TOEICで600点を取るためのリスニング勉強法とは？おすすめの参考書もご紹介

TOEICを受験するときに、「まずは600点を目標にしよう！」と、600点を一つの到達点にする人は多いのではないでしょうか。600点は英語の基礎がしっかり身についていれば取りやすいスコアであり、就職や転職などで有利になる最低限のラインだからです。

この記事では、TOEICで600点を目指している人に向けて、特にリスニングパートを伸ばすための方法についてくわしく解説します。効果的なリスニングの勉強法を実践して、目標のスコアを確実に達成しましょう。

TOEICはリーディングとリスニングで構成されている！

TOEIC（TOEIC® Listening & Reading Test）は全部で200問からなる英語の試験で、リスニングが100問、リーディングが100問あります。制限時間は2時間で、リスニングは45分、リーディングは75分です。解答は正しいと思った答えの番号を塗りつぶす、マークシート方式で行われます。テストはすべて英文のみの表記で、英文和訳や和文英訳の問題はありません。

TOEICの試験は大きく分けてリーディングとリスニングの2つで構成されているため、まずはそれぞれのセクションについて簡単に紹介します。

リスニングセクションの概要

リスニングセクションは、パート1からパート4で構成されています。

パート1は、6問から成る写真描写問題です。1枚の写真を見ながら4つの短い英文を聞き、写真に合う文章を選びます。

パート2は、23問から成る応答問題です。1つの文章または質問の後に3つの回答が読み上げられ、その中からもっとも合う回答を選びます。

パート3は、39問から成る会話問題です。2人または3人の会話を聞いた後、問題用紙の設問にもっとも合う回答を4つの答えの中から選びます。

パート4は、30問から成る説明文問題です。アナウンスやナレーションのような文章を聞いた後、問題用紙の設問にもっとも合う回答を4つの答えの中から選びます。各トークには設問が3つずつあります。

リーディングセクションの概要

リスニングセクションの次に行われるリーディングセクションは、パート5からパート7の3つのパートに分かれています。

パート5は、30問の短文穴埋め問題です。穴の空いた文章を完成させるのにもっともふさわしい答えを4つの中から選ぶ問題で、英文法の知識や語彙力が問われます。

パート6は、16問の長文穴埋め問題です。長文を読んで、空欄に合う単語や語句としてもっともふさわしいものを4つの選択肢から選びます。

最後のパート7は、1つの文章が25問、複数文書が29問で合計54問あります。さまざまな内容の文書を読んで、問題用紙に印刷された質問の答えとしてもっともふさわしいものを選びます。各文書には、設問が数問ずつ用意されています。

TOEIC600点の難易度

TOEICの具体的な対策を始める前に、まずはTOEIC600点の難易度がどれくらいか把握しておきましょう。

TOEIC600点のレベル感

TOEICの公式サイトによると、2021年11月に実施された第283回試験の平均スコアは595.8点でした。つまり、TOEICで600点を達成した場合、受験者の中で平均をやや上回る程度の実力を持っていることになります。

次に、Proficiency ScaleというTOEICのスコアごとのコミュニケーション能力レベルを参考にしてみましょう。この相関図によると、600点の人はスコアが470点～729点の、5段階中3番目のレベルCに該当します。このレベルは、通常会話であれば要点を把握することができ、応答にも支障はありません。日常生活のニーズを満たすことができ、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションも可能です。基本的な文法や構文は身についているので、表現力の不足があるとしても自分の意思は伝えることができます。ただし、複雑な場面においての的確な対応や意思の疎通は難しいこともあります。

参考：
TOEIC公式サイト　平均スコア・スコア分布詳細
PROFICIENCY SCALE

TOEIC600点を取得するために必要な勉強時間

では、TOEICで600点を達成するには、どれくらいの勉強時間を確保しなければならないのでしょうか。一般的には、600点を取得するためには平均200〜300時間程度の勉強が必要だと言われています。これは、1日3時間勉強すると2カ月程度で達成できる勉強時間です。

とはいえ、600点達成までに実際に必要な勉強時間は、個々の英語レベルや理解度によって異なります。すでに基礎的な英語力をきちんと身につけている場合は、平均よりも短い期間で600点を取ることができるでしょう。一方、英語の勉強を始めたばかりで、中学レベルの単語や文法も身についていないのであれば、平均よりも長い勉強時間が必要です。

TOEIC600点を取得するメリット

次に、勉強のモチベーションを保つために、TOEIC600点を取得するメリットについて考えてみましょう。この段落では、TOEICで600点を達成するメリットを、学生と社会人に分けてそれぞれ紹介します。

学生の場合、就活でアピールできる！

学生がTOEIC600点を取得するメリットは、何と言っても就活でアピールできる材料になることです。エントリーシートや履歴書などにTOEICスコアを記載する場合、600点が最低ラインです。

