英語の発音練習をする本当の意味とは <発音練習編イントロダクション>

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みなさんこんにちは。No.1オンライン英会話スクール「レアジョブ英会話」が運営する、英語情報メディア「Rarejob English Lab」ライターの石田です。

「英語の発音が上手かったらな」と思ったことはありませんか? ネイティブのような美しい発音には、英語を勉強する多くの人が、一度は憧れたことがあると思います。

そこで、英語落第生だった私が一から独学で発音改善をした経験から、そのコツについて、これから数回に分けてお話ししていきたいと思います。

今回はそのウォーミングアップとして、具体的な練習を始める前に、「なぜ発音練習が必要なのか」「どこまで練習する必要があるのか」について簡単にお話しさせていただきます。

1. 日本人の英語の発音

「日本人は発音が下手」だというのは、もはや定説のようになっています。以前の記事でも触れたように、外国の方と話すといつも指摘されます。日本人の中でも、これを否定する人はいないでしょう。”L”と”R” の区別がつかない人が大半だというのは、義務教育で英語を教えている地域としては日本くらいなものです。

発音の問題と、学校英語教育の批判は、セットの様に扱われています。実際、私たちの世代では、学校で発音の指導はありませんでした。今の中高生に訊いても、発音の指導をきちんと受けることは少ないそうです。

センター試験では発音記号の問題が出題されており、発音の問題を改善しなければという英語教育界の危機意識が現れています。しかし実際には、多くの受験生はこれを「捨て問」だと考えており、「センターを機に発音を学ぼう」とはならないのが実情です。

このような現状から考えて、更なる発音の訓練が必要だと考える教育者は少なくありません。私も基本的にはそれに賛成します。

しかし、「どうして発音練習が必要なのか」という本質的な理由は、あまり議論されていないようにも思われます。なぜ発音を学ぶ必要があるのでしょうか。また、仮に発音の練習が必要だとしたら、そのゴールはどこにあるのでしょうか。全員がネイティブのように発音できるまで、延々と練習し続けなければいけないのでしょうか?

2. 発音を勉強する理由

私が発音の練習をした方がよいと考える理由は、この3つです。

①自信を持って英語を話すことが出来る。

②リスニング能力を改善することが出来る

③国際的な舞台で、教養がある人だと思ってもらえる。

私が発音の練習をするべきだと考えている最大の理由は、きれいな発音は英語を話す自信になるということです。

発音が下手だから、恥ずかしくて話せない。こういう方は多くいらっしゃるのではないでしょうか? バリバリの日本人発音で話して笑われるのが怖い、この意識は、日本人の中に広く存在しているのではないかと思います。

「他の国の人だって滅茶苦茶な発音で自信満々に話しているんだから、日本人だってそうしてもいいじゃないか。それができないのは、日本人が人目を気にしすぎるからだ」というような、発音の技術よりも日本人の精神性に問題を見出そうとする意見も根強いです。この意見には賛同できる部分もありますが、恥ずかしいものは恥ずかしいし、出来ることならきれいな発音を身につけたいというのが多くの人の本音ではないでしょうか。

きれいな発音ができれば、英語を話すときに気後れする必要がなくなるのです。

②リスニング能力を改善することが出来る

「自分の口から出せない音は、聞きとることができない」

これは語学のプロの間では通説になっていることです。私自身、英語と中国語という2つの言語を学んだ経験から、リスニング対策の第一歩は発音の訓練だと身をもって経験しています。

以前、ある友人に”L”と”R”の区別を教えたことがあります。これらの音は日本語の音のシステムの中にはないので、普通には区別できません。彼に”limit”と“remit”や、”light”と”right”を聞かせてみても、まったく同じに聞こえると言います。

その後、口の形の違いを図で説明して、彼が”R”の音を出せるように訓練しました。この訓練には5分もかかっていません。その後に”L”と”R”を聴かせると、8割以上の精度で聞き分けられるようになっていたのです。「体得」という言葉がありますが、まさにその通りで、口から出せる音は、耳からも聞き取れるのです。

