オーストラリア移住の条件とは?ビザの種類や永住権について徹底解説

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日本人の多くが海外移住先として候補にあげるオーストラリア。日本との時差もほとんどなく、温暖で過ごしやすい気候や豊かな自然など多くの魅力がある上、たくさんの移民が暮らす多民族国家であることも候補にあがる理由でしょう。

では、実際にオーストラリア移住を実現するためには、どうしたらいいのでしょうか?

今回はオーストラリアで暮らす筆者が、移住を可能にするビザや方法、永住権取得の条件などを徹底的に解説します!

オーストラリア移住を可能にするビザの種類

イギリスのコンサルティング会社「ヘンリー&パートナーズ」によると、日本のパスポートは世界で最も信頼が高く、他国への入国に際してビザ取得が免除される国が193ヶ国もあるそうです。つまり、日本のパスポートを保持する人は、ビザ取得が不要で193ヶ国に入国できるということ。けれども、これは短期滞在に限られているため、移住のように長期滞在となればビザの取得は必要です。

このように多くの国でビザ取得が免除される日本人ですが、オーストラリアに入国する際には、観光目的の短期滞在でもビザを取得する必要があります。とはいえ、大使館や領事館へ行って申請するわけではありません。3ヶ月以内の滞在であれば、「ETA(Electronic Travel Authority)」と呼ばれる観光ビザ(電子ビザ)をオンライン上で簡単に取得できます。

ここではETA以外の長期滞在を可能にするビザの種類を詳しく見ていきます。ここで示すビザ以外に、「家族呼び寄せビザ」などもありますが、すでに永住権を持つ家族がいないと申請できないのでここでは省略します。

参考:
The Official Passport Index Ranking | Henley & Partners

就学関連のビザ

まず、「学生ビザ」「保護者ビザ」「卒業生ビザ」といった就学関連のビザの概要や条件を見ていきましょう。オーストラリアのビザは「サブクラス(Subclass)」の番号で下位分類されているため、各ビザの後に番号を示します。

学生ビザ【500】

3ヶ月以上の留学に必要な学生ビザ。

絶対条件政府が認定する教育機関でのフルタイム就学
有効期限最長5年間
年齢6歳以上(18歳未満の場合は保護者あるいは監督者によるサポートが必須)
就労可(2週間で最大40時間)
費用免除されない限り650豪ドルから

フルタイム就学とは、その学年で必修しなければならない科目をすべて受けることを指します。必修しなければならない科目の一部だけ受けるのを「パートタイム就学」といい、オーストラリアでは多くの人がパートタイム就学をしていますが、このような就学スタイルは「学生ビザ」では認められていません。

また、コロナ禍の影響で労働力不足となり、学生ビザとワーキングホリデービザ保有者の労働時間制限を一時的に撤廃。2023年6月以降は再び、上記の時間制限に戻ります。

参考:
【Subclass 500】 Student visa
Temporary changes to visa work conditions for Students and Working Holiday Makers

保護者ビザ【590】

学生ビザで就学する18歳未満の子どもに同伴して、身の回りの世話をするための保護者用のビザ。

絶対条件21歳以上の学生の親、後見人、または親類であること / 滞在中に学生をサポートするための十分なお金
有効期限一時的(期間は学生ビザ保有者の滞在期間と年齢により決まる)
就労不可
費用650豪ドルから

参考:
【Subclass 590】 Student Guardian visa

卒業生ビザ【485】

政府が認定する教育機関で一定期間就学し、学位を取得することで得られる一時的なビザ。「Graduate Work」と「Post-Study Work」の2つのストリームに分かれています。

<Graduate Work stream>

絶対条件オーストラリアが必要とする特定の職業に関連するスキルと資格を取得した卒業生であること
有効期間通常18ヶ月まで
就労
費用1,730豪ドルから

<Post-Study Work stream>

絶対条件オーストラリアの教育機関で学位を取得した卒業生であること
有効期間通常2年~4年(資格による)
就労
費用1,730豪ドルから

参考:
【Subclass 485】 Temporary Graduate visa

技術認定卒業生ビザ【476】

政府が認定する世界の教育機関で工学の学位以上を取得した卒業生が得られる一時的なビザ。

絶対条件過去2年間に特定の教育機関で工学の学位を取得していること / 31歳未満
有効期間通常18ヶ月まで
就労
費用425豪ドルから

参考:
【Subclass 476】 Skilled—Recognised Graduate visa

ワーキングホリデービザ【417】

2国間での取り決め等に基づき、受け入れ国が相手国の青少年に一定期間、旅行・文化体験・就学などの活動とそのための滞在費確保の労働を提供するビザ。「First」「Second」の2つに分かれ、両者を最大限に活用すれば計2年間の滞在が可能です。過去にワーキングホリデービザでオーストラリアへの渡航経験がある場合は、「First」に申請できません。

<First Working Holiday visa>

絶対条件指定国のパスポート保持者 / 18歳~30歳 / オーストラリア国外からの申請
有効期間12ヶ月
就労可(指定された仕事で3ヶ月間:2回目のビザ申請が可能に)
就学最長4ヶ月
費用510豪ドル

