【後編】とにかくSpeak up! 三単現のSなんて気にするな! 上達のカギは度胸のみ!/安河内哲也さん

安河内哲也さん
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photo by MIYAZONO JOHNNY KOJI

インタビュー【前編】はこちら

最大の挫折は帰国子女との”未知との遭遇”

Q:30年以上にわたって英語を学ばれてきた安河内さんですが、その中で挫折したご経験は?

前編でもちらっとお話ししましたが、大学1年のときに帰国子女という“「生き物」と出会ったときですね(笑)。九州で育った私は、それまで帰国子女なんてひとりも知りませんでした。もちろん、外国人だってほとんど見たことないくらいでしたし。

でも、大学に入学してみると、学科の半分、クラスの半分が帰国子女でした。当時は、今よりもはるかに多かったと思います。彼らは最初から普通に英語がしゃべれるんです。たとえば、不意に机にぶつかった際に出てくる一言が“Oops!”だったり、うわさ話でびっくりしたときのリアクションが“Oh my God!”だったりするわけです。

私が必死に英語の発音を練習するかたわらで、猛スピードでネイティブのようにしゃべっている。そんな光景プラス自分とのギャップを目の当たりにして、即「終わった」と思いました(笑)。予備校では成績上位だったのに、大学に入った途端に奈落の底に突き落とされた感じで、けっこうキツかったですね。前述のアメリカ旅行は、そんな挫折感を抱えながらのものだったんです。

Q:つたない英語でもガンガン話そうという積極性を身に付けて、安河内さんはアメリカから戻ってこられたんですね。

プレゼンやディスカッションがある大学の授業では、アメリカで覚えたデタラメ英語を駆使して発言できるようになったし、成績もかなりよくなりました。アメリカ人の先生から「安河内の英語は素晴らしい」と褒められて、自信も付きました。

帰国子女の人たちも、もちろんよどみない英語でプレゼンはできます。一方私はデタラメ英語だけれど、内容を事前にしっかり考えて、笑わせながらプレゼンをしたんです。だから、帰国子女が半分いても、プレゼンだと私がいつもクラスで一番目立っていました。面白さと内容で勝負していたからだと思います。

授業を担当していたアメリカ人の先生にとっては、発音や三単現の“S”があるかどうかは二の次で、プレゼンの視点や構成力、人を惹き付ける話術といったものの評価の比重のほうが、はるかに大きかったのでしょう。

Q:内容で勝負といえるのはカッコいいですし、素晴らしいですね。しかも、私たちが仕事で英語を使う上での指針にもなります。安河内さんが、ほかに大学時代に培われた、英語に関する考え方などはありますか?

大学で教えてもらった、國弘正雄先生の存在も大きかったです。同時通訳の草分けとして知られる國弘先生の英語は、文法的には正しくて、冠詞も完璧でそのまま文字にしてもおかしくないようなお手本みたいな英語をお話しになるんですが、ある意味とても日本人らしい英語でもあったんです。 発音は必ずしも帰国子女のようではなかったんですね。とは言っても、聞き取りにくいというようなことは一切なくて、先生のようになりたいと目標に思えるような方でした。英語学科の帰国子女ではない、通称「純ジャパ」の私たちはずいぶん勇気付けられましたね。

英会話レッスンを継続し、上達させるキーは主体性

Q:安河内さんは、大学を卒業後、今度は英語を教える側に立たれたわけですが、その後もご自分の英語力を磨くために何かされたんですか?

もういろんなものに手を出しましたよ(笑)。20代の頃は、国家試験の通訳案内士をとるために英会話学校にも通っていました。昔はすごく難しくて、猛勉強しないと受からなかったんです。当時の英会話の学校は、今よりももっと割高だったんですよ。私の学校はチケット制で、入学時にまとめて25万円ほど払ったかなぁ? 1カ月で使い切った途端に、その学校はつぶれてしまいましたが、ちゃんと元は取れたのでよかったです。

Q:安河内さんにとっては、効果はあったということですね?