③国際的な舞台で、教養がある人だと思ってもらえる。

これは、あくまで私の観方です。多国籍の人が集まる国際的な会議では、大抵は英語が使われています。そこでは、きれいな発音で英語を話せるのがステータスになっているような感じがあります。少なくとも、強い母国なまりの英語を話す人は、教養がないかのように見られがちです。

国際的な研究会で、なまりの強い英語で発表している人がいるとします。休憩時間にスタッフが集まると「あの英語はひどい」という話が必ず出てきます。それもネイティブスピーカーではなく、英語を勉強して習得したアジアの人々からです。そして、その人の発表の内容自体も軽んじられてしまいます。

これはおそらく、多くの人にとって英語は学生時代からの必修科目だからではないでしょうか。英語の発音が下手な人→その必修科目をさぼった人のように受け止められてしまうからではないかと思います。そのため、英語の発音のきれいな人は畏敬の目で見られる一方、あまりに発音が悪いとなんとなく白い目で見られてしまうのです。

これは、”English divide” =英語力による格差 の1つの現れです。私自身は、このような英語力で人の教養を判断するような考え方は不合理だと思います。なぜなら、語学力だけでその人の中身を判断できるはずがないからです。しかし、現実にこういう問題があることは知っておく必要があります。

これらの理由から、私は発音の訓練は英語を学ぶ人間にとって有益であると考えています。

3. 「正確な発音」とは

しかしながら、「正確な発音を目指してみんなで頑張ろう」とも言い切れません。「正確な発音」とは何なのかがあいまいだからです。

英語における「正確な発音」とはなんでしょうか。仮にネイティブ英語=正確と考えるなら、正確なアメリカ・イギリス英語ということになるでしょう。

それでは、私たちはみんな、アメリカ人やイギリス人のような英語を目標にして勉強するべきなのでしょうか。

ここで、私の大失敗体験を1つ紹介させてください。私が大学院の用事で後輩を連れて遠方に出向いたとき、とあるアメリカの方の通訳を任されたのです。私は英語にかなり時間を割いて勉強してきたし、通訳経験もそれなりに豊富であったので、問題なく意思疎通ができると思っていました。

しかし、実際に会って話してみるとどうでしょう。その方の英語は非常に早口で、立て板に水のごとく話されます。ほとんど何を言っているかわかりません。彼の発音は非常にネイティブ的で、大部分の音を省略してしまいます。“Can you show me the picture?” が、「きゃんしゅぷあ?」にしか聞こえないほどです。「もっとゆっくり話していただけませんか」と言っても、「もう十分ゆっくりでしょう?」と返されてしまいます。

丸2日必死でその方のおともをしましたが、通訳としての務めをしっかり果たせたとは言えません。本場のネイティブ英語の洗礼を受けた私は、多くの後輩の前で情けない姿を見せてしまったショックも重なり、帰宅後は寝込んでしまいました。今でも週に一度はこの時のことを思い出して叫び出しそうになります。

この時の失敗は、私の勉強不足が原因ではあります。それでも恥を忍んでここにお書きしたのは、「ネイティブ発音」というものがいかに聞き取りにくいかをお伝えしたかったからです。

「ネイティブはそうは言わない!」「ネイティブ式で英文法を勉強しろ!」のような本が氾濫しているため、英語を学ぶ人はネイティブスピーカーを目指すのが当然であるかのように感じられてしまいます。しかし、ネイティブ発音の英語は多くの学習者にとって聞き取りにくいのです。

イギリスBBCのwebサイトに、“Native English speakers are the world’s worst communicators(英語のネイティブスピーカーのコミュニケーション能力は世界で最低である)”という記事が掲載されています。

A lot of native speakers are happy that English has become the world’s global language. They feel they don’t have to spend time learning another language. But… often you have a boardroom full of people from different countries communicating in English and all understanding each other and then suddenly the American or Brit walks into the room and nobody can understand them.

