「IELTSで満点を取りたい」という方も少なくないはずですが、満点を取るためにはどのくらいの英語力が必要なのでしょうか。本記事では、IELTS満点の難易度や評価基準、満点取得に必要なことなどをまとめました。
なお、IELTSにはアカデミック・モジュールとジェネラル・モジュールの2種類がありますが、本記事では両者に共通したことを解説しているので参考にしてみてください。
IELTSの満点は何点?スコアの仕組みは?
IELTSは、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能を1~9のスコアのなかで0.5刻みに評価する試験です。リスニングとリーディングは正誤問題、ライティングとスピーキングは試験官により採点されます。
英語力をスコアで評価する形式のため、英検のように合否はありません。試験時間は4技能全て合わせて約170分間あり、英語力だけでなく時間配分や集中力なども求められます。
また、4技能をそれぞれ個別に評価したものを「バンドスコア」と呼び、総合評価を「オーバーオール」と呼びます。オーバーオールは、バンドスコアの平均で決まるのが特徴です。なお、本記事でいうIELTS満点とは、総合評価である「オーバーオール9.0」だと捉えてください。
IELTS満点はどのくらい難しい?
ELTS満点を目指す方にとって、最も気になるのが難易度かもしれません。IELTSで満点を取得するハードルは非常に高く、ネイティブスピーカーでも困難だとされています。
例えばイギリスのオックスフォード大学やケンブリッジ大学など、世界の名門校への入学基準は7.5以上が一般的。7.5というとネイティブスピーカーがIELTS対策をして、ようやく取得できるレベルです。満点の9.0を目指すとなると、かなりの時間と努力が必要になるでしょう。
また、IELTS7.5はTOEICに換算すると970~990だといわれていることから、満点の9.0はTOEICでは換算できない領域だということが分かります。
IELTSの満点が取れないと言われる理由は?
IELTSで満点を取るのが難しい理由として、“IELTSは英語力だけでは通用しない試験だから”という点が挙げられます。
例えばライティングの評価基準に、TA(Task Achievement)があります。このTAとは、聞かれたことにきちんと答えられているかどうかを評価する項目。たとえ豊富な語彙力があり高度な英文を書けていたとしても、質問の本質を理解し、適切な答えを書けていなければ満点はもらえません。
ライティングスキルだけでなく、理解力や論理性がなければ満点は取れないと考えておくべきでしょう。
また、理解力や論理性を磨くだけでなく、満点を取るためにはどういったポイントを意識すべきなのか、IELTSの評価基準を理解することも重要です。
IELTS満点の評価基準や正答率は?
ここでは、IELTS満点の評価基準や正答率について詳しく見ていきます。
リーディングとリスニングは97.5%以上の正答率が必要
前項で、ライティングの評価基準の一つである“TA”が満点取得の壁となっていることをお伝えしました。ライティングで満点を取る壁は非常に高いことから、オーバーオール9.0にはリーディングとリスニングで高得点を取ることが必然的に求められます。
具体的には、それぞれの技能で97.5%以上の正答率が必要です。リーディングとリスニングはそれぞれ問題数が40問で、試験時間はリーディングが60分、リスニングが40分。それぞれで正誤問題が出題され、間違えても良い問題数は最大で1問のみです。時間配分を意識しながら、確実にミスしない正確性が求められます。
ライティングは8.5を目指すのが無難!9.0は難しい
ライティングは、IELTS満点を目指す上で大きな分岐点となり、ここで8.5以上を取れるかどうかが勝負だといわれています。
例えば先ほど紹介したTAのほかの評価基準に、CC(Coherence and Cohesion)があります。CCでは、読み手のことを考えて段落が分けられているかなど、文章構成まで細かく見られるのが特徴。そのほかにも、語彙力や文法力などさまざまな側面からライティング能力が測られます。
ネイティブでも相当教養があり、論理的に構造を組み立てられないと満点は厳しいもの。そのためIELTS満点を目指すのであれば、ライティングではひとまず8.5を狙うのが一つの戦略。そして、それ以外のところで9.0を取り、オーバーオール9.0を目指すのが得策です。
スピーキングは英語が話せるだけでは通用しないレベル
ここまで紹介した3技能と同様に、スピーキングも相当レベルが高い試験です。
スピーキングの評価基準には、流暢さ・語彙力・文法力・発音などがあります。これらの評価基準は、日本で英語教育を受けた日本人がかなり苦戦するところです。スピーキング試験では、ネイティブスピーカーが試験官として対応するため、事前にネイティブ講師と練習して試験慣れしておくのが良いでしょう。
また、おすすめの参考資料として、youtubeにスピーキングで9.0をとるレベル感が分かるIELTSの公式動画が掲載されています。面接形式で実際の試験をイメージしやすいので、スピーキング試験の難易度を知りたい方はあわせてチェックしてみてください。
IELTS満点を取るために必要なことは?
