イラストで解説!これから英語を学ぶ大人のための4つの学習理論

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世の中には、さまざまな英語学習法が溢れていますが、そのなかでも最近とくに注目を集めているのが「第二言語習得(Second Language Acquisition)」に基づいた学習法です。これは「外国語を身につける」ということを科学的に解明しようとする学問分野で、効率的に英語を習得するためのヒントや気づきを私たちに与えてくれます。

今回の記事では、大人が英語学習を始めるにあたり、知っておくと役立つ4つの第二言語習得理論について解説し、これらに基づいたオンライン英会話の効果的な活用方法をご紹介していきます。

【1】自動化理論

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言語習得において、その本質にある考え方のひとつが「自動化理論(automatization theory)」です。これは以前の記事でも取り上げた通り、「身につけた知識を練習することによって、徐々に自動的に使えるようになる」という考えです。

自動化と言語運用能力

「自動的に使えるようになる」とは、学んだ知識を無意識的に使える状態のことを指します。例えば、「冠詞のaは、母音で始まる単語の前ではanになるからan appleだな…」と考えなくても、自然と「an apple」と口から出てくるような状態です。われわれ人間が意識的に注意を払える範囲は限られているため、外国語習得においては知識のインプットとともに、この「自動化(automaticity)」のための反復練習が重要とされています。
参考:第二言語習得 (second language acquisition: SLA) に関する用語集

自動化のための反復練習

「自動化のための反復練習」と「知識のインプット」は、オンライン英会話のレッスンで実現が可能です。例えば、英語の会議やプレゼンなど、ご自身が英語を必要とする場面を想定したフレーズをインプットし、実際に口に出して練習してみましょう。初めの頃はテキストを確認しながらでかまいません。また、フレーズの文法や語彙に疑問があるときは理解できるまで講師に質問するようにしましょう。こうした反復練習を地道に積み重ねることで、自動的にスラスラと出てくるフレーズを着実に増やしていくことができるはずです。

【2】Swainのアウトプット仮説

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「アウトプット仮説」は、カナダの言語学者Merrill Swain(メリル・スウェイン)が提唱した理論で、言語習得はインプットだけでは十分でなく、アウトプットも同様に重要であるとする考え方です。ここでは、Swainが提唱したアウトプットの3つの機能について、解説していきます。

(1)気づき機能(noticing function)

1つ目の「気づき機能」とは、アウトプットによって「自分が伝えたい・表現したいこと」と「実際に自分の能力で言える・表現できること」のギャップに気づくということです。自分の言語力の弱点や問題に気づき、言いたいこととのギャップを埋めるために、新しい知識を得たり既存の知識を強化したりするなど、インプットへの注意が促されるとしています。

(2)仮説形成・検証機能(hypothesis formulation and testing function)

2つ目の「仮説形成・検証機能」は、読み・書きなどのアウトプットを行うときに、「この文章にすれば伝わるかな?」というような仮説を立て(=仮説形成)、検証する(=仮説検証)作業のことです。実際にアウトプットすることによって、相手(聞き手や読み手)からの反応を得ることができるため、自分が使った英語が通じるのか・適切なものであるのかを検証していくことができるのです。相手が理解できれば仮説は正しかったとなりますし、そうでなければ間違いとなります。このプロセスによって学習者は自分の中間言語(※)を修正し、知識を定着させていくのです。
※「中間言語」:学習者が目標言語(習得したい言語)を学ぶ過程で発する言語のこと。学習者に特徴的な言語であり、目標言語とは異なる体系を持つ。

(3)メタ言語的機能(metalinguistic function)

3つ目の「メタ言語的機能」とは、簡単に説明すると、アウトプットしようとすることにより、文法に関する意識的な考察が促されるということです。インプットでは注意が向かない細かな部分まで意識をすることができるようになり、これが言語習得において重要な役割を果たすといわれています。

このように、実際にアウトプットをすることから得られる学習効果は計り知れません。

普段はなかなか英語を話す機会がないという方も、オンライン英会話を活用すれば、「気づき→仮説・検証→意識化」のサイクルを日常的に回していくことができます。会話教材や文法教材を使ったレッスンでは、各トピックや項目と関連性の高い単語・フレーズや文法を集中的に学習していくこともできるので、インプットとのバランスも抜群です。
参考:
「学習者の中間言語の発達に貢献する英語の授業」岩中貴裕
「言語習得におけるインプットとアウトプットの果たす役割 -単語の習得調査の分析から-」横山紀子

【3】FonF(フォーカス・オン・フォーム)とPCPP

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「FonF(フォーカス・オン・フォーム)」とは、意味(=メッセージ)を伝えることを中心的な狙いとしたアウトプット活動(話す・書く)の中で、必要に応じて学習者の意識を文法や語彙などに向けるという指導原理です。例えば、少子化に関する文章を読み、その内容について自分の考えを述べたり調べたことを発表したり…といった活動の中に、文法のレクチャーを組み込んだやり方が、FonFに基づいた学習に当てはまります。