<Second Working Holiday visa>

絶対条件以前にサブクラス【417】でオーストラリアに入国 / 保有の【417】あるいは有効なビザの有効期限が28日以内 / 18歳~30歳
有効期間12ヶ月
就労可(指定された仕事で6ヶ月間:3回目のビザ申請が可能に)
就学最長4ヶ月
費用510豪ドル

参考:
【Subclass 417】 Working Holiday visa

パートナー関連のビザ

パートナーに関するビザには、いくつか種類があります。申請者とスポンサーはパートナー関係であることが絶対条件ですが、婚姻関係でも事実婚関係でも申請が可能です。

パートナービザ(国外申請)【309 / 100】

サブクラス【309】はオーストラリア国外から申請する一時的なパートナービザで、【100】とセットで申請。条件を満たせば【100】へ切り替えて永住権の取得が可能です。オーストラリアの公的医療制度「メディケア」の加入対象。

【309】

絶対条件オーストラリア人、オーストラリア永住者、資格のあるニュージーランド人のパートナーまたは配偶者がいること / オーストラリア国外在住
有効期間サブクラス【100】の申請が完了するまで
就労・就学
費用8,085豪ドルから

【100】

絶対条件【309】保有者 / パートナーとの誠実で継続的な関係の維持
有効期限永久
就労・就学
費用【309】とセットなため支払い済み

参考:
【Subclasses 309 and 100】 Partner visa (apply overseas )

パートナービザ(国内申請)【820 / 801】

サブクラス【820】はオーストラリア国内から申請する一時的なパートナービザで、【801】とセットで申請。条件を満たせば【801】へ切り替えて永住権の取得が可能です。こちらもオーストラリアの公的医療制度に申請できます。

【820】

絶対条件オーストラリア人、オーストラリア永住者、資格のあるニュージーランド人のパートナーまたは配偶者がいること / オーストラリア国内在住
有効期間サブクラス【801】の申請が完了するまで
就労・就学
費用8,085豪ドルから(サブクラス【300】保有者は1,350豪ドルから)

【801】

絶対条件【820】あるいは【445】(扶養児童ビザ)保有者 / パートナーとの誠実で継続的な関係の維持
有効期限永久
就労・就学
費用【309】とセットなため支払い済み

参考:
【Subclasses 820 and 801】 Partner visa (apply in Australia)

結婚予定(婚約者)ビザ【300】

結婚することを目的にオーストラリア国外から申請する一時的なビザ。有効期限内に結婚することで、サブクラス【820 / 801】への申請が可能になります。パートナービザの条件を満たしていないけれど、近い将来に結婚の予定がある場合に適したビザ。

絶対条件18歳以上 / オーストラリア人、オーストラリア永住者、資格のあるニュージーランド人のスポンサーがいること / 有効期限内に結婚する予定があること / オーストラリア国外在住
有効期限9ヶ月~15ヶ月
就労・就学
費用8,085豪ドルから

参考:
【Subclass 300】 Prospective Marriage visa

技術関連のビザ

技術系のビザもいくつか種類があります。当然のことながら、すべて就労が可能です。

一時的技能不足ビザ【482】

オーストラリア国外にいる熟練技術者を対象とした就労ビザで、通称「TSS(Temporary Skill Shortage visa)」。期間は「Short-term」と「Medium-term」の2つのストリームがあり、適切な技術を持つオーストラリア人労働者を調達できないオーストラリア企業が、国外から人材を受け入れるためのビザ。一時的な滞在となるため、永住したい人は「永住権」につながる他のビザを後に取得しなければなりません。

<Short-term stream>

絶対条件オーストラリア企業からの推薦または招致 / 技能職リストにある職種でスポンサー企業のみで就労 / 職種によっては技能審査の合格
最低限の英語力IELTS 5.0(各テストで少なくとも4.5、テスト全体で5.0)
有効期限最長2年間
費用1,330豪ドルから

<Medium-term stream>

絶対条件オーストラリア企業からの推薦または招致 / 技能職リストにある職種でスポンサー企業のみで就労 / 職種によっては技能審査の合格
最低限の英語力IELTS 5.0(各テストで少なくとも5.0、テスト全体で5.0)
有効期限最長4年間
費用2,770豪ドルから

参考:
【Subclass 482】 Temporary Skill Shortage visa

地方移住技術就労ビザ【491】

オーストラリアの州または準州の政府機関が必要な技術を有する永住希望者をノミネートするか、対象の地域に居住する親族がスポンサーになることでその地域での居住を可能にするビザ。ビザ発給から3年後に永住権の申請が可能となります。

絶対条件技能職リストにある職種の技能・資格を有すること / 技能審査の合格 / ポイント審査で65ポイント以上獲得 / 45 歳未満
最低限の英語力IELTS 5.0(各テストで少なくとも5.0)
有効期限最長5年間
費用4,240豪ドルから

