「仕事」を表すbusiness、work、jobの意外な使い方

“funny business”と言われて「面白い仕事」かと思ったら「いんちき」だったり、”Good job.”が仕事と関係なく「よくやった」というほめ言葉だったり、「仕事」を表す単語には、実は意外な使い方があります。本来の意味と仕事以外の場面での使用法を覚え、大事なビジネスの場面で失敗しないようにしましょう。

businessはこんなときにも使われる

businessは、通常は日本語の「ビジネス」とほぼ同じで、「仕事、事業、商売」といった意味で使われます。しかし、仕事とはまったく関係のない場面でもbusinessという単語を使うことがあります。どのような例があるのか確認していきましょう。

businessの本来の意味

businessという単語の語源はbusy（忙しい）と共通していて、元は「気になること、心配事、忙しくしていること」という意味でした。「仕事」とはやはり、いつも忙しくて何かしら心配なものなのですね。

現代の典型的な使われ方としては、以下のようなものがあります。

I started my own business.（自分の事業を起ち上げました＝起業しました）

I’m in the food business.（食品の仕事に携わっています）

I’m here on business.（仕事でここに来ています＝出張中です）

businessの「仕事」ではない意味

元は「仕事」に限らない意味で使われていた語であることから、現代でも、「大事なこと」「やるべきこと」「用事」という意味で使うことがあります。

It’s none of your business.（あなたには関係ない）

none of your businessは「あなたが関わるべきことではない」ということ。友人同士で、「私のことにかまわないで」と言うときなどに使われます。

I don’t need your help. Mind your own business.（あなたの助けは必要ありません。自分のことだけ気にしていて）

mindは「気にかける」という意味で、Mind your own business.は「よけいなお世話」「おせっかいはやめて」という強い言い方です。

I don’t want any funny business.（いんちきはなしですよ）

funny businessは「面白い仕事」ではなく「いんちき、いかさま」という意味で、ほとんどの場合、仕事以外の場面で使われます。このように言われたら、相手がちょっと警戒しているのだと思った方がいいでしょう。

I mean business.（本気なんです）

「仕事を意味しているんです」だと思ってしまいそうですが、実際は「本気なんです、真剣です」ということで、仕事以外の場面でよく使われます。

What’s your business here?（何の用ですか？）

「ここで何の仕事をしているんですか？」と聞かれていると思ってしまいそうですね。実際は「ここに何の用があるんですか？」で、「何しに来たんですか？」に近い、ちょっとぶっきらぼうな言い方です。

jobの面白い使い方

jobも「仕事」という意味ですが、実際には「やるべきこと」「役目」といった意味でよく使われ、それが職業としての「仕事」とはまったく関係がないこともあります。jobの基本的な使い方と、日常の場面での応用方法を押さえておきましょう。

jobの基本的な意味

businessに「事業、商売」という意味があるのに対し、jobは「職業、普段の仕事」といった意味で使われる語です。

典型的な使われ方としては、以下のようなものがあります。

I got a new job.（新しい仕事に就きました）

I have a job interview.（仕事の面接があるんです）

I’m out of a job.（失業中です）

jobはこんな場面でも使われる

jobは「仕事」以外の場面でも、「やるべきこと」「手間のかかること」という意味で使われることがあります。

I have to do jobs around the house at the weekend.（週末は家の用事をやらないと）

jobs around the houseは炊事、掃除、洗濯など「家事全般」のことで、家で会社の仕事をするというわけではありません。

We need to get this job done.（これをやっちゃわないと）

get ～ doneは「～を終わらせる、仕上げる」ということ。この場合のjobは「仕事、勉強、用事」などいろいろなものを指すことができます。

Good job!（よくやった！）

仕事に限らず勉強、スポーツ、何かの活動など、がんばって成果を挙げた人に対するほめ言葉です。

Oh, it’s quite a job.（ああ、それは大変な仕事ですね）

quiteは「大変、ものすごく」で、このjobは会社での「仕事」に限らず、家事、育児、片付けなど、さまざまな「用事、作業」を指すことができます。

workは万能の単語

homework（宿題）、teamwork（チームワーク）という単語があるように、workに「仕事」以外のさまざまな意味があることにはお気づきかと思います。それでは、実際の仕事の場面では何を指しているのか、仕事でない場合はどのように使われているのかを見ていきましょう。

workの持つさまざまな意味

businessが「事業」、jobが「職業」であるのに対し、workは「働くこと」そのもの、もしくは「作業」に焦点が当てられます。また、business、jobがたいてい名詞として使われるのに対し、動詞になることが多いという特徴があります。

仕事の場面では、例えば以下のように使われます。

He was late to work again.（彼はまた仕事に遅刻しました）

I obtained work permission in the UK.（イギリスでの労働許可を得ました）

I work from home today.（今日は在宅勤務です）

「仕事」以外に使えるwork

「作業」のほか「作品」「動く」「うまくいく」など、さまざまな場面に使えるのがworkのメリットです。

（精密機械などを見て）Look at this elaborate work! Isn’t it amazing?（この精巧な仕事ぶりを見て！すごくないですか？）

手の込んだ「仕事ぶり」、見事な「出来栄え」などに対してworkを使うことができます。

The museum showcases many works of Picasso.（その博物館はピカソの作品を多数展示しています）

art work（美術作品）とも言いますが、workだけで「作品」を指すことができます。

The air conditioner isn’t working.（エアコンが動きません）

機械などが「動く」ことをworkで表現します。

Our plan worked.（計画はうまくいった）

物だけでなく、計画など抽象的なことが「うまくいく」ことをworkで表現することがあります。

「仕事」を表す単語を会話の中で使いこなそう

business、job、workといった言葉が使われていても、必ずしも「仕事」を指すとは限らないということがおわかりいただけたでしょうか。普段の会話では、例えばこんなやりとりを聞くことがあるかもしれません。

A: We’re going to be late to work. Maybe we should try the new taxi app.
（仕事に遅れそう。新しいタクシーアプリを試すといいかも）
B: Are you sure? I don’t want any funny business.
（大丈夫？　いんちきは嫌ですよ）
A: It worked last time. I know you don’t trust app services.
（前回うまくいったんです。あなたはアプリサービス信じてませんよね）
A: It’s none of your business. OK. Let’s try anyway.
（あなたには関係ないでしょう。いいですよ。やってみましょう）
B: The car will be here in a few minutes. We can make it.
（数分で車が来ます。間に合いますよ）
A: Good job.
（いいですね）