一般的に、大学生のTOEICの平均スコアは500点程度と言われています。つまり、TOEIC600点を持っていると、平均以上の英語力を身につけていることをアピールできることになります。

社会人の場合、転職する際に有利！

社会人の場合は、TOEIC600点を持っていると、転職をする際に有利になります。採用の際に英語スキルを重視する企業は多く、その最低ラインとなるのがTOEIC600点です。転職だけでなく、社内での昇進や海外駐在の人員を選考する際にも、TOEICで600点以上を持っていると有利になることがあります。

TOEIC600点を取るためのリスニングの勉強法

TOEICで600点を目指す場合、リスニングのスコアはどのくらいを目標にすればよいのでしょうか。第283回の平均スコアを見てみると、リーディングは324.3点、リスニングは271.4点で、合計595.8点という結果でした。つまり、TOEICで600点を取りたいのであれば、最低でもリスニングで270点前後は必要であることが分かります。

では、さっそくリスニングで270点以上を取得するための勉強法について見てみましょう。

参考：TOEIC公式サイト　平均スコア・スコア分布詳細

ディクテーションを行う

まず実践したい勉強法は、ディクテーションをすることです。ディクテーションとは、英語の音声を聞いて、聞き取れた内容をそのまま書き出すことです。

TOEICのリスニング対策でディクテーションをするときは、まずTOEICの問題集と音源を準備しましょう。初めは英語の音声を止めずに最後まで聞き、大まかな意味をつかみます。次に、同じ文をもう一度聞き、今度は必要に応じて音声を止めながら、聞き取れた英文を書き出していきます。書き終わったらテキストと見比べ、どこが間違っているのか確認する、という流れです。

ディクテーションをすると、一語一語正確に書き出そうとしてよく耳を傾けることで、リスニング力が向上します。また、聞いた英文の中でどこが聞き取れなかったのかが一目瞭然になるので、知らない単語や文法を洗い出し、いっそうの理解を深めるのにも役立ちます。

シャドーイングを行う

2つ目の効果的な方法は、シャドーイングです。シャドーイングとは、英語の音声を聞きながら、そのすぐ後ろを追いかけるようにして、聞こえた英語を同じように発音する練習方法です。

シャドーイングをするときも、必要なのはTOEICの問題集と音源です。まずは音声を何度か聞いて耳を慣らしたら、英文を音読して全体像をつかみます。次にもう一度同じ音声を流し、今度はシャドーイングをします。うまくリピートできなかった文章はテキストを確認し、もう一回挑戦してみましょう。

シャドーイングをすると、英語独特の発音やリズム、イントネーションに慣れることができます。リスニングしながら自分も口を動かし、意味を理解することで、英語を英語の語順のまま理解できるようにもなります。初めはとても速く聞こえていた英語の音声も、何度もシャドーイングの練習をするうちに次第にゆっくり聞こえるようになるでしょう。

リスニングを受ける際に心がけたい2つのこと

TOEICでスコアアップをねらうときには、試験本番で使えるテクニックを知っておくことも大切です。そこで、ここからはリスニング試験を受ける際に知っておきたい2つのポイントを紹介します。

事前に質問に目を通しておく

1つ目は、リスニング問題の音声が流れる前に、記載されている質問に目を通しておくことです。

たとえば、パート1の写真描写問題では、事前にさっと写真を見て、何の写真なのかを把握しておきます。人物が写っていれば、何をしているところなのかを頭に入れてから音声を聞くようにします。人物が写っていない場合でも、何が写っているかに注目し、fountain（噴水）、lawn（芝生）、ladder（はしご）などのキーワードを押さえておきましょう。

このようにすれば、リスニングでは何に注意をして聞けばよいかがはっきりするので、正しい答えをスムーズに選びやすくなります。

選択肢で迷っても1秒以内に答える

2つ目のポイントは、選択肢で迷っても1秒以内に答えることです。リスニングの音声を聞いて、答えがどれかすぐに分からなかった場合には、じっくりと考えて納得のいく答えを探したくなるかもしれません。しかし、多くの人が認める通り、TOEICの試験は時間との戦いです。リスニングパートでは、リスニング音声が読み上げられるのに合わせて、順番にテンポよく解答していく必要があります。1つの問題につまずいて時間がかかってしまった結果、次の問題のリスニング音声を聞き逃してしまう、という事態は避けたいものです。

選択肢がどれかすぐに分からず迷ってしまった場合には、じっくり考えこまずとりあえず1秒以内に答えをどれか決めて、次の問題にすばやく思いを切り替えることが大切です。

TOEIC600点を取りたい人は必見！リスニングにおすすめの参考書5選

TOEICの試験対策をするときは、TOEIC試験に特化した参考書を使うと効果的な対策ができます。参考書を選ぶときのポイントは、攻略したいパートとレベルを考慮することです。リスニングを伸ばしたいと思っているのであれば、リスニングパートに特化した参考書を選びましょう。また、600点を目指す場合は、やさしすぎるものや難しすぎるものは避けるのがポイントです。