ええ。私の場合は、ちゃんと予習して行きましたから。「レアジョブ英会話」などオンライン英会話でも同じことがいえますが、一番良くないのは準備を一切しないこと。「今日何食べた?」→「カレーライス」、「週末の予定は?」→「ゴルフ」というようやりとりを毎日続けていても、あまり意味がありません。だから私は、「富士山は日本人にとってどんな意味を持った山か」といったお題を事前に用意した上で、想定問答も考え、さらに音読の練習までをしてからレッスンに臨みました。外国人の先生には質問だけ渡すようにして、先生に質問を受けたら、用意しておいた回答をぶつけてみるという形でレッスンを進めていきました。

繰り返しこうすることで、通訳案内士の試験に出題されると想定される問題の対策を、一通り終えることができたんです。本番の試験でも似たような問題が出て、一発でパスできました。
英会話のレッスンは、こんなふうに自分主導で進めていったほうがいいですね。スピーキングテストや英検テストを受けるなら、それらの問題に対する回答も事前に用意した上で持っていって、想定問答を繰り返すことですね。何の準備もせずに毎回ただ世間話のような会話をしていくだけでは、英語はさほど上達しないでしょう。目的のある会話をする必要があります。

Q:「レアジョブ英会話」のメインユーザーである20代〜40代のビジネスパーソンの方々からは、仕事が多忙で英語学習を継続するのが難しいという声も多いのですが、安河内さんから何かアドバイスいただけますか?

やっぱりレッスンをただの雑談に終わらせないことに尽きますね。雑談だと、モチベーションも維持できません。目的を持ち、毎回タスクをこなすようにしていくべきです。TOEICのスピーキングテストの模試問題を教材にしてもいいですが、これだとレベルが高すぎて初心者、中級者には難しいかもしれません。


または、会話の即答ラリー用の質問や話題を用意しておいて、短くて良いのでテンポの良い会話を続ける練習というのはどうでしょう? 日常の100のシチュエーションにおける即答ラリー集を用意して、全部クリアできたら、「あなたは、あらゆる日常の質問に答えられるようになりました」と、具体的な評価も表示してもらえる。そうすることで、ユーザーのモチベーションもグッと上がる気がします。

Q:実は教材として、スポーツ・音楽など色々なトピックにそって講師と話ができる質問リスト“Conversation Questions” という教材のご用意があるのですが、安河内さんはどう思われますか?

あ、それいいですね!

Q:はい! スタンプや認定証のような、クリアしたといった達成感を得られる仕組みも検討したいと思います。

ぜひ考えてみてください。ただ25分間話しましょうだけでは、やっぱり続かないですから。

以前、私はテレホン英会話というものもやっていたことがあるんです。「レアジョブ英会話」のようなオンライン英会話ができるだいぶ前の話ですけれどもね。日本にいるとどうしても外国人と話す機会が多く持てないので、電話をかけて毎日5分間だけ話すというレッスンを受けていたんです。

最初は自己紹介から始まって、仕事や彼女の話などをお互いにしていくんですが、2週間ぐらいでネタがなくなってくるんです。最後は、子供時代にまでさかのぼって話を絞り出したりして(笑)。おそらく、このレッスンを受けた大半の人は、ネタが尽きた時点で辞めていったのではないかと思います。やはり、タスクがないからなんですよね。

そこで私は、テレホン英会話でも英検1級のスピーチリストを相手に送って、「今日は1番の『民主主義は最良の選択か?』について話しましょう」という具合に進めていったんです。これでお互い急に面白くなって3年ぐらい続けました。長続きした理由は、無駄話ではなくタスクがあったからです。

会話の力を測るにはスピーキングテストの受験を

Q:リスニングや読解に比べると、英会話の進歩はなかなか実感できないので途中でやめてしまうという声を安河内さんは聞かれることがありますか?

