【前編】英語で育てるグローバル人材/斎藤裕紀恵さん

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英語で育てるグローバル人材/斎藤裕紀恵さん

英語を使ってグローバルな人材を育てるさまざまな取り組みを実践し、セミナーを開催。学生や英語学習者とグローバルな世界で活躍する方々をつなぐ斎藤裕紀恵さん。斎藤さんが考える英語を使った「グローバル化」とは? その先に見えるものは? お話を伺いました。

学生時代に、グローバルな世界に対応できる力をつける

Q:定期的に「グローバルセミナー」を開催されていらっしゃいますね。

前駐米大使の藤崎一郎氏と前グーグル日本法人社長の辻野晃一郎氏
第10回 前駐米大使の藤崎一郎氏と前グーグル日本法人社長の辻野晃一郎氏の対談

「グローバルセミナー」を2年ほど前から開催し、大学生を始めとする若い人たちに、グローバルに活躍する方のお話を実際に聞いてもらっています。つい先日、第10回を開催したところです。

きっかけは前駐米大使の藤崎一郎氏とお話したことです。藤崎氏とお話ししていて、グローバルに活躍されている方は、お人柄や人格が違うなと感激したのです。その時に、藤崎氏ご自身も若い人たちを育てたいとおっしゃっていたので、ご協力をお願いしたところ、賛同していただき、グローバルセミナーを開催できることになりました。第2回には藤崎氏に、その後、ご縁をいただいて前グーグル日本法人社長の辻野晃一郎氏、前リッツカールトン日本支社長の高野登氏、前米グーグル副社長の村上憲郎氏等、グローバルな舞台でご活躍をされている錚錚たる方々にご講演を頂いています。

第8回前アメリカグーグル副社長 村上憲郎氏ご講演

第8回 前アメリカグーグル副社長 村上憲郎氏ご講演

グローバルセミナーは、大学生だけでなく、現場の英語の先生にも、ぜひセミナーに参加して、グローバルな世界で活躍されている方の話を直接聞いていただきたいという想いで始めました。英語の先生の中には、なかなか教える現場から出られず、グローバルで英語を使うといった時にどのような英語を教えるべきか知りたいという声もあがっていましたからね。英語の先生方にも機会をつくりたいという想いで始めました。

グローバルセミナーの案内はほとんどFacebookで行っていますのが、大学生や英語の先生以外の多くの社会人にもご参加いただいています。懇親会の時などに、大学生と英語の先生と社会人が同じテーブルで交流する姿も見かけます。第10回グローバルセミナーでは、藤崎氏と辻野氏に対談していただきましたが、懇親会の最中はお二人ともすべてのテーブルを回られて、いろいろな方の話に耳を傾けられていました。そのような姿がまさにグローバルリーダーを体現していると感じました。

Q:最近、グローバル化という言葉をあちこちで耳にするようになりましたが、斎藤裕紀恵先生が考えられる「グローバル化」とは、どのようなことですか?

第7回前リッツカールトン日本法人支社長 高野登氏ご講演

第7回 前リッツカールトン日本法人支社長 高野登氏ご講演

「グローバル化にどんな力が必要か」ということを藤崎一郎氏は “vision”を持って、“implementation”することが大事である。そして何よりも“communication”能力が必要だとおっしゃっていましたが、大変感銘を受けました。私もグローバル化に必要な力は先見性、実行力、そしてコミュニケーション力だと思います。また多文化理解の力も欠かせないと思います。

英語の授業をグローバル化に対応して進めるためには、グローバルコミニケーションツールとしての英語の定義付けが必要だと考えています。私自身はグローバルコミニケーションツールとしての英語力はまずは英語で自分のことを伝えることができて、日常的なことや相手を理解することができる力だと考えます。さらにはもう一歩進んで、物事を客観的、批判的に見て、情報を集め、英語で伝えられる力だと思っています。プラス日本について、そして日本の文化についての理解、また他者の文化的理解も必要になってくると考えます。

「グローバルセミナー」

グローバル化におけるコミュニケーションの必要性は、日本のなかに留まりません。海外に出ても、日本にいながらでも、グローバル化は進むと思いますし、インターネットやSNSの発展により、世界はどんどんボーダレスになってきています。それぞれがお互いの文化を理解する必要もあります。日本人が海外に行ってビジネスの舞台で成功しないのは、英語だけでなく、交渉力など、グローバル化に必要な力をつけられていないことも感じていますから、その辺りの力を学生のうちから実践できる授業をしていますね。

Q:英語だけで授業を進めるのは大変ではないですか?

入学直後は、英語だけで授業を進めることに戸惑う学生もいるので、最初は自己紹介し合ったり、お互いのことを知るための質問をし合ったりすることから始めます。それから、質問した内容を元に、英語でエッセイを書いたり、質問してわかった相手のことをまた別の人に伝えたりと段階を追っていきます。そこから発展させて、日本のことを伝えよう、世界のことを知ろうという授業に進んでいきます。

授業においては、私は一方的なレクチャーをあまりせず、課題を与えて、彼らが協調し合ってやっていくためのファシリテーターとして手助けをしています。今日の授業でも、英語が苦手な学生が、英語で何とか話そうとして、日本語が混じって苦戦していましたが、他の学生が助けてあげていました。英語をツールとして使って、グローバル人材になるように学生を育てている感じです。この授業を始めて、今年で3年になります。グローバルコミニケーションツールとしての英語学習の定義もいろいろな参考文献や専門書を読んで、私なりに定義づけを行いそれに基づいて授業を実践しています。定義に合わせて、授業内容を組み立て、ポートフォリオを作って、テキスト代わりに使い、学生たちがグローバルコミニケーションツールとしての英語力をつけながら、自律した学習者になるように工夫をしています。

Q:グローバル化を意識した授業内容を具体的に教えていただけますか。

斎藤裕紀恵先生が考えられる「グローバル化」

ひとつの例をあげるとすると、私の授業の課題の1つに「社会問題について英字新聞を読んでみよう」があります。学生たちは自宅課題として英字新聞を読んで要約を書いてくること、議論用の質問を一つ書いてくるのが課題となっています。授業内では要約を伝えて、用意した議論用の質問に関して自分の意見を言い、他の人の意見を聞くことが求められています。グループ内で他の人が用意した英字新聞の要約を聞き、またすべての議論用質問に対して自分の意見を伝えることになっています。英字新聞の内容をただ理解して終わるのではなくて、そのニュースに対して、自分がどう思うか、何を伝えられるがとても重要なので、そこまで持って行けるようにしています。英字新聞を読んで、要約し、それを伝え、そのニュースに対しての自分なりの意見を持ち、他の人の意見も聞いて、最後にレポートとして書いてまとめるという英語の4技能を取り入れた一連の課題を通して、グローバル化に必要な力が少しずつついてくると思います。

日本人がグローバルな会議の場で自分の意見をなかなか発言できないのは、いつも受け身で、自分の意見を発信する機会がないままに来たからだと思うんです。だから私の授業のゴールは、英語が話せるようになるだけでなく、英語で考えて、自分の意見を伝えられるようにと設定しています。

★次回は8月18日(火)に掲載します。斎藤裕紀恵さんの学習経験や指導経験に基づく英語学習法についてご紹介します。

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