコア以上の人です。
・TOEFL iBT:95以上
・IELTS:6.5以上
・PTE:76以上
・ケンブリッジ英検:CAE以上
ちなみに、日本人に人気のTOEICは世界的には知名度が低く、スコアを採用している大学はほとんどありません。仮に、上記の英語スコアをTOEICに換算するなら、求められるスコアは満点以上です。
大学院ではどんなことを学ぶ?
このように、TESOLを海外の大学院で学ぶためには入学時にすでに高い英語力が求められます。TESOLでは「英語を使って」英語を教えられるようになるためにカリキュラムが組まれているので、求められる英語力もそれ相応のものなのです。そんなTESOLの現場では、下記のようなことを学びます。
まずはターゲット層の特定から!
前述の通り、TESOLでは特定のターゲット層に対しての英語教授法を研究していきます。そのため、まずは自分が教えたい人はどんな人たちなのか?を定義する必要があります。学習者の母国語、年齢、学習環境などを細かく設定していき、自分の’future students’(未来の生徒)を決めます。それを決めることで、学習者が学習の妨げとなるものを特定しやすくなったり、その解決方法を導きやすくなったりします。
わかりやすい例は発音です。日本人はRとLの発音が苦手ということはよく知られていますが、実は他の言語話者にも苦手な音があります。例えばイタリア語ではHの音は発音されないため、イタリア人が英語を話すときにはHの音を省略してしまう傾向にあります。このように、ターゲット層ごとの特徴を知っていれば、それに応じた学習プランや指導法を考えやすくなるのです。
カリキュラム作成を学ぶ
カリキュラムデザインもTESOLでは非常に重要なエリアです。ターゲット層を特定したら、その人たちに対して「何を」「どれくらいの期間で」教えるのかを決め、それに沿った指導スケジュールを決めなければなりません。その際には、学習スケジュールに影響を及ぼしうるあらゆる要因を考慮しなければなりません。
例えば日本の高校で指導するとしたら、当然ながら日本の学習指導要領は無視できません。学習指導要領のカリキュラムに従いつつも、その中でどう効果的な指導をしていくのか、工夫が求められます。一方、英会話教室で成人学習者に対して教えるなら、もっと自由にカリキュラムデザインができます。しかし、自由ということは裏を返せば自分ですべて決めなければならないということです。さまざまな文献を参照しながら、狙ったターゲット層に響く指導スケジュールを決めなければなりません。
学習エリアごとの指導方法も!
上記のような英語学習全般に関わる知識やスキルを伸ばす授業も多くありますが、もちろん学習エリアごとの指導法を学ぶ科目もあります。スピーキング、リスニング、ライティング、リーディングの4技能について、それぞれどういった指導があるのかを細かく学んでいくのです。
スピーキングに特化した授業を例にとると、まずはスピーキングを強化したい場合にはどんなスキルを伸ばすべきかを学んでいきます。発音はわかりやすい例ですが、他にも文法の知識やボキャブラリー、fluency(流暢さ)など、スピーキングのレベルを上げるために必要な要素はたくさんあります。それらの要素について、自分のターゲット層に効果的な指導方法は何か?を研究していくのです。
TESOLを学んで英語指導のプロになろう!
今回の記事ではTESOL(英語教授法)について詳しく解説してきました。英語指導について体系的かつ非常に細かく学べるので、これから英語指導者を目指す人だけでなく、すでに英語教育に身を置いていて更なるキャリアアップを目指す人にもおすすめです。
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