「関係代名詞」っていつ使うの? 修飾のシステムが生む日本語と英語の違いとは

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※この記事内の例文は、World Englishes の考え方に則り、英語ネイティブにとって正確であることより、あらゆる人に分かりやすいことを優先しています。

みなさまこんにちは、ライターの石田です。

正直、関係代名詞ってよくわからないですよね。いくつも種類があって、いつどんな場面で使えばいいのかもよくわからないけどいろいろな用途があって、「なんとか格」と「かんとか格」では使い方が違って……。その上、なんでこんなものを使わなければいけないかすらよくわかりません。

今回はそんな関係代名詞の中でも、最も基本的な “that” “which” “who” の使い方を学びましょう。いつも通り出来るだけ難しい文法用語を使わずに、日本語と英語の「別の単語を説明するシステム=修飾 」の違いに注目して、日本語の感覚で説明していきます。自称、どこよりもわかりやすく丁寧な文法解説を心がけております。

特に英文法が苦手だったなという方は、このコラムを読んで少しでも英語を好きになっていただければと思います。


1. 関係代名詞とは


関係代名詞は、中学英語の半ばに登場する文法事項です。『総合英語FOREST』では、このように説明されています。

【私を手伝ってくれた】 → 女性
the woman ← 【who helped me】
日本語では、「女性」という名詞を説明したければ、単純に名詞の前に「私を手伝ってくれた」を置くだけでよい。それに対して英語で同じことをする場合は、次の2点に気をつけなくてはならない。

①名詞(the woman)の後ろに節を置く。
②説明に使う節には、who を使う。

このように、「名詞を説明するのに使う節」と、「説明される名詞」を結びつけるために使われるのが関係代名詞である。

出典: 総合英語FOREST(第7版) P290

このように、関係代名詞は2つの節や句(※注)・名詞をくっつけて、説明する役割を果たしていることがわかります。こうすることによって、よりたくさんの意味が入った言葉を作ることが出来るようです。
(※注)
節:文の形をしているもの。
句:2つ以上の単語がくっついているが、文の形をしていないもの。

2. 代表的な関係代名詞

that
最も便利な関係代名詞で、“which”と“who”の両方を兼ねることが出来ます。

which
モノ・コトを説明するための関係代名詞です。

who
人を説明するための関係代名詞です。

以下は、次回以降のコラムで解説するものになります。

whose
人が「何を所有しているか」を説明するものです。

what
“the things which”という意味で使われる、少し上級の関係代名詞です。

3. 「関係代名詞」ってどういう意味?


関係代名詞とはそもそもどういう意味なのでしょうか。

英語では関係代名詞を、“relative pronoun” と呼びます。“pronoun” とは、私たちがよく知っている「代名詞」の事です。「あれ」とか「彼」のように、特定の名詞の代わりに使うものですね。

では、“relative” とはなんでしょうか。これは「関係がある」という意味の形容詞です。

先ほどの、総合英語FORESTで使われていた例をもう一度引用します。

The woman who helped me
(私を助けた女性)

“who”によって、それまで無関係だった “the woman” と “helped me” が関係を持つようになっています。

また、“who helped me” だけ取り出してみると、“who” は “helped me” の主語になっています。この “who” に “the woman” を代入することで、

“The woman helped me.”
(その女性は私を助けた)

と、似た意味の文を作ることが出来ます。前に来る言葉の代わりになるという、代名詞の機能も持っているのです。

このように、今まで関係のなかった者同士に「関係」を持たせる機能と、「代名詞」の機能を併せ持った単語だからこそ、「関係代名詞」と呼ばれているのです。

4. 関係代名詞なんて本当に使うの?