この段落では、TOEICで600点を取りたい人におすすめのリスニング対策ができる参考書を5冊取り上げ、それぞれの特徴を紹介します。

カリスマ講師の授業を受けているよう！「世界一わかりやすい」シリーズ

「世界一わかりやすい TOEICテストの授業 [Part1~4リスニング]」は、累計40万部突破の「世界一わかりやすい」シリーズのリスニング対策本。TOEIC満点ホルダーのカリスマ講師が、英語が聞き取れない原因を徹底解説してくれます。8年間ほぼ毎回試験を受けてきた体験を活かして、TOEICのリスニング試験の傾向を分析し、攻略方法を公開しているので要チェックです。リスニングのパート1～4のすべてで結果が出るスコアアップのコツは見逃せません。

本書は、TOEICの試験で初めて600点突破を目指す人にぴったり。日本人の苦手な英語の音を「見える化」しながら教えてくれるので、「どうしても聞き取れない音がある」と悩んでいる人はぜひ手に取ってみてください。

問題をたくさん解ける！韓国のTOEIC受験生のバイブル

「解きまくれ！リスニングドリル―TOEIC TEST Part1&2」は、韓国における英語のカリスマ、イ・イクフンによるリスニング対策ドリルです。イ・イクフンは、アメリカに留学後、英文学修士・博士号を取得し、東亜日報の在アメリカ記者を務めた実力の持ち主。「解きまくれ！」シリーズは、韓国でシリーズ170万部を突破するほどのベストセラーです。

本書の特徴は、TOEICの試験8回分もの問題数を収録していること。パート1が80問、パート2が240問あり、苦手なパートだけをドリル形式でマスターできるようになっています。

本書がおすすめなのは、TOEICのパート1・パート2に特化した対策がしたい人や、とにかく問題数をこなしてTOEICの出題形式に慣れたい人です。パート1やパート2の苦手意識がある人は、ぜひこの本で徹底的に対策してみましょう。

完璧にパート1とパート2を仕上げたいならこの1冊！

「頂上制覇 TOEIC（R）テスト リスニング Part1&2 究極の技術」は、「TOEICの神」と呼ばれるロバート・ヒルキらが手がけたリスニング対策本。日本における長年の指導経験をもとに、リアルな問題を合計7試験分も収録。「現在形」「現在進行形」「受動態」などカテゴリごとに頻出例文が収められているので、苦手な分野を効率よく対策できます。パート1の「受動態＋現在進行形」や、パート2の「平叙文の問いかけに対する答え」など、上級者でも間違えやすい問題もたくさん収められています。

本書は、TOEICの基礎的な対策ではだんだん物足りなくなってきたという人におすすめです。TOEIC600点を目標にしつつも、難問にもチャレンジしたい人にはぴったり。パート1とパート2で満点も目指せる内容なので、600点を達成した後もこの本で勉強を続けていけるでしょう。

変速リスニングで耳を慣らす！パート3・4の対策教材

リスニングのパート3とパート4の対策をするなら、「TOEIC®テスト　Part3&4鬼の変速リスニング１」がおすすめ。ゆっくりの0.7倍速から超高速の2.5倍速まで5段階の問題文が収録されていて、繰り返し聞くことでスピードある英語が聞き取れるようになります。

本書の変速音声を利用すれば、ディクテーションやシャドーイングもさまざまなレベルに対応可能。英語のスピード感についていけないという人や、ネイティブの発音が聞き取れないという人は、まずは0.7倍速から始めてみましょう。

言わずと知れたロングセラー！発音記号を学んでリスニングを伸ばそう！

「英語耳」は、発音分野で20年近くのロングセラーを誇る有名な教材です。「発音できない音は聞き取れない」ため、まず英語の発音記号を学んで正しい発音ができるようになることを目指します。発音の基礎をしっかり学ぶことで、日本語にはない音もぐっと聞き取りやすくなります。

本書がおすすめなのは、発音記号をしっかり学びたい人や、リスニングだけでなく発音も改善したい人です。日本人がつまずきやすいポイントが丁寧に解説されているので、付属のCDを活用してじっくりと反復練習してみましょう。

まとめ

TOEICを受験するときは、目標スコアを定めて対策すれば勉強に身が入りやすくなります。TOEICの600点は、英語学習において決して難しすぎるレベルではありません。英語の基礎をしっかり固めて前もって対策すれば、600点に到達することは十分可能です。この記事を参考にしながらリスニング対策を行い、目標のスコアを達成しましょう。