英語教育改革や機械翻訳で日本人の英語はどう変わる?安河内先生に聞く“転換期を迎える英語との向き合い方”

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今から3年後の2020年は東京オリンピックの開催年であると同時に、小学校5年生からの英語の正式教科化や大学入試への4技能試験導入が始まる年でもあります。英語教育が転換期を迎える今後、学習者が目指すべき「英語力」は、どのように変化するのでしょうか。

今回、そのヒントを探るためにお話しをうかがったのは、多くの受験生を合格に導いてきた“カリスマ”英語講師としてテレビ番組やCMでもおなじみの安河内哲也さん。25年以上に渡り指導者として、自らも日々勉強を続ける学習者として、英語教育と向き合ってきた安河内さんの言葉は、ストレートで明快!英語教育、ビジネス英語、機械翻訳など気になる話題について、たっぷりお聞きしました。

大学入試はどう変わる?スピーキング力も直接測定する4技能試験

Q:大学入試への4技能検定試験の導入が話題ですが、今後は問題集を解くだけではなく「話す」訓練をしないと大学入試に対応できなくなるということでしょうか?

そうです。これまではスピーキングの力を文法問題や発音、アクセント問題などを使って間接的に測定していましたが、4技能検定試験では「読む」「書く」「聞く」力はもちろん、「話す」力も直接測定するようになります。つまり、受験生にとっては、文法問題を解いたり発音のルールを覚えたりするのではなく、書いたり話したりすること自体が受験対策になる、ということ。

読み書きの力を試すテストでいい点数を取るためには、問題集を買ってきて解けばいいけれど、スピーキングやリスニング力を伸ばしたいならば、オンライン英会話。私、本当にそう思っているんです。

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Q:大学入試への4技能検定試験活用は、安河内さんが長い間実現に向けて取り組んできたことの一つですね。

いやー、振り返れば長い道のりでした。でもいよいよ、マークシートを塗って塗って塗りまくって高得点を取っても、第一志望の大学に受かっても、一向に英語が話せるようにならないという時代から一歩踏み出すことができるんです。

いくら文科省の指導要領が4技能育成を重視したものになっても、これまでは大学入試で和訳や細かい文法事項が出るから、学校も予備校もそれに合わせた授業をせざるを得ませんでした。でも大学受験が変わってくれれば、こちらも大手を振ってスピーキングを始めとした言語活動型の授業ができるようになる。仕事柄、全国の学校の英語の先生と会う機会も多いのですが、みなさんノリノリですよ(笑)待ってました!という感じです。

Q:指導要領に沿った授業を行えば、英語が話せるようになって、大学にも受かるようになるということですね。

そうです。高校の先生を対象にした研修では、シャドーイング、ペアワーク、音読、リピーティングなどを多く取り入れた模範授業を見てもらっていますが、皆さん一度見れば「なるほど、こういうことか」と分かってくれますね。イメージとしては、ずーっと生徒がしゃべっている授業、という感じ。先生の講義を生徒が一方的に聞く、という授業とはまったく違うスタイルです。

すでに首都圏の多くの私立大学では4技能を活用した試験を始めていますが、政府の方針としてはっきりと発表されれば、他の大学でも改革は加速度的に進むはず。日本人にとって大学入試は人生最大の英語学習の機会といっても過言ではありませんから、その大学入試が変わるということは日本の英語教育にとってものすごく大きなターニングポイントです。すでに同様の改革を実施した韓国や台湾では、英語を話せる若者の数が確実に増えていますから、近い将来、日本でも同じことが起きるでしょう。

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非英語圏の人も理解出来る「分かりやすい英語」こそが世界標準

Q:今後、そういった教育を受けた世代が社会へ出てくるというのは、頼もしいですね。では、今現役のビジネスマン世代は、どのレベルの英語力を目指せばいいのでしょうか?

英語を母語としない人同士で意見を交わし、互いに理解し合えるレベルではないでしょうか。よほど難しい話でない限り、単語や文法知識は中学校レベルで足りますし、発音も相手が聞き取れさえすれば問題ありません。「英語が話せる=アメリカ人」のように話せることだとしたら、幼少期から英語環境で過ごしてきたなど特別な事情がない限り、一生そのレベルにはなれません。1日3時間、あるいは5、6年勉強したくらいでは到底無理だし、そもそもそんな必要はないんです。