私が中学校で関係代名詞を習った時、受けた説明はこうでした。

「関係代名詞は、2つの言葉をくっつけるときに使います。“I was thinking.” と “We discussed the problem” をくっつけるときに、“ I was thinking about the problem that we discussed. ” と言いましょう」

この説明を聞いた私は……いえ、おそらくクラスのほとんど全員は、こう思っていました。

「えっ、それって別々に言うんじゃダメなんですか?」

先生は「英語ではこう言うんだ」の1点張りで、この素朴すぎる疑問に答えてはくれませんでした。

この文章の目的は、学校英語教育の批判ではありません。先生たちは限られた授業時間や、受験対策を優先しなければいけないという厳しい制約の中で、最善の授業をされていたと思います。しかし、英語に限らず語学教育全般に「日本語とその言語の違い」という視点が欠けていることは否めないように思います。

「日本語ではどういう時にどんな言い方をするのか整理する→英語ではどういう時にどんな言い方をするかを整理する→それを結びつける」という手順が必要ではないかと私は思っています。

5. 日本語と英語は「修飾の原則」が違う!


「修飾」とは、ある単語Aを、別の単語Bで説明することです。例えば

A:人 B:女
人 + 女
= 女の人

A:車 B:速い
車 + 速い
= 速い車

この時、単語Bのような「説明するための単語」の事を、修飾語と言います。

日本語の修飾語は、原則として説明される単語より前に来ます。

赤い靴
× 靴赤い

大きい動物
× 動物大きい

日本語では単語だけでなく文(節)も、自由にくっつけて修飾語にできます。

A:私が聴いた B:うわさ
私が聴いた + うわさ
= 私が聴いたうわさ

A:彼が作った B:ケーキ
彼が作った + ケーキ
= 彼が作ったケーキ

文で別の単語を説明する場合でも、日本語では前に修飾語が来て、後に説明される言葉が来ます。

私が聴いたうわさ
× うわさ私が聴いた

このように、日本語は「前にある言葉で、後ろにある言葉を説明する」という原則を持っていることがわかります。

英語では、この単語を説明するシステムが日本語と異なっています。「前にある言葉で、後ろにある言葉を説明する」パターンと、「後ろにある言葉で、前にある言葉を説明する」パターンが両方存在しているのです。

関係代名詞が出てくるのは、後者の日本語にないパターンの時です。なぜ関係代名詞は難しいのか? それは、日本語の「修飾の原則」にない考え方だからです。

A:red(赤い)B:car(車)
red + car
= “a red car”(赤い車)

A:big(大きい)B:animal(動物)
big + animal
= “a big animal”(大きい動物)

A:inexpensive(安価な)B: watch(腕時計)
inexpensive + watch
= “an inexpensive watch”(安価な腕時計)

このように、形容詞と名詞の組み合わせは、日本語と同じく「前の言葉で後ろの言葉を説明」しています。更に

A:my(私の)B: car(車)
my + car
= “my car”(私の車)

このように、「私」「彼」のような代名詞も、日本語と同じ感覚で使えることがわかります。

問題になるのは、「後ろの言葉で前の言葉を説明する」パターンです。関係代名詞は、このパターンで出てきます。

この形が出てくるのは、日本語で「単独の形容詞・形容動詞以外の言葉で説明する」時です。

「私が聴いた+うわさ」
どんなうわさ? → 私が聴いたうわさ

「彼が作った+ケーキ」
どんなケーキ? → 彼が作ったケーキ

つまり、

日本語で1単語では説明できず、2語以上で別の言葉を説明するときが、関係代名詞を使う合図

です。

本コラムのタイトルにもなっている“「関係代名詞」っていつ使うの?”の答えはこれになります。

The rumor that I heard.
(私が聴いたうわさ)
× The I heard rumor.

The cake that he made.
(彼が作ったケーキ)
× The he made cake.