ちなみにIELTS 5.0は、TOEICで550~600、英検で2級程度。

【Subclass 491】 Skilled Work Regional (Provisional) visa

オーストラリアの永住権取得の条件

ここまで見てきたビザはパートナービザを永住ビザとともにセットで申請するものを除けば、オーストラリアに数年間滞在するためのものでした。けれどもこれらのビザには有効期限があるため、その後も滞在し続けるためには「永住権」を取得する必要があります。ここでは永住権取得の条件を見ていきましょう。

オーストラリアの永住権を直接取得する方法

オーストラリアで永住権を取得するには、パートナービザで示したように一時的なビザを取得した後に永住ビザを申請するという方法が主流です。例えば、学生ビザやワーキングホリデービザで入国し、滞在中にスポンサー企業を見つけて就労可能なビザに切り替え、その後に永住ビザに申請することもできます。

けれどもオーストラリアが必要とする技能を有する人であれば、最初から「永住権」を得られるビザに申請することも可能です。もちろん直接「永住ビザ」に申請するので、難易度は上がります。

IELTS 6.0は、TOEICで740~820、英検で準1級の難易度。つまり、技能の他にある程度の英語力が求められるということです。

技術独立永住ビザ【189】

スポンサーや推薦者を必要としない技術系の永住ビザ。居住場所の制限がなく、オーストラリアの公的医療制度「メディケア」の加入対象です。

絶対条件技能職リストにある職種の技能・資格を有すること / 技能審査の合格 / ポイント審査で65ポイント以上獲得 / 45 歳未満
最低限の英語力IELTS 6.0(各テストで少なくとも6.0)
有効期限永久
費用4,240豪ドルから

参考:
【subclass 189】 Skilled Independent visa

技術指名永住ビザ【190】

オーストラリアの州または準州の政府機関が必要な技能を有する永住希望者をノミネートして居住を可能にする永住ビザ」。居住場所は選べず、ビザ取得後の数年間はノミネートを受けた州内に限定されます。

絶対条件技能職リストにある職種の技能・資格を有すること / 技能審査の合格 / ポイント審査で65ポイント以上獲得 / 45 歳未満
最低限の英語力IELTS 6.0(各テストで少なくとも6.0)
有効期限永久
費用4,240豪ドルから

参考:
【Subclass 190】 Skilled Nominated visa

保有するビザから永住権を取得する方法と申請条件

直接永住ビザを申請するのはハードルが高すぎるという人は、保有する一時技能不足ビザ(TSS)【482】や地方移住技術就労ビザ【491】から永住権の取得を目指すことができます。

熟練技術者を対象としたこれらのビザから永住権を取得する場合は、サブクラス【186】の「雇用主指名制度ビザ」の申請をしなければなりません。

雇用主指名制度ビザには、「Direct Entry」「Labour agreement」「Temporary Residence Transition」という3つのストリームがあります。いずれも、その仕事に必要な技能を持っている必要があり、オーストラリアの雇用主によって指名されなければなりません。

<Direct Entry stream>

絶対条件技能職リストにある職種の技能・資格を有すること / 免除されていない限り少なくとも3年間の関連する実務経験があること / 肯定的な技能審査結果 / 45歳未満
最低限の英語力IELTS 6.0(各テストで少なくとも6.0)
有効期限永久
費用4,240豪ドルから

<Labour agreement stream>

絶対条件雇用主と労働契約を結んでいること / 45歳未満
有効期限永久
費用4,240豪ドルから

<Temporary Residence Transition stream>

絶対条件TSSまたは関連するブリッジングビザの保有 / TSSビザを保有しながら少なくとも3年間フルタイムで雇用主のもとで働いていること / 45歳未満
最低限の英語力IELTS 6.0(各テストで少なくとも6.0)
有効期限永久
費用4,240豪ドルから

参考:
【Subclass 186】 Employer Nomination Scheme visa

オーストラリア政府が定めた職業リスト

ここまで何度となくでてきた「技能職リスト」ですが、これはオーストラリアの移民局が指定する職業リストで、不足した熟練技術者を優先的に受け入れるためのもの。Skilled migration program(熟練者移住プログラム)で職種が「MLTSSL」「STSOL」「ROL」の3つに分けられおり、違いは以下の通りです。

・MLTSSL(Medium and Long-term Strategic Skills List)
オーストラリア国内で中長期的に不足して常に需要が高い職業。永住権への申請へつながるが職種が多い。
(会計士、溶接工、大工、シェフ、看護師、システムエンジニア、助産師、電気技師、配管工など)

・STSOL(Short-term Skilled Occupation List)
オーストラリア国内で短期的に不足している職業。永住権への申請につながる職種は限定的。
(航空整備士、薬剤師、ハードウエア技術者、歯科技工士、栄養士、庭師、美容師、ヘリコプターのパイロット、メイクアップアーティスト、マッサージセラピストなど)

・ROL(Regional Occupation List)
オーストラリア国内の地方都市で需要のある職業。
(歯科衛生士、歯医者、客室乗務員、インテリアデコレーター、騎手、保育士など)

特に医療系の職種である、一般医、専門医、看護師、薬剤師などは常に不足し、医療従事者にはさまざまな国の出身者がいます。

参考:
Skilled migration program(熟練者移住プログラム)
Skilled occupation list(政府が指定する「技能職リスト」)

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