言語習得には、「形式・意味・機能」の3つの要素が関わっており、この3つを効果的に結びつけていくことが重要であるとされています。FonFに基づいた学習では、形式・意味・機能の3つが同時に処理されるため、言語習得における認知プロセス(「気づき→理解→内在化→統合」)に効果的に働きかけるといわれているのです。

また、このFonFと同様に、「PCPPモデル」も、言語習得に必要な認知のプロセスを促進するとされています。PCPPモデルとは、授業やレッスンで扱う内容を提示(Presentation)し、そこで理解(Comprehension)したことを、繰り返し練習(Practice)し、産出(Production)する(=自分の伝えたいことを自分の言葉で表現し、コミュニケーションを行う)という学習方法です。

PCPPとは

1. Presentation(提示)

Presentation(提示)のプロセスは新たな文法ルールや語彙などその日に学ぶ題材内容に関する背景知識を活性化するための活動で、一般的には口頭説明によるイントロダクションとなります。この提示のフェーズでは学ぶ内容がいかに学習者と関わりがある内容なのかを示すことが第二言語習得の重要な成功要因の一つである「動機」を高めるうえで重要だとされています。

2. Comprehension(理解)

Comprehension(理解)のプロセスでは、学ぶ題材に対する理解を深めるためのリスニング・リーディングを行います。ここの段階ではリスニング・リーディングともに情報やメッセージを正確に理解する活動を組み込むことが重要だとされています。具体的には、語彙のまとまりを意識しながら読むスラッシュ・リーディングや特定の情報を探させるスキャニングなど、理解度を高めるための様々な活動が含まれます。

3. Practice(練習)

Practice(練習)は「理解」フェーズから「産出」フェーズへの橋渡しをするプロセスであり、言語運用能力を高めるうえで重要なプロセスとなります。具体的には、学んだ文法ルールや語彙を使用した様々なパターン・プラクティスを行います。リスニング力を高めるシャドーイングやリーディング力を高める音読、英文を読みながらフレーズごとに和訳していくサイトラ(サイト・トランスレーション)など多様な練習を粘り強く繰り返し行うことで、次の「産出」に必要となる基盤を身につけます。

4. Production(産出)

最後のProduction(産出)フェーズでは、題材に関する理解を深め、実際に練習を重ねたうえで、学んだルールや語彙を利用してライティングやスピーキングなどのアウトプットを行います。学んだ内容をベースに自ら表現を行うことで学習内容の内在化・統合を促します。

FonFとPCPPに基づいた英語学習

FonFやPCPPの考え方を英語学習に取り入れるなら、英語のニュースや雑誌などを活用して、自分の意見を論理的に述べ、講師と議論を練習するレッスンがおすすめです。

例えば、レアジョブ英会話のニュース記事教材「DAILY NEWS ARTICLE」では、記事で説明されている事柄について「なぜこうなったか?」や「あなたはどう思うか?」など、意味(=メッセージ)を伝えるためのアウトプットを行います。必要に応じて講師から単語や文法の間違いを指摘してもらったり、別の表現を教えてもらったりといった文法・語彙のレクチャーを受けることで、より効果的に英語を習得できるのです。
参考:『アウトプットと第二言語習得』村野井 仁

【4】トップダウン・ボトムアップアプローチ

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第二言語習得においては、「トップダウンアプローチ」と「ボトムアップアプローチ」の両方が必要であるといわれています。トップダウンとは、例えばミーティングや電話対応、プレゼン…といったよくある場面で使われる定型表現を習得するというアプローチです。一方、ボトムアップアプローチでは、語彙・文法・発音といった基礎力を重視します。知識を組み合わせて、実践の場で使えるよう練習し、流暢さを高めていくというアプローチです。

定型表現が多いビジネス英会話

ビジネス英会話では、日常英会話以上に定型表現の占める割合が高く、トップダウンアプローチが効果的だといわれています。実際によくあるビジネスシーンで使える頻出表現・フレーズを学ぶことで、実践で役立つ英語力を効率的に身につけていくことができるのです。

例えば、レアジョブ英会話のビジネス教材「実践ビジネス教材」では、先ほどのPCPPに基づき、レッスンごとに具体的なシーンと目標(例えば「自己紹介と同僚の紹介ができるようになる」など)が設定され、レッスンの初めに提示される頻出表現やフレーズを理解した上で、練習を進めていきます。さらに、そこから自分の言いたいことを自分の言葉で表現するアクティビティーを行うため、最短距離で自分に必要なビジネス英会話力を身につけることが可能です。

おわりに

以上、大人の英語学習のための4つの第二言語習得理論について解説しました。

科学的なアプローチから英語学習と向き合った第二言語習得理論とレアジョブ英会話のレッスンを活用して、あなたも英語のスキルアップを目指してみてはいかがでしょうか?

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