上級者への招待状 あなたの英語をランクアップさせる中級者向け語学書7冊をご紹介

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語学の勉強には長い時間がかかります。その長い時間は、ほとんどが「中級者から上級者を目指す」段階なのです。

初級を超えてしまうと、なかなか上達が実感できなくなってきます。中には、学習が嫌になってしまう方もいるかもしれません。今回はそんな長いトンネルを抜け出し、上級者へとステップアップさせてくれる語学書を7冊ご紹介します。

1. 関正生著『関先生が教える世界一わかりやすい英語の発音の授業』(中経出版)

筆者の前回の記事にもありましたが、日本人特有のカタカナ発音は、諸外国の方にとって、とても聞き取りづらいそうです。発音を練習したいところですが、英語の発音の入門書は、単語や文法の物ほど多くありません。この本は数少ない、日本人が勉強することに特化した、わかりやすい英語の発音の教科書です。徹底して初心者向けに作られています。

例えば、アメリカ英語の[a]の音を見てみましょう。「英語では大きく口を開けましょう」といろいろなところで言われますが、その「大きく」ってどれくらいの大きさなのか教えてもらったことはありますか?

指3本入るくらい口を大きく開ける

指が3本入ればOK……ってびっくりするくらい大きいですよ。ふだん日本語で「あ」って言うとき、2本も入らないですよね?

指3本ってアゴが痛くなるくらい開けるんです。
予備校で「そんなに口開かな~い」なんてカワイらしく言う女の子に限って、長文の授業で思いっきりあくびしています。

その「あくび」です! 
あくびするつもりで、口開ければOKです。

初めてこれを読んだとき、筆者は本当に衝撃を受けました。こんなわかりやすい説明が、33の英語の音すべてに加えられているのです。それだけでなく、”of”, ”to”などの「弱くなる音」や、”iced tea”が「アイスティー」になってしまうような「飲み込まれて消える音」のルールの解説なども加えられています。

全ての方にオススメしたい良書です。必ず英語の発音が身につきます。
▸▸『関先生が教える世界一わかりやすい英語の発音の授業』 関正生:著(中経出版)

2. 日向清人著『英語はもっと句動詞で話そう』(語研)

句動詞(phrasal verb)という言葉を聞いたことがありますか? “take out”のような、「動詞+前置詞または副詞」の組み合わせで、1つの動詞のように振る舞うフレーズのことです。日本の英語教育ではあまり重要視されておらず、私もほとんど習った記憶がありません。

この句動詞は、ネイティブスピーカーとのコミュニケーションにおいてとても重要な意味を持っています。句動詞は会話のシーンでよく使われ、カジュアルなニュアンスを持っています。同じ「続ける」というのでも、一語動詞の”continue”には固くフォーマルなニュアンスがあり、句動詞”hold on”からは柔らかく普段使いな感じがします。

動詞takeに副詞offを組み合わせたtake offは「離陸する」という意味です。動詞goに前置詞overを組み合わせたgo overは「~をざっと見る, 振り返る」という意味です。あるいは, break+downという字面から意味がわかりやすいbreak down(故障する)に対して, let+downという字面からは意味が読み取りにくいlet down(~がっかりさせる)という表現もあります。こうした動詞と副詞・前置詞の定型的組み合わせを本書では句動詞(phrasal verbs)と総称します。

(中略)

句動詞で言うのが普通なのに, いつも一語動詞で済まそうという人は, 時間や場所におかまいなく堅苦しい格好をして取り澄ましているかのような, 奇異な感じを相手に与えます。

本書では5億語規模のデータベースからネイティブスピーカーがよく使う句動詞を150種選び出し、豊富な例文とともに解説しています。”arrive(到着する)”, “attend(出席する)”など、意外な単語が、ネイティブにとって「気取り過ぎ」なのです。それぞれ”get in”, ”turn out for”と言い換えることで、自然体な言い回しにすることが出来ます。

カジュアルな場面でカジュアルな言葉を選択できることは、重要なコミュニケーションのテクニックです。真のネイティブ英語を学びたい方にとって、本書は大きな助けになります。