はい。TOEICテストを受ければ自分のリスニングや読解の力はある程度は正確に把握することができますが、話す力となると、LRの問題しかないこのテストではあまり忠実には推し量れません。だから、TOEICでもGTECでもいいからスピーキングテストはぜひ受けてほしいところなんですが、両方とも初心者には難しすぎるのがネックといえるかもしれません。

そんな初心者向けに、実は今、安河内独自の英語スピーキングテストを開発する構想を持っているんです。なぜ英会話が続かないかというと、誰でも気軽に受けられるような問題設定で、しっかり英会話の効果測定ができるテストがないからという部分も多々あるように思うんです。ですから、英検の3級から2級ぐらいの間のレベルで、5点きざみの100点満点といった、明快なスコア表示ができたらと考えています。

Q:それは楽しみです。TOEICスピーキングテストのような既存のスピーキングテストは初心者には難しすぎると安河内さんはおっしゃっていますが、どのくらいのレベルの人になったら受けられるのでしょうか。

通常のLRのTOEICで700点前後のスコアのある人から、というのが目安でしょうか。ただそこまで点数がなくても、ある程度英会話を続けていて、自分の今の力を知りたいと思ったら一度受けてみるのもいいでしょう。TOEICスピーキングテストは、認定スコアとしても使える、オーソリティーのあるものですしね。

Q:「レアジョブ英会話」にも、法人限定で、通常のレッスン同様Skypeを使った25分間のスピーキングテストがあります。手軽に受けていただけるので、好評いただいています。今後は、それを一般のユーザー様にもお使いいただけるよう拡大する予定です。安河内さんはどう思われますか?

それはいい! そういうテストが拡大すると、英語の能力を伸ばせる人が増えますよね。どんどんやっていきましょう。

Q:最後に会話力を伸ばしたい人に、安河内さんお勧めの教材を教えてください。

えーっと、やっぱり「レアジョブ英会話」ですね。いや、取材を受けているから言うんじゃなくて、実体験としてやっぱりいいです(笑)。実は最近「レアジョブ英会話」に登録して、スキマ時間を利用してほぼ毎日話しているのですが、まず、フィリピンの人たちは明るい。だから、気楽に話せます。気軽に予約していろんな人と話せるのもいい。あちらも英語が第二言語なので、お互いに一生懸命伝え合おうとするんですよね。先生の後ろを猫がウロチョロしていたり、子供が歩いているのが見えたりするのもリアルで楽しいです。お互いに制約された語彙で話せるので、特に初心者にはオススメです。変な発音コンプレックスも払拭できますしね。

ただ、レベルが上がってきたら、英語ネイティブと話す訓練もしたほうがいいでしょう。グロービッシュのようにいつまでも制約された語彙で話しているのでは限界がありますから。

『TOEICテスト スピーキング/ライティング完全模試』
『TOEICスピーキングテスト リアル模試15回』

TOEICスピーキングテストを受けたい人なら、安河内と英語ネイティブの共著である『TOEICテスト スピーキング/ライティング完全模試』(Jリサーチ出版)と、韓国のキム・キョンアさん著の日本語版で私が監修をさせてもらった『TOEICスピーキングテスト リアル模試15回』(コスモピア)をぜひ使ってみてください。どちらもCD-ROM付きで、パソコンに練習ソフトがインストールできるほか、前者は自分の声を録音できるなど、実用的な創りになっています。

英語の生の表現を楽しみながら学びたい人には、200タイトル以上の映画が日本語と英語の両方の字幕で見ることが可能な、「超字幕」などを利用してみるのもいいでしょう。

それから、最後に“Don’t study English at your desk all the time. ”
という一言を付け加えさせてください。これは、予備校の授業や講演会などで私がいつも話していることなんですが、英語学習の半分以上は音読したり、英語の音声を聞いたり、オンライン英会話をしたりする時間に費やしてみてほしいんです。受験英語で染み付いた、机にへばりついて暗記ばかりする詰め込み型の学習スタイルから脱却することも「下手でもいいからとにかく話す」という第一歩につながるはずですから。

インタビュー【前編】はこちら

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