まとめると・・・

日本語
・「前の言葉で後ろの言葉を説明する」原則
・修飾語が「単語」であっても「それより大きいもの」であっても、同じように前から説明する。

英語
・「前の言葉で後ろの言葉を説明する」パターンも、「後ろの言葉で前の言葉を説明する」パターンも両方ある。
・形容詞や代名詞は、前から後ろへ説明する。
・「日本語であれば1つの形容詞や形容動詞に収まらない」まとまった修飾語は、関係代名詞のようなシステムを使って後ろから説明する。

関係代名詞は日本語の「前→後ろ原則」に合わないため、使いこなすのには慣れが必要なのです。

6. “that” “which” “who” の違いとは


「関係代名詞をいつ使えばいいのか?」の疑問が晴れたところで、ではどのように使えばいいのかをこれから解説していきます。

~ “that” は人と物の両方を説明するときに使うことが出来ます ~

(1) The wine that I poured

The wine(そのワイン)
→どんなワイン?
that I poured(私が注いだ)

⇒つまり?
The wine that I poured
(私が注いだワイン)

(2) The person that built this house

The person(その人)
→どんな人?
that built this house(この家を建てた)

⇒つまり?
The person that built this house
(この家を建てた人)

(3) The rumor that he said

The rumor(そのうわさ)
→どんなうわさ?
that he said(彼が言った)

⇒つまり?
The rumor that he said
(彼の話したうわさ)

一般に、人を説明するときには“who”の方が好まれるようです。とはいえ、「迷ったらthat」で大丈夫です。

~ “which” はモノ・コトだけに使うことが出来ます ~

(4) The glass which I bought

The glass(そのコップ)
→どんなコップ?
which I bought(私が買った)

⇒つまり?
The glass which I bought
私が買ったコップ

(5) The bill which you need to pay

The bill(その請求書)
→どんな請求書?
which you need to pay(あなたには払う必要がある)

⇒つまり?
The bill which you need to pay
(あなたが払う必要がある請求書)

となります。他にも

(6) The town which many tourists visit

(多くの観光客が訪れる町)

(7) The table which I made

(私が作った机)
などがあります。

~ “who” は人を説明するときに使います ~

(8) The man who I met in Paris

The man.(その男性)
→どんな男性?
who I met in Paris.(私がパリで会った)

⇒つまり?
The man who I met in Paris
(パリで会った男性)

他にも、

(9) The girl who used to play this video game

(かつてよくそのゲームをプレイした女の子)

(10) The friend who watched the movie

(その映画を見た友達)

などがあります。

このように、“which” はモノ・コト、“who” は人を説明するときにだけ使います。一方、“that” はそのどちらにも使うことが出来るので、より使い勝手がいいことがわかります。“that” が使いづらいマニアックなケースもありますが、差し当たっては “that” の優先順位が高いと考えて間違いないでしょう。

7. 主格の関係代名詞


まず、私の積年の疑問をここに書かせていただきます。

「格」ってなんだ!?

後年言語について学び始め、初めてこの謎が解けました。

「格」を、英語では“case”といいます。これは、言語学者が、名詞の変化から文の構造を分析するときの考え方です。

・私がご飯を食べる。
・私を困らせる。

どちらも同じく文の先頭に来ている、「私」という同じ単語です。ですが、この2つの「私」は、明らかに違う役割を持っています。前者はご飯を「食べる」という動作の主体ですが、後者は「困らせる」という動作を受ける客体です。

このように、その名詞が持っている、他の言葉に対する役割の事を「格」と呼びます。

日本語の場合は「が」がついているものを「ガ格」、「を」がついているものを「ヲ格」というように、名詞の後についてくる助詞によって、その名詞の役割を区別しています。「私が」がガ格の私、「私を」はヲ格の私というわけです。

英語の格も、その単語と動詞との関係で決まります。「主格」は、その名詞が「主語という役割」を持っていることを表わしています。

実際の例を見てみましょう。

(11) I have a friend who lives in Hongkong.