意外と知られていないですが、英文は読めるのに海外ドラマとなると理解力が途端に落ちる理由も、この句動詞が影響しています。句動詞を身につけることによって、海外ドラマなどで頻繁に使われているカジュアルな会話の理解度がかなり改善されます。
▸▸『英語はもっと句動詞で話そう』日向清人:著(語研)

3. 森沢洋介著『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』(ペレ出版)

英語を「話す」ためのトレーニングとは何でしょうか? 学校英語に限らず、日本の語学教育界全体で軽視されてきたテーマに、本書は切り込んでいます。

野球のバッターを考えてみましょう。どれだけ試合を観戦し、戦術の本を読み、良いバットやシューズをそろえても、それだけでは良いバッティングはできません。素振りや走り込みのような基礎トレーニングが絶対に必要になります。

英語学習も同じです。どれだけ英文を読み、リスニングを鍛えても、「話す」ための基礎トレーニングを積まなければ良い会話はできません。本書は英会話における「素振り」の仕方を教えてくれます。

本書では、「瞬間英作文」のトレーニングを通して、英語を話す力を鍛えます。簡単な日本語を、紙に書かず口頭だけで、瞬時に英語に訳す訓練です。

あなたは次のような日本語を、ばね仕掛けのように即座に口頭で英語に換えられますか?

①学生の時、私はすべての科目の中で数学が一番好きだった。
②君はあの先生に叱られたことがありますか?
③昨日僕たちが会った女の人は彼の叔母さんです。

どうでしょうか? 瞬間的に口から出すのはなかなか難しいのではないでしょうか? しかし、英語を話せる話せないを分ける分水嶺はこうしたことが出来るかできないかです。

英文例を挙げておきましょう。

①When I was a student, I liked mathematics (the) best of all the subjects.
②Have you ever been scolded by that teacher?
③The woman (whom/that) we saw yesterday was his aunt.

英文を見てしまうと「なーんだ」というレベルでしょう。しかし、英文を見れば何となく理解できるけど、自分では口頭で即座に作れないという人は、中学英語が「わかる」から「できる」に移行していないのです。英語を話せる人は、自然な経験を通じてだろうと、意識的な訓練だろうと、必ずこうした基本文形の使いこなしをマスターしています。

筆者もこの本に助けられた一人です。自分の「口から英語を出す力」のなさに気づき、本書を購入して3カ月間トレーニングしました。結果、「すべてのいいたいことを何とか英語に変換できる」レベルのスピーキング力を身に着けることが出来ました。
▸▸『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』 森沢洋介:著(ベレ出版 )

4. マヤ・バーダマン著『英語のお手本 そのままマネしたい「敬語」集』(朝日新聞出版)

「英語に敬語はない」「英語ではYes/Noを直接的にはっきり言うべきだ」そんな英語の「常識」に対して、長く外資系企業で働いた経験を持つ筆者が警鐘を鳴らします。

・英語圏の人はフランクだから、直接的に伝える方がよい
・中学生レベルの英語で十分通用する
・ジョークを交えて話す方が受けがよい

これらはすべて間違いです。英語も日本語と同じで、敬語を用いて丁寧に伝えることが、基本的なマナーです。ジョークも、相手や状況によっては印象付けたり場を和ませたりする意味で効果的な場面もありますが、使わない方が無難でしょう。日本語で常識として言わないことや使わない伝え方は、英語でも変わりません。

「英語ではなんでも直接的に話せばいい」と思い込んでいた筆者は、この本を読んで大いに反省しました。

本書の中では、丁寧さをアップさせるために

①クッション言葉で柔らかくする
②リクエスト形式にする
③つなぎ言葉で流れをつくる
④単語を「格上げ」する
⑤「波」で変化をつける

という五つの戦略を取っています。具体的な例を引用すると。

①クッション言葉で柔らかくする

相手を思いやる言葉を一言挟むことで、丁寧さが増す。

Your department is short-staffed, but we would appreciate it if we can ask 2 people to help out with the event.
(あなたの部署は人手に余裕はないですが、イベントのお手伝いに2名来ていただけるとありがたいです)

I understand that your department is short-staffed, but we would appreciate it if we can ask 2 people to help out with the event.
(あなたの部署は人手に余裕がないと承知しておりますが~

②リクエスト形式にする。

相手に「~してくださいませんか」とお願いする形で意思を伝える。
I want you to submit the form today.
(今日フォームを提出してほしい)

Could you submit the form today?
(今日フォームを提出していただけますか?

