【前編】 英語学習は受け身だと疲れるだけ! 楽しく続けるためにはbe active & 自分流の学習法を見つけよう!!/晴山陽一さん

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英語教材の編集者としてスタートし、紙媒体だけでなく受験英語のソフトの開発までを手がけた晴山陽一さんが、英語学習書の著者として独立したのは今から17年前。以来、驚異的なペースで著書を出版する晴山さんは、一体どんな気持ちで英語と対峙しているのでしょうか? 毎年、英語に関するテーマを掲げているという晴山さんの現在のマイブームは? そして、レアジョブ英会話との出会い、活用法とは? 言葉の端々から“英語♡”な気持ちが溢れ出てくる晴山さんに、英語に関するあれこれを、あますところなく語ってもらいました。

そもそも英語に興味はなし。きっかけは、英語教材担当の編集者として

Q:まず晴山さんの英語にまつわるヒストリーを教えてください。学生時代から英語がお好きだったんですか?

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いえ、もともと好きなわけではなくて、簡単に言えば、あるとき英語を使って仕事をすることになってしまった、というのが本当のところです。大学卒業後、学習ドリルを作る出版社に就職したのです。国数英理社のどの担当になるかを決めるときに、たまたまアルバイトの話を持ってきてくれた父が英語教師だったこともあり、「じゃあ英語をやってみる?」という感じで聞かれ「はい、わかりました」と答えたのが始まりでした。

まずは中学生向けの英語の参考書やドリルを作る担当になったので、中学の英語の教科書や既存の参考書を一式取り寄せて読んでみたのですが、まあ、それはつまらなかった(笑)。英語の例文がつまらないんです。

それでも仕事ですから、最初1年ぐらいは一生懸命目を通していましたが、どうにも満足できなくなり、外国の教材に目を向けるようになりました。特にイギリスの教材を買って読み始めたら、日本のものとは全然違うんですね。教える順番も違う。どうしてこんなに教え方が違うのか?というのが英語にのめり込むきっかけになりました。また、その「なぜ?」が今でも英語教育本を書き続けている根底に流れていると思います。

当時は英語のドリルだけでも毎月20冊近く出していましたが、全部に英語ネイティブの校閲がついていました。すると、本当にたくさんの赤が入ってきて「教科書の英語は変だぞ!」ということに気付き始めたんです。校閲は英語ネイティブが直接編集部に持ってきてくれることも多かったので、時間があるときは、直接間違いの指摘や修正の意図を教えてもらったりもしました。

「こんな言い方はしない」「教え方が間違っている」というようなことを繰り返し言われ、「全然違う」という思いが日増しに高まっていったんです。

20代で500ページ近い英文法書を出版!?

Q:「違う」と感じる日々が続いて、どうされたんですか?

2年ぐらい過ぎたころでしょうか、日本の教科書英語の間違いについてたまっていった自分の知識を伝えたくなって、会社に隠れて自分で文法書の原稿を書き始めたんです。中学英語をシチュエーション別に教えるという構成にして、それぞれの場面でどんな英語を使うのかを明確に記した内容にしました。すると、500ページほどのボリュームになってしまったんです。

秘密にはしていていましたが、仕事の延長ということもあり、職場で原稿を書いていたので、ある日会社に見つかってしまい、社長の手までわたってしまったんです。ところが「これは面白い!」ということになり、出版する運びになったんです。27、28歳のときです。

Q:入社4、5年の若手編集者がいきなり著者になってしまったんですね?

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ええ、まあそうですね。(立派な装丁の分厚い1冊を手に取りながら)これがその文法書です。(ページを開きながら)たとえば否定文の解説でも、This is not my bag.という例文のそばに、間違って他人のかばんをかかえて電車から降りてしまった乗客のイラストを載せています。こういったイラストを多用することで身近な感覚で理解が深められますし、読んでいても想像が広がって楽しめると思ったんです。

Q:今で言うヘタウマな感じのイラストは味もあるし、カワイイですね。

これも私が描いたんです。だから全部“自作自演”(笑)。既に20代でここまでのめり込むぐらい、英語に情熱を傾けるようになったんです。

Q:ずばり、本は売れましたか?

最初はドリル教材の読者を対象に売っていたんですが、しばらくしてからは縮刷版という形で出版されるようになりました。縮刷版は最終的には15刷りを超え、結局20万部近く売れたと記憶しています。

Q:すごい! いきなり大ベストセラーですね!!

いえいえ。ただ、会社をやめて独立したのは入社から23年が過ぎてからですが、この1冊目の文法書がここまで売れたおかげで、(英語学習書の著者として)やっていけるという自信を持つことができましたね。

Q:出版社時代はほかにどんな仕事をされたんですか?