I have a friend.(私には友達がいる)
→どんな友達?
who lives in Hongkong(香港に住んでいる)

⇒つまり?
I have a friend who lives in Hongkong.
(私には香港に住んでいる友人がいる)

関係代名詞も代名詞ですから、なにかの代わりになっているはずです。今回の場合、この “who” は、“friend” の代わりになっています。

つまり

I have a friend, the friend lives in Hongkong.
(私には友人がおり、その友人は香港に住んでいる)

と考えることが出来るのです。

この時 “who” は、動詞 “live” の主語になっていることがわかります。後ろに来る動詞の主語になっている関係代名詞を「主格」と言います。「主格」の関係代名詞は人や物の状態を表わすことが多いです。

(12) They live in a house which stands on a hill.

これも『総合英語FOREST』からの借例です。

They live in a house.
(彼らは家に住んでいる)
→どんな家?
which stands on the hill(丘の上に立っている)

⇒つまり?
They live in a house which stands on the hill.
(彼らは丘の上に立っている家に住んでいる)

この文も

They live in a house, the house stands on the hill.

と考えることができるため、“which” は “house” の代わりをしていると言えます。“house” は “stand” の主語ですから、これは「主格」の関係代名詞なのです。

主格の関係代名詞で気をつけなければいけないのは、省略が出来ないということです。

× I have a friend lives in Hongkong.

× They live in a house stands on the hill.
このように書くと、後ろの動詞 “live” や “stand” の主語がなくなってしまいます。英語では、ごく一部の例外を除いて主語の省略はできません。ですから、主語の役割をしている主格の関係代名詞は省略できないのです。

8. 目的格の関係代名詞

(13) This is the book which I bought at the book store.

この文を見てみましょう。

This is the book.
(これは[周知の]本である)
→どんな本?
which I bought at the book store
(私が本屋で買った)

⇒つまり?
This is the book which I bought at the book store.
(これは私が本屋で買った本である)

関係代名詞は前に来る言葉の代わりになるものですから、この “which” は “the book” の代わりをしていると考えられます。動詞(V)の “bought=buy(買う)” と、“the book はどのような関係でしょうか?「その本」は「買われた」ものですから “the book” は “buy” という動作の客体です。動作の客体を別名で目的語(O)と呼びます。

I bought(V) the book(O) at the book store.

この “which” は目的語の代わりをしているので、「目的格」と言います。目的格の関係代名詞は、後ろに来る動詞の目的語になっているのです。

(14) The people who I met at the party

The people(その人々)
→どんな?
who I met at the party(パーティーで会った)

⇒つまり?
The people who I met at the party.
(パーティーで会った人々)

“who” は前にある “the people” の代わりをしていると考えられます。“the people”は、“met=meet(会う)”の主語ではありません。「会った対象」ですから、動作の客体であり、目的語になります。つまり、

I met(V) the people(O) at the party.
(私はその人たちにパーティーで会った)

と変形できるのです。これも目的格の関係代名詞です。

目的格の関係代名詞は、口語では省略するのが普通です。

This is the book I bought at the book store.
The people I met at the party.

これが、主格の関係代名詞との最大の違いです。実際に省略できるかどうかを見分けるには、関係代名詞の後ろに主語があるかどうかを見るのが簡単です。主語がある場合は目的格なので、省略が可能です

また、目的格の場合のみ、“who” を “whom” と書く場合がありますが、これは絶対のルールではありません。前置詞が直前に来る“to whom”,“by whom”のような特別な言い方では使うことがありますが、それは次回に譲ることにさせていただきます。

9. まとめ


英語と日本語では、「修飾の原則」が異なっています。日本語では「前の単語で後ろの単語を説明する」のが鉄則ですが、英語では「後ろの単語で前の単語を説明する」パターンが存在しています。そのカギになるのが関係代名詞なのです。

「日本語で1単語では説明できないとき」が、関係代名詞を使う合図です。この感覚に慣れることが、関係代名詞習得の第一歩です。

次回は、より上級の関係代名詞の使い方をご紹介します。難易度は少し上がりますが、できるだけわかりやすく解説をいたしますので、ぜひご覧ください。

参考:
猪野真理枝・佐野洋:著 『英作文なんて怖くないⅡ 連体修飾編』東京外国語大学出版会(2014)

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