それでは具体的に、IELTS満点を取るために必要なことを3つ解説していきます。
教養がある大卒ネイティブレベルの英語力
IELTSで満点を取るために必要な英語力がどのくらいかというと、大卒かつしっかりとした教養のあるネイティブスピーカーレベルです。もはやこれがベースでないと、絶対に満点はとれません。
英語試験というと「正しい英文が書けること」や「流暢に英語を話せること」に注目しがちですが、IELTSでは新聞や書籍、雑誌などの一般教養に関する出題も少なくありません。いくら英語の勉強だけしても、出題されるテーマの背景が分からなければ完璧な解答をするのは難しいもの。
そのためIELTSで満点を目指している方は、ただ英語を教えられる講師ではなく、教養のあるネイティブスピーカーの講師から指導を受けるのがおすすめです。
どんなトピックが出ても意見が述べられる知識量
上でお伝えした通り、IELTSの問題で扱われるトピックは、アカデミックなものから社会的なものなど専門性が高いものが中心です。そのためどんなトピックがきても対応できるように、日頃からいろいろな英文に触れて幅広い知識をつけておく必要があります。
特にライティングに関しては、知識がなければ全く歯が立たないことも珍しくありません。教育やグローバリゼーションなど自分の専門外のテーマが出題されたとき、日頃からそのテーマについて興味を持っておかなければ、試験当日に自分の意見を書くことは難しいでしょう。
新聞や書籍、雑誌に触れるのはもちろんのこと、日頃からアンテナを張っていろいろな情報に触れておくことが大切です。
ロジカルシンキングを駆使して解答する力
IELTSの試験のなかには、自分の意見を論理的に説明する問題があります。ライティングであれば、読み手を意識して文章構成を考え、矛盾点のないよう自分の意見を書かなければいけません。評価項目には論理性も含まれているため、ロジカルな解答ができなければ高得点は望めないでしょう。
またスピーキングに関しても、あるテーマに関する自分の意見を述べる課題が出されます。約1分かけて頭のなかで意見を組み立ててから、約2分かけて話すことになるため、時間を意識しなければいけないのも難しいポイントです。
ロジカルシンキングは、一長一短ですぐに身につくものではありません。また、自分が論理的な解答をできているかどうかは、自分ではなかなか判断できないもの。そのため信頼できるネイティブスピーカーに添削してもらいながら、苦手を克服していくのが良いでしょう。
日本人のIELTS平均点は5.8!どのくらいのレベル?
「日本人は他国の人と比べて英語が苦手」と聞くことも多いですが、IELTSのスコアに関してはどうなのでしょうか。公式発表によると、日本人のIELTSオーバーオールの平均は5.8とのことです。
具体的にどのくらいの英語力かというと、リーディングに関しては大学の受験英語に触れたことがあり、TOEICのリーディングパートでは400点前後とれるレベル。リスニングに関しては、ネイティブスピーカーの話すおおよその内容は聞き取れるが、まだ聞き間違いがあるレベル。
さらにスピーキングに関しては、自分の言いたいことは言えるものの、文章のつながりに違和感があったり、発音や単語のミスが時折見られたりするレベル。そして、ライティングに関しては、質問に対して適切な解答や段落分けはできるものの、やや語彙が足りず文法ミスがあるレベルだと言えるでしょう。
まとめ
IELTS満点は、ネイティブスピーカーでも難しい高い壁です。ですが、たとえ満点を取ることが難しくても、満点を目指した学習はスコアアップに大きく貢献します。
IELTSに向けて学習を進める際は、幅広いテーマに関する知識をつけること、ロジカルシンキングを心がけることなどをぜひ意識してみてください。
また、IELTSは評価基準を知ることも重要なため、改めて内容をチェックしておくようにしましょう。
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