多くの英語のネイティブスピーカーたちは、英語が世界で広く使われる言語になっていることをうれしく思っています。新しい言語の習得に時間を割かなくて済むからです。しかしながら、会議室いっぱいの様々な国から来た人たちが英語でコミュニケーションをし、お互いに十分理解できているにもかかわらず、アメリカ人やイギリス人が突然部屋に入ってくると、誰もその人の言っていることが理解できないということがしばしば起こっています。(筆者訳)

英語ネイティブは、自分達の英語が外国人に通じないので、逆に困っているのです。この問題を解決するために、外国人とのコミュニケーション専用の”Globish”という英語を確立させようという動きもあります。つまり、目的が世界の人とコミュニケーションを取ることなら、ネイティブ英語はあまりいいお手本とは言えないのです。

それは、発音も同様です。仮にネイティブレベルの発音を身に着けたとしても、それが本当に役に立つのかは大いに疑問です。多くのノンネイティブは第二言語レベルの発音で十分に仕事をこなしているからです。流暢すぎるネイティブ発音がノンネイティブには理解しづらいことを考えると、「無用の長物」になってしまう恐れが強いでしょう。

4. World Englishes と発音

みんなでアメリカ・イギリス英語を目指して頑張ろうというのは、私が支持しているWorld Englishesという考え方と明らかに矛盾しています。

World Englishes とは、世界各国の「お国訛り」の英語を、間違った英語として批判するわけではなく、その地域の文化として認めようという考え方です。“Singlish”も”Japanese English”も、アメリカ英語やイギリス英語に等しい価値があるので、安易に間違いだと言ってはいけないというのが、このWorld Englishesの主旨です。

美しい理念ではありますが、お国訛りを許容すると、世界の英語はバラバラになり、結局通じなくなってしまうのではないかという問題点も同時に抱えています。

日本人のカタカナ発音の英語がコミュニケーションの妨げになることは以前から指摘されてきました。しかし、お国訛りの「通じない英語」は、別に日本英語だけではありません。

例えば、巻き舌を多用しすぎるインド英語・中国語やマレー語と融合しているシンガポール英語など、さまざまなローカル英語が、わかりにくいとやり玉に挙がっています。

また、英語を勉強した経験がないせいで、万人にわかりやすい表現が出来ない「ネイティブ英語」も、ネイティブの間でしか通じないという意味では問題のあるローカル英語と言えるでしょう。

円滑なコミュニケーションのためには、結局のところ、ある程度みんなに通じる発音を練習する必要があります。

5. 発音練習を始める前に

以上の問題点を踏まえて、私の主張したいのは以下の2点です

①英語の上達のためには、発音の訓練は絶対に必要である。

②ただし、どの程度まで勉強するかは学習目的による。

例えば、アメリカに移住したいという目的があるのであれば、ネイティブ英語を身に着ける必要があります。”L”と”R”の区別といった初歩的なものだけではなく、様々な音の省略や、ネイティブらしいイントネーションも含めて学ぶ価値があるでしょう。

しかし、多くの人にとっては、そこまでの高い能力は不要ではないでしょうか。時間は有限ですから、使いもしないスキルを勉強している暇は、特に忙しいビジネスパーソンの方たちにはないのではないかと思います。優先順位をつけて、必要なものだけ勉強するほうが合理的です。

6. 優先的に練習するべき発音

では、優先的に練習するべき発音はどれでしょうか? 最も効果がわかりやすいのは、日本語に存在しない「子音」を勉強することです。

らvs R

すvs TH

ざvs TH

ふvs F

ぶvs V

しvs S

しvs SH

じvs Z

これらの音は練習すれば簡単に出せるようになる上に、使う頻度がとても高いため、学習のコストパフォーマンスが良いです。まず子音の区別をつけ、その後母音を学ぶのが効果的ではないかと思います。

7. まとめ

発音を改善すれば、もっと自信をもって英語を話すことができるようになります。しかし、なんとなくでネイティブ英語を目指して勉強すると、泥沼にはまってしまう危険性があります。途中で投げ出してしまう人も少なくありません。優先順位をつけて、効率的に学習していきましょう。

次回からは、具体的な発音練習方法を解説してまいりますので、お楽しみに。

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