Q:日本人学習者の中には、簡単な言葉で話したり発音が悪かったりすると、「ネイティブに相手にしてもらえない」と思っている人もいるようです。

そんなこと、ないって(笑)考え過ぎ!外国人は日本人と話すとき、英語力がどうかなんて、気にしてないです。

そもそも日本人は、“ネイティブへの憧れ”が強過ぎますよ。ニュースなどで国際会議の映像などを見ると、各国の代表者がそれぞれの国のアクセントで、堂々と英語を話しているでしょう?話している内容は高度でも、使っている単語や構文はシンプルだから、非英語圏の人にも分かりやすい。あれこそが今の時代の標準的な英語です。

ビジネス英語では流暢さよりも内容が重視される

Q:ビジネス英語などは、中国や韓国、台湾、東南アジアなど、非英語圏の国の人とのコミュニケーションで使う機会の方が多く、今後も増え続けていくと言えますよね。

私自身、仕事でアメリカの企業と会議をする機会もありますが、出席者全員がアメリカ人ということは、まずありません。仮にアメリカ人がメンバーにいたとしても、彼らも非英語圏の人間でも分かるようなシンプルで分かりやすい言葉で話します。

会議で重視されるのは英語の流暢さではなく、話の内容や大人数の中でも意見を主張できる積極性です。グローバルビジネスの第一線で活躍する営業マンだって、決して流暢とは言えない英語力で外国人と対等に渡り合って、大きな商談をまとめています。彼らは三人称単数のsは付け忘れても、契約の内容を分かりやすい言葉で繰り返し伝えるとか、相手の意思をしっかり確認するとかはしっかりできる。ビジネスの現場では英語がペラペラかどうかより、そういうことが大切なんですよ。

Q:英語での会議は専門用語も多くて難しいというイメージがあります。

ビジネスにも色々な分野がありますが、一般的にその業界ならではの専門用語というのは、それほど多くありません。逆に言えば、その言葉さえ覚えれば大抵の話は分かる。会議は話し合いの目的がはっきりしているし、話の流れや相手の言ってくることもある程度は予想できるから、フリートークよりも簡単です。

日本人は文法や単語を覚えてから話そうとしがちですが、言語というのはとにかくたくさん話して、その中で覚えていくもの。そういう意味でも、オンライン英会話はいいですよね。先生がフィリピン人だと英語がなまっちゃうんじゃないかと心配する人もいるかもしれませんが、仮になまったとして、何か問題があるんでしょうか?フィリピン人の英語が分からないっていうアメリカ人、イギリス人に、私は会ったことがありません。むしろ「君の英語はフィリピンなまりだね」と言われる程の英語力が身に付いたら大成功ではないでしょうか。

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翻訳技術の発展と「英語を話せる」ことの意味

Q:最近の自動翻訳の技術についてはどうお考えですか?英語を話す必要がなくなるという人もいますが……

ドラえもんの「ほんやくコンニャク」のように、話すと同時に訳された音声が出力される翻訳機が出来たらそうかもしれませんが、現段階ではまだそこまで来ていないでしょう。みんなが英語で会議をしている中で一人翻訳機を使っていたら、妙な間が生まれてしまいますよ。

ビジネスの会議では、熱い議論が交わされることもしばしば。そこで意見をアピールしたり、交渉したりするためには、まだまだ生の人間が話す必要があると思いますね。

Q:人間のコミュニケーションと自動翻訳の発達は別軸ということでしょうか?

機械翻訳と英語を話すは全く別物です。翻訳機を介在させるかどうかは、対面か電話かくらい大きな違い。全く言語がわからない国で「これいくらですか?」と尋ねるのには便利かもしれませんが、ある程度話せるようになったら自分でコミュニケーションを取る方が早いんじゃないかな。

今後、機械翻訳が発達すれば英語学習人口は減るかもしれませんが、世界で活躍するトップ層は英語を話せる人、という状況は変わらないと思います。

Q:最後に英語学習者の方にメッセージをお願いします。

英語を話せるようになるためには、とにかく実践あるのみ。たくさん英語を使って、楽しみながら練習してください。私も4技能テストの本格導入に向けた情報を、今後ますます色々な場所で発信して行きたいと思います。

まとめ

私たちの目をまっすぐに見て、力強い言葉で語る安河内さん。その言葉や表情からは、英語教育への情熱がひしひしと伝わってきました。時代とともに価値観が変わり、さまざまなコミュニケーションツールが開発されても、「話す」というコミュニケーションの持つ力は、変わらない。そんなことを、改めて実感するインタビューでした。

英語の価値を見つけるプロジェクト「WHY ENGLISH」では安河内さん自身の英語学習ストーリーを詳しくお伺いしています!詳しい内容はこちらから

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