日本人の英語学習者が間違いやすい「前置詞」。自分の言いたいことが誤って伝わってしまうことを避けるためにも、ちゃんと使い分けできるようになりたいですよね。
それではまず初めに、日本人の英語学習者がよく間違ってしまう前置詞の問題を2問解いてみましょう。
1.「私はオフィスで昼休みの間ずっと寝ていました。」
I was sleeping at the office (1. during 2. for) a lunch break.
2.「川の上には石橋がかかっています。」
There is a stone bridge (1. above 2. over) the river.
「~の間」はduring か forか?
正解を確認していきましょう。
1.について、duringもforも共に日本語では「~の間」と期間を表す前置詞です。しかし、言葉では同じ「~の間」ですが、焦点が異なります。ポイントは何に焦点を置いているかです。
基本的な考え方は、
For…「どれくらい(の長さ)」その出来事が起きたかに焦点を置く
例えば、「冬休みの間、長野でスキーを楽しんだ」という場合、「冬休み」という「いつ」を伝えたいのです。一方、「3日間、長野でスキーを楽しんだ」という場合、「3日間」という「どれくらいの長さ」を伝えたいのです。よって、それぞれの日本語を英語になおすと以下のようになります。
「冬休みの間、長野でスキーを楽しんだ」
I enjoyed skiing in Nagano during the winter vacation.
「3日間、長野でスキーを楽しんだ」
I enjoyed skiing in Nagano for three days.
冒頭の問題に戻ります。
1.「私はオフィスで昼休みの間ずっと寝ていました。」
I was sleeping at the office (1. during 2. for) a lunch break.
「どれくらい寝たか?」よりも「いつ寝たか?」に焦点が置かれているわけですから、「1」のduringが正解になるわけです。
「~の上」はabove か overか?
「~の上」についてです。
aboveもoverも共に日本語では「~の上」という意味を持つ前置詞です。しかし、言葉では同じ「~の上」ですが、duringとforの場合と同じように、aboveとoverでは焦点が異なるのです。
aboveは「高さ」。overは「位置(真上)」と考えてください。
aboveは「高い」ところにあることに焦点が当てられています。「(位置関係はわからないが)高い所にある」というイメージです。「飛行機が富士山の上を飛んでいる」という場合、「富士山よりも高いところを飛んでいる」ということを伝えたいのであり、富士山の真上かどうかは問われていません。
overは「真上」にあるという位置関係が大切なのです。「真上」にあることが意味の中に含まれているので、He lives over his office.と言えば、「彼は事務所の2階に住んでいる」という意味になるのです。
問題に戻ります。
2.「川の上に石橋がかかっています。」
There is a stone bridge (1. above 2. over) the river.
やはり、石橋は川の真上にあります。なければ困るでしょう。このように「真上」に位置するものには「2」のoverが答えになるのです。
前置詞はイメージを持って学習する
前置詞の学習にはその用法や意味だけでなく、それぞれの語独自の「イメージ」を持っておくことが大切です。
さいごに、このようなイメージを持った前置詞学習における、おすすめの学習書を紹介しておきます。
「ネイティブはこう使う! マンガでわかる前置詞」(西東社)
ビジュアル化されているだけでなく、その理屈までもが併記されています。わかりやすくていねいな一冊で、あらゆる学習レベルの方にも大変理解しやすい学習書と言えるでしょう。前置詞と前置詞を対比させて説明されているので、陥りがちな「どちらを使えばわからない・・・」というシチュエーションが減っていきます。
「絵でわかる前置詞の使い方 」(アスカカルチャー)
タイトルのとおり「絵でわかる」学習書です。ある程度の語感を習得した英語中級者(TOEIC600点程度)が、さらにそのイメージを植え付けるためにピッタリの学習書と言えるでしょう。
「前置詞がわかれば英語がわかる」(ジャパンタイムズ)
上級レベルの学習者(TOEIC800点以上)が、前置詞のイメージをさらに深めたいと感じた時に用いてほしい一冊です。図解(イメージ)だけでは解説できないシチュエーションが文字で詳しく解説されています。
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