せっかくやっても効果ゼロ? はまりやすい英語学習の落とし穴

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日本における英語学習ブームの広まりは凄まじいものがあります。毎朝と言っていいほど、新聞の広告欄には次々と英語学習に関する新刊本が紹介されています。高校や大学では「英語コミュニケーション・・・」「グローバル・・・」という名前の学部・学科がここ数年で目立つようになってきました。TOEICのスコアを採用・昇進条件にする企業や、受験・進級条件にする大学が急増しています。このようなトレンドを背景に、昨年度のTOEIC受験者は260万人に達しています。

このような状況から英語学習市場が成長し、多くの英語学習法が生み出されました。しかし、そのような学習法の中には、英語指導者や英語運用能力の高い人たちが口をそろえて「間違っている」「やっても無意味」というものも存在します。今回は多くの日本人がはまってしまいがちな「やっても無意味な英語学習法」についてです。

数回だけ「音読」。ダラダラ「音読」。

「音読しても効果がでません」。このような声はいたるところにありますし、私が実際に指導している生徒たちの中にもこのように感じている人がいます。絶対そんなことはありません。

少し説明します。まず、「3回ほど読めば効果が出る」というような考えを持っている人が多すぎます。3回だけ音読するのであれば、やらないほうがましです。分量にもよりますが、最低でも同じ部分を20~30回は読まなければ何の意味にもなりません。音読の効果を知るには体感するのが一番の近道です。

例えば、TOEICのパート3の会話文を30回、意味をしっかり理解しながら内容を頭に思い浮かべて音読してもらえればわかると思います。最低でも30回です。そして、自分の読んでいる内容が頭に浮かぶようにします。そのあとに音声を聞いてみましょう。30回音読する前とは完全に理解度が変わっているはずです。さらに、二週間後や一カ月後に聞いてください。しっかり音読した箇所だけは理解度が落ちていないことに気づくでしょう。

また、音読の失敗で多いのは、「ただ読むだけ」というものです。読んでいる時に、内容や文構造が理解できていないものを音読しても意味がありません。あと、フニャフニャと気持ちの入ってない声で読んでもダメです。少し大きめくらいがベストです。

音読について付け加えたいことがもう一つ。音読は行った量とその効果は比例しません。例えば、英単語であれば100個、200個、300個・・・という形で覚えていくたびに自分の単語力の向上を感じることができます。しかし、音読はある一定の量をこなすまでは英語力の向上を感じにくいのです。これが挫折する理由の一因になっているのかもしれません。繰り返しになりますが、音読はしっかり行えば最高の英語学習法であることは間違いありません。

あまりにも小さい頃から子供に英語を習わせる

この件については書こうか書くまいか迷いました。多くの人を敵にしてしまいそうだからです。しかし、あえて書かせていただきます。筆者(40代)の同年代の友人の中で、子供への英語教育を始めている人はかなり多くいます。私も立場上よく相談されます。「ネイティブの音声を幼児期に・・・」「〇歳までにLとRの発音を・・・」「小学校でも英語教育が・・・」。今まで聞いてきたことを書き出せばきりがありません。

はっきり書きますが、このような心配は全く不要です。いつも思うことですが、そもそも発音については「ネイティブのように発音する」必要はないと思います。「ネイティブに通じる発音」で十分ではないでしょうか?LとRの発音の違いですが、私は今でも際どいものは判別できません。しかし、そのことで困ったことはないと言っていいでしょう。細かい発音なんて気にすればキリがないです。小学校英語?小学6年生でLet’s play a game.といったレベルです。このために2歳、3歳から英会話学校に通う必要は・・・?と思います。私はそれならサッカーチームやピアノレッスンに通わせる方が、よっぽど子供のためになると思います。

語彙力を軽視した学習

日本人はとにかく楽な英語学習を求めます。その象徴が「暗記のいらない・・・」です。これを信じてしまえば、まさに英語学習市場の食い物です。母国語である日本語でさえ、小学校の時に漢字ドリルで何度も書き込み、漢字テストを毎日のように受けました。語彙量は英語力と相当高い相関関係があります。

いろいろな英語学習法があふれ、様々な資格試験が生まれてきました。これからは、日本にいながらネイティブとコミュニケーションをとる場面が増えてくることは確実です。英語の必要性は今がピークではなく5年後、10年後さらに増え続けます。英語力を高めていく中で最も大切であり、最も疎かにされているのが語彙力なのです。

みなさんも語彙力を磨いて英語学習をより良いものにしていきましょう。

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