経済誌の雑誌の創刊に携わったり、英語の学習ソフト作りの担当を務めたりもしました。ソフトは大学受験に必要な英単語を1100語網羅したもので、完成してからは同ソフトを使って全単語を2日間で暗記するという触れ込みのセミナーを、全国で開催して回ったんですよ。その後大学受験用のソフトは、熟語、語法、読解など幅広く作りました。

TOEIC初受験が独立するきっかけに!

Q:独立するきっかけは?

大学受験の英語ソフトのラインナップが一通りそろってからは、社会人向けのソフトの開発を命ぜられました。社会人向けとは、つまりTOEIC対策ですね。TOEIC頻出単語のソフトを開発しているときに、このソフトが完成し、セミナーを開催するとなると、「1度も受験したことがない」というのは許されないだろうなと思うようになり、発作的に受験することにしました。1997年のことです。

ただ、仕事で飛び回っていたので事前勉強を全くせずにテスト前日深夜を迎えてしまったんです。模試の問題を初めて見てみると、まず問題数がとても多い。それに、リスニング問題を読み上げる音声がすごく早い。さらに、長文問題はじっくり読んでいると全然終わらない。これはさすがにやばいと思いましたが時間もなかったので、7つのパートの傾向だけを頭に入れて床に就きました。

翌朝起きると、あり得ないことが起こったんです。何と「TOEIC攻略10カ条」がパッと頭に浮かんできたんです。あわてて新聞についてきた広告の裏に10カ条をメモしました。そしていざ受験してみたところ740点が取れたんです。当時730点が海外赴任の目安になっていましたが、それ以上の点数をリスニングの訓練を一切せずに取れたので、周囲も驚いていました。

ある人から受験体験を基にして本を作れば?と言われていたので、10カ条を基に1冊書き上げました。知り合いの外部編集者に原稿を見てもらったところ、ほかで売り込んでもいいか聞かれたのでOKの返事をしました。すぐにアスキーからオファーがあり、顔合わせでオフィスに行くことになったんです。

担当編集者からは、「ほかの出版社でお勤めですから、この本はペンネームでの出版ですね」と言われました。でも、「いいえ、どうぞ本名で出してください。会社は辞めますから!」とお答えしたんです。

独立後は辞書を読みまくり、データベースを作成

Q:独立を即決されたと?

ええ、その場のひらめきでした(笑)。本が出るまでには半年ぐらいあるので、会社には出版の直前まで秘密にして勤めることもできたのですが、さっさとやめました。

退職してからの6カ月は、かたっぱしから英語の辞書を読みまくり、使えると思ったセンテンスを、文法とテーマ別に分けてデータベース化していきました。フリーランスで本を一定のペースで量産していくために、よい例文となるフレーズのデータベースを一気に作ってしまったんです。このデータベースは今でも使っています。

一般の学習者はそこまで英語の辞書を読み込んだりはしないと思うのですが、この作業で隅々にまで目を通したことは、私の英語力の土台造りの形成にも役立ったと思います。

英語本ベストセラー著者が語る、英語ができるようになるコツとは?

Q:今まで130冊以上の英語学習本を出版されている晴山さんに、おそらく読者がいちばん聞きたいと思っている質問をさせてください。どうやったら英語が上達しますか?

その答えは、私の中でも頻繁に変わるんです。というのも、書き終わった本のことはあえてすぐに忘れるようにしていて、常に書いている最中の本に没頭しているんです。「どうしたら」の部分は「今、書いていること」に左右されるんですね。

Q:では、マイブームで結構ですので、どうすればいいと今はお考えか教えてください。

詳しく話すと本のネタバレになってしまいますが(笑)、わかりました。今いちばんいいなと思っているのはとってもシンプルで、洋画やテレビドラマ、シットコムを見ることを通じて英語を学ぶ方法です。ロミーさんこと有子山博美さん(本サイト「RareJob English Lab」でもコラムを連載)や南谷三世さんの影響も大いに受けているんですけれども。

ただ一口に見ると言っても字幕ありかなしか、そもそも字幕は英語か日本語か、はたまた日本語吹き替えも見るべきかなど、いろんな選択肢があります。

見方を説明する前にまずお伝えしたいのが、「文字は音声とはまったく違う」ということです。スクリプトは、役者がわっと一気にしゃべった言葉が文字に起こされたものですよね。でも、実生活ではスクリプトや字幕なしに、一気にワッとしゃべりかけられる場面に遭遇するわけです。ピリオドまでを読んで、後ろから読解するのと、ワーっと発せられた英語を理解するは全然違う。だから音から入るのがベストなんです。

でも、CDのように音だけを聞くのは疲れる。さらにシャドーイングも一緒にやれ、などと言われると疲れも倍増です。疲れてしまうと私は本が書けなくなって困るので、「どうしたら疲れないか」は非常に重要なんです。集中してディクテーションやシャドーイングを10分ずつしてクタクタになるというような事態は絶対に避けたい(笑)。勉強ができても、その後仕事ができなくなってしまったのでは、ビジネスパーソンも同じく困りますよね。

晴山式は英語音声を英語字幕で1回のみ見る!

