ICT教育はあくまで手段。英語の成績の向上だけでなく、生徒の意識を変革した取り組みとは?/旭川明成高等学校 佐藤圭介先生

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北海道にある旭川明成高等学校は昨年度より電子黒板を全教室に導入、また生徒全員にiPadを配布し、本格的にICT教育をスタートしました。

中でも「英語4技能強化」を目的として、従来の座学による英語学習からICTを活用した実践的な学習へシフトしています。今回のICT教育推進の要でもあり、日々「新しい英語の授業づくり」を進めている英語教員の佐藤圭介先生に、英語教育で目指すことや生徒の意識に変化をもたらした新しい取り組みについてお話をうかがいました。

限られた時間でやるべきことは「とにかく実践」をすること

Q: 英語教育の中で目指していることはありますか?

外国人を前にして、物怖じせずに話ができる大人はどれだけいるでしょうか。私たちは中・高で6年間英語を学んできました。大学受験でさらに高度な英語力を求められた人も少なくないでしょう。それでも外国人との会話に難色を示す場面は数多く見られるものです。なぜ、学んできたはずの英語を、自信をもって使えないのか。それは、大半の日本人が英語のコミュニケーション機会に恵まれていないため、実際の場面で英語を「聞く」「話す」ことに大きな不安を持っていることにあると私は思います。この「不安」、英語で会話することへの「心理的障壁」を早い段階で取り払い、コミュニケーションツールとして英語を実践的に使うことで、英語の本質的な定着を促したいと考えています。

子どもたちの脳は柔軟です。正しい知識とそれを活用する機会を増やしていけば順応は大変早いです。語彙や知識の習得と並行してALTとのTT(ティーム・ティーチング)などに力を入れ、学んだ知識を活用する場を多く設ける授業作りを意識しています。

実践の機会を増やすために

Q: 実践の機会を増やす取り組みをされていたんですね。効果はどうでしたか?

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ALTが積極的に授業に参加してくれるので、生徒はこれまでより英語で会話する機会を多く得ることができました。しかし、50分間の授業の中で1人のALTが40人の生徒と向き合うというスタイルだけでは実践として十分とは言えません。生徒からも、もっとネイティブと話をしたいという声が多く上がりました。こうした生徒の思いに授業でどう応えることができるか。それを考えたときに、中学生の娘が自宅でやっている「レアジョブ英会話」を授業に取り入れられないかと思いました。

簡単な言葉でもいいから、すばやく反応する

Q: 英語の授業の中でどのようにオンライン英会話を利用していますか?

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旭川明成高等学校では、昨年から全校生徒にiPadを配布し、全教室に電子黒板の設置を完了させ、ICTを活用した授業を推進しています。私が担当する週6時間の授業のうち1時間、授業時間としては50分間を、レアジョブ英会話を取り入れた授業に充てています。

まずウォームアップとして生徒はペアを作り、身近なトピック(好きな映画、週末の予定など)についてトークをします。その後クラス全体の活動として数人の生徒にはALTからの質問にいくつか答えてもらいます。こうして、外国人講師とマンツーマンの英会話レッスンに入る前に、気持ちの準備とフレーズを口にできる練習を毎回行います。レッスンでは、現在「Beginner News Article」というディスカッション教材を使い、題材に対して自分の意見を論理的に述べる練習を行っています。終了後は、iPadを活用してお互いのレッスン内容や、言えたこと、言えなかったことなどをクラス全員で共有し,フィードバックを行います。

Q: 授業の中で重視していることはありますか?

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昨年、私はオーストラリアで一年間英語教育について学んできました。他国の学生と共に講義を受ける中で感じたことは、日本人は準備時間をもらえれば比較的クオリティの高い答えを提示することはできるのですが、短時間で答えをまとめて発表したり、自分の意見や考えをすぐに述べたりすることは苦手であるということです。このレアジョブ英会話のレッスンの中で、簡単な言葉でも、短いフレーズでもいいから、相手の言ったことに対してすばやく反応できる力をつけて欲しいと思います。

成績の向上だけでなく、心理的障壁を壊せたことが何よりの成果

Q: レッスンを続けて効果はいかがでしょうか?

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たくさん実践ができる場としてレアジョブ英会話を授業に取り入れましたので、スコアの伸びに大きな期待をしていたわけではないのですが、驚いたことに成績面にもその効果は大きく反映されていました。英検では、ここ3年で最も多くの資格取得者を輩出し、GTECではリスニング・リーディング・ライティングすべての技能のスコアが過去最高の成績となりました。その他の記述模試でも大変良好な成績を収めています。外国人と実際に英語を使って「聞く」「話す」といった技能の実践を多く積むことで、机上で学んでいる英語とコミュニケーションツールとしての英語の間にある乖離がなくなり、結果として「読む」「書く」といった技能の向上も見られたのだと思います。まさに、英語は4技能をバランスよく学んでいくことで力がついていくということの良い実践例だと思います。

外国人講師と、マンツーマンで25分間、英語で会話をするということは決して簡単なことではありません。生徒たちのアンケートを見ると、最初の頃は「25分間が長い」「気が重い」などとありましたが、今では「今日は講師の話す内容をほぼ聞き取ることができた」「瞬時にどう答えればいいのかわかるようになってきた」など、英語を話すことに対して自信がついてきたことが見てとれます。レアジョブ英会話によって、「英語で会話するのが怖い」という心理的障壁を壊せたことが何よりの成長ですね。

英語は学習科目ではなく、手段であることに気づいて欲しい

Q: 今後英語を通じてどのように活躍して欲しいと考えていらっしゃいますか?

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私は、英語が話せることで自分の世界が広がったことを実感している人間の一人です。社会のグローバル化にともない、英語の必要性が声高に叫ばれるようになってきているとはいえ、日本では「英語が話せないと困る」というわけではありません。ですから、生徒に対しては英語学習の必要性を迫るのではなく、英語を身につけることで自分の世界が大きく変わるということを教えてあげたいですね。せっかく学んでいる英語です。大学受験や検定試験の「学習科目」で終えることなく授業で培った知識や技能を駆使して、自分の好きな学問について外国の学生とディスカッションしたり、海外から新しい知識やアイディアを取り入れたりと、自分の世界をより広げる手段として英語を活用してもらえたらいいなと思っています。

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