③つなぎ言葉で流れをつくる

話の流れを表わす言葉をはさむことで、丁寧な文体になる

Our sales are gradually improving.
(わが社の売り上げは改善しつつある)

In conclusion, our sales are gradually improving.
したがって、わが社の売り上げは改善しつつあるといえる)

④単語を「格上げ」する

難易度の高い単語を使うことで、硬い表現になる。

Please hand out the materials at the meeting.
(資料をミーティングで配って下さい)

→ Please distribute the materials at the meeting.
(資料をミーティングで配布してください)

⑤「波」で変化をつける

「敬語のレベル」を話の中で上げ下げすることで、丁寧過ぎない親しみの持てる表現を心掛ける。

A: Have you had an opportunity to review the documents?
(資料を確認するお時間はございましたか)
B: I’m afraid I haven’t.
もうしわけありませんが、ありませんでした)
A: Well, please let me know when you have.
(では、お時間のある時がありましたらおっしゃってください

ここまでは礼儀正しい表現を使っている。

B: Sure
(もちろん)
A: Thank you.
(ありがとう)

主語を省略したり、”sure”のような口語っぽい表現を使うなど、他人行儀でなく親しみを表現する方向にシフトしている。

本書では「ビジネスメールを書く」「クライアントをランチに招待する」など、具体的な場面ごとの「丁寧で心地よい英語」を徹底的に分析します。すべての場面に10本以上の例文があり、使い勝手も抜群です。「遊びの英語」を超えた教養ある英語を身につけたい方に是非お勧めしたい一冊です。
▸▸『英語のお手本 そのままマネしたい「敬語」集』 マヤ・バーダマン:著(朝日新聞出版)

5. 猪野真理枝, 佐野洋著『英作文なんてこわくない 日本語の発想でマスターする英文ライティング』(東京外国語大学出版会)

英語のライティングはなぜ難しいのでしょうか。単語を知らない・文法がわからない、色々な理由が思いつくかもしれません。でも本書の意見は明快です。「日本語と英語は表現の仕方が違うから」

「じゃあ具体的にどう違うの?」そんな声にこたえるため、本書は言語と言語を比較する「対照言語学」(contrastive linguistics)の力を使って、丹念に日本語と英語の違いを解き明かしていきます。

日本語は、必要な成分であっても、文脈上明らかであれば、文中には表しません。例えば、「映画に行かない?」のように、話し手である「私」や話相手の「あなた」は必要な成分であっても、通常は文から省略されます。

(中略)

一方、英語では、語順によって単語同士の関係を表わすために、文に必要な成分を、日本語ほど頻繁に省略することが出来ません。そのため、日本語を英語にする際には、しばしば必要な成分を補わなければなりません。

Step1 Unit1より

「英語と日本語が違う」ことは知っていても、その構造を簡単な言葉で論理的に説明してくれる本はとても貴重ではないでしょうか?本書はその数少ない一冊です。毎回の最後には練習問題があり、着実に力をつけることが出来ます。

ある程度読めるようになったけど、書くのには自信がない……、そんな方に是非オススメしたい一冊です。本書のほかに二冊の上級編が出版されており、継続して勉強を続けることができます。
▸▸『英作文なんてこわくない 日本語の発想でマスターする英文ライティング』 猪野真理枝・佐野洋:著(東京外国語大学出版会)

6. 鳥飼玖美子著『国際共通語としての英語』(講談社現代新書)

「世界の英語たち(World Englishes)」という言葉を聞いたことはありますか? 世界の人達が話す英語は、全てお手本通りのアメリカ・イギリス英語でしょうか。もちろんそんなことはありません。現地の言語や文化の影響を受けて、”Chinese English”, “Singapore English”, “Indian English”などなど、様々な特色ある英語が誕生しています。

”World Englishes”とは、これらのお手本通りではない英語を、「間違った英語」と批判するのではなく、「その地域の特色をもった英語たち」として尊重しようという考え方です。もちろん、”Japanese English”もその中の1つです。

通訳・英語教育の第一線で活躍する鳥飼氏が、多様なバックグラウンドを持った人が集まる国際社会で、本当に必要な英語を教えてくれます。

たとえば「痛む」という意味のache。ある人が、原爆投下に関して、次のような英文を書きました

“…pass down the aching experience of Hiroshima and Nagasaki.”