Q:疲れない勉強法、ぜひ知りたいです。

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まずは文字からは勉強に入っていかない。全否定しているわけではありませんが、文字は書き取った後の英語だから違う。そればっかりやっていると聞き取りも話もできない。ダッと流れる音声を聞き取るのがオススメ。でも、ただ聞くだけだと疲労度が増すので映像つきで見ましょう。

映像つきと言っても、教材の類いはつまらない。やっぱり楽しめるストーリーがある映像でないと。ジャンルは恋愛ものでも法廷ドラマでも犯罪サスペンスでも何でもいいけど、自分にとって楽しいものを選びましょう。

一番疲れないのは、2つやり方があります。どっちがいいというのではなく好みの問題ですね。1つは同じものを何回、何十回と見るやり方です。 向いている人はいいですが、3回ぐらいで私はギブアップでした。「ゴースト ニューヨークの幻」を勧められて繰り返し見てみたのですが、もう筋がわかっているのでダメだった。

私の場合は、やはり筋を追うのが楽しいので、見るのは1回でいい。言語は「英語音声、英語字幕」です。それでも内容が分からないときは、いさぎよくあきらめます。

わかろうと無理はしない!3割理解できればOKと割り切ろう!!

Q:聞き取れない箇所を巻き戻したり、意味のわからない単語を調べたりはしないでいいと?

その通りです。なぜなら、そういった作業は疲れますからね。でも、映像を見ていれば、誰が犯人か、誰と誰が恋愛関係にあるか、など大筋はそこそこわかるもの。「流れがわかればいいじゃん!」というスタンスですね。

「それでは話の2、30%しかわからない」という声もあるでしょう。2回目で50%まで、3回目で70%までと徐々に理解度を高める考えもある。まあ、苦もなく同じ映像を見ることができればやってもらっていいのですが、私のように同じものは飽きてしまうという方にはハードルが高いです。新しいエピソード、新しいシーズンを前に「今度はどんな話の展開が待っているんだろう?」とワクワクしながら見続けるためには、1回が限界なんです。

理解度は相変わらず30%と低いままかもしれませんが、これはまあ、サッカーのボール支配率のようなもの。英語ネイティブでもなければ100%ボールの支配なんてできません。100%はもちろん、50%も目指さない。30%でいいと割り切って見ていくんです。

“一度見”も続けていれば、“ボール支配率”はUpする!

これは経験談から言えることですが、“一度見”も続けていれば、“ボール支配率”は徐々に上がってきます。「Bottoms up!は乾杯のシーンで前もどっかで出てきたから「乾杯」という意味か。がんばって飲み干しているようだから、『一気』としても使えそうだな!」などと見当をつけられるようになる。

初見のものを楽しみながら見つつ、徐々にボール支配率を上げていくのがもっとも疲れずに、長続きしてできる学習法なんです。少なくとも私にとってはそうです。筋を追うのが楽しいので、英語が分かる・分からないは、いい意味で二の次になって、聞き取りができなくても落ち込んだりもしませんし。

Q:繰り返して飽きることがない。聞き取れなくても気にならない。楽しいから疲労感がない。確かに続きそうです。

でしょ? もしかしたらこれ以上最強の学習法はないのではないかとも思っているほどです。もちろん、先生を目指す人や仕事で高度な業務を英語でこなすような人は文法もしっかり学ぶ必要があります。ただ一般の日本人の場合であれば、学生のころに「文字から学ぶ英語」にどっぷりと浸かってきましたから、耳から入ってきた音声を瞬時に理解し、その通り口に出すということができない。だからその弱点こそを鍛えるべきなんです。

Q:晴山さんはどんな作品をご覧になったんですか?

『The OC』です。最新作でなければ1シーズン分のボックスDVDもリーズナブルな値段で買えます。もちろん、レンタルでもよいのですが。私の場合はまず数話を見てみて、ドラマの感じをつかんで、いけそうかどうかを判断しています。ときたま、ちょっと飛ばして後のほうのエピソードもチェックして、どんな展開になるのかチェックしてしまうことも。1話も逃すまい!といった意気込みでやると、それこそ疲れるので(笑)、娯楽の延長という感覚でやっています。

 

後編は11/25(火)にアップ予定です。

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