日本語なら、「広島・長崎の痛ましい体験を次世代に伝える」と言いたいわけです。この英文は正しいか、間違っているか。別に何も問題はないように見えますが、ネイティブ・スピーカーはこのachingは語法の誤りで正しくはpainfulになるべきだと言うでしょう。

しかし、なぜachingではダメなのか? と聞かれて、説明できるネイティブ・スピーカーは少なく、たいていは、「なんか不自然な感じがする」「こういう時には使わない」と答えるくらいでしょう。

(中略)

それに、aching experienceと言って、通じないか、誤解されるか、といえば、そのようなことは全くない。十分に意味は通じます。このような場合は、国際共通語としての英語として、問題ない、これが現実の英語である、ということになります。

ネイティブ英語でなくても、国際舞台で通用する英語があります。本書では、文法・音声といった昔ながらのトピックに加えて、欧州評議会が提唱した”CEFR”(*注1)や、「英語支配と英語格差」など、様々な話題を取り上げ、本当に必要な英語力を模索します。
(*注1)CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)は「ヨーロッパ言語共通参照枠」として知られ、語学のコミュニケーション能力別のレベルを示す国際標準規格として幅広く導入されています。

本書は私たちを「ネイティブと同じ英語を話せなければ恥ずかしい」という呪縛から解き放ってくれるでしょう。
▸▸『国際共通語としての英語』鳥飼玖美子:著(講談社現代新書)

7. 黒田龍之介『語学はやり直せる!』(角川oneテーマ21)

必死に勉強して、根性で一時的に語学力をつけ、たとえば検定試験で好成績を収めても、語学はそれで終わりではない。放っておけば、どんどん忘れる。語学で意外に大変なのは、メインテナンス。そのメインテナンスがどうしてできないのか。

やっぱり、つまらないからである。つまらないのはダメ。語学は文化であり、つまらない文化はいけない。今までの語学教育は、楽しむことを考えてこなかった。それじゃ続かない。どうしたら続けられるか。つまり、どうしたら楽しめるのか。これをもっと考える必要があるのではないか。

著名なスラブ語学者にして、英語教師でもある黒田龍之介氏による一冊。英語だけでなく様々な言語に精通した著者が、学校で教えてくれない「語学の楽しみ方」を提案してくれます。

本書の前半部分には、語学の勉強を「クールに」するための、様々な工夫が詰め込まれています。好きな漫画の外国語訳を読む・外国語の子供向け辞書を書き写してみる・「外国語デー」を作って、一日その地域の食べ物しか食べない…… 肩の力の抜けた気楽な勉強法に、筆者も大いに感銘を受けました。

後半部分は英語学習者へのメッセージになっています。必死に勉強しても思うように英語が上達せず、煮詰まってしまう――著者はそういった、「追い立てられた英語学習者」に対して、「いっそ三カ月くらい、英語をお休みする」ことを提案しています。

英語と距離を取って、別の言語に触れてみる。英語と関係のあるドイツ語やオランダ語でもいいし、大きくかけ離れたロシア語や中国語でもいい。世界一難解な発音のシステムを持つ、アフリカのコサ語に触れてみるのもいい。

自分で勉強の仕方を考え、自由なペースで新しい語学を学ぶことで、語学の面白さを再発見する。その経験が英語学習への見方を変えるきっかけになると私は思います。

語学は時間がかかるもの、追い立てられずに自分のペースで楽しく学ぼう。著者の温かいメッセージは、英語に疲れて「煮詰まった」頭をやさしくほぐしてくれます。
▸▸『語学はやり直せる!』黒田龍之介:著(角川oneテーマ21)

まとめ

いかがでしたか? 上級レベルに達すると、英語は一気に楽しくなります。自由に英語で情報収集ができ、外国の人とも自信をもって語り合えるようになれます。“No sweet without sweat.(汗なくして甘美なし)” と言う通り、苦労の後には楽しみが待っているのです。

読者の皆様がこれらの本を活用して、長い中級者のトンネルを脱し、コミュニケーションの楽しさを味わえるようになる、その助けになることが出来れば幸いです。

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