英語での表現力を磨くのに欠かせないのが単語です。日々暗記をコツコツして単語の意味はわかっていても、ライティングでいざ英文を書く時にスペルを思い出せなかったり、スペルミスをしたりすることはありませんか。そこで、英語のスペルを覚えるポイントやスペル学習に役立つアプリについてご紹介していきます。
英語スペルがなかなか覚えられないのはなぜ?
一生懸命勉強しているのに英単語のスペルがなかなか覚えられない理由について以下で詳しく解説していきます。
発音しない文字も入るから
発音しない文字が含まれている英単語は、スペルを覚える時に音を頼りにできないため習得の難易度が上がります。例えば、「psychology」(心理学)は「サイコロジー」と発音しますが、スペルには発音しない「p」が含まれるだけでなく、「コ」の発音部分は「co」ではなく「cho」という表記が使われているためスペルが覚えにくいのです。
さらに、「フィコロジー」と発音する「phycology」(藻に関する学問)という単語も知っていれば、「psychology」(心理学)とスペルが非常によく似ているためさらに混乱して、一層記憶への定着を難しくしています。
外来語由来の言葉があるから
「カステラ」や「レストラン」など日本語の単語にも外国から来た言葉が多くあるように、英語でもラテン語やフランス語、ドイツ語などの外来語由来のものがたくさんあります。英単語を学習していくとしだいにスペルや読み方の規則性を理解し、初めて触れた単語でもおおよその見当がつくものです。
ところが、外国語由来の単語は英語の規則性とは異なるため、発音からスペルを覚えづらくなりす。例えば、「bureau」(案内所)は「ビューロー」、「entrepreneur」(起業家)は「アントレプレナー」、「liaison」(結びつき)は「リエゾン」といったように、他の英単語と比べてスペルから発音を想像しにくいですよね。これらは、もともとフランス語から来た英単語であるため、英単語のスペルの規則性に当てはまらないからです。
フォニックスの法則を知らないから
フォニックスとは、英語の文字と発音を結びつける法則を学ぶ学習法のことです。これを理解していると発音を聞いてスペルを予測できたり、スペルを見て発音がわかったりとそれぞれを結びつけることができます。例えば「ライク」と発音する「like」(好き)を見てみましょう。もし法則を知らなければ語尾に発音されない「e」が表記されているため、発音からスペルを導き出せないのです。
「like」にはフォニックスの「サイレントe」という法則が用いられています。サイレントeとは、単語が「母音+子音+ e 」の並びになっている単語では、最後のeはサイレントつまり、発音しないのです。さらに母音の部分は名前読みといって「a」なら「エイ」、「i」なら「アイ」といった具合にアルファベットと同じように読むルールがあります。そのため、likeは、「li」の「i」の部分を名前読みにして「ライ」と発音し、「ke」を「e」を発音せずに「ク」と読むのです。
他にも、電話を意味する「phone」では、「ph」の2語で「f」と同じ音をつくる「2文字子音」というフォニックスのルールがあります。
英語のスペルが覚えられるようになるコツ
英単語のスペルが覚えられない原因について理解できたら、スペルを覚えるコツを押さえておきましょう。
単語の主な変化のルールを知る
英単語のスペルのルールを押さえておくと、覚えられない単語もルールがわかれば覚えやすくなるケースが多々あります。例えば、発音で「ン」になる時、スペルが「n」か「m」で迷うことがあります。その時、「b」または「p」の前は「n」が「m」になるという基本ルールを知っているとスペルで迷った時に正しいスペルを選べます。
例えば、「humble」(謙虚な)もこのルールを覚えていれば「hunble」と表記しないことがわかります。「empty」(空っぽ)や「Olympic」(オリンピック)も同様のルールが当てはまります。以下では、単語の変化に伴うスペルのルールについて、主なものをいくつかご紹介しましょう。
名詞の複数形
名詞の複数形をつくる時も基本ルールがあります。通常は名詞の語尾に「s」をつけることで複数形になりますが、「s」をつけるだけではない場合があります。
1つは語尾が 「ch」「s」 「sh」「x」「z」 で終わる名詞を複数形にする時に 「es」 を付けるというルールです。これを知っていることで例えば、「inch」(インチ)を複数形にする時は「inchs」ではなく「 inches」という表記だとわかります。
また、「f」「fe」 で終わる名詞を複数形にする時、「f」「fe」は 「ves」 にするというルールを理解しておくと、「half」(半分)という単語の複数形は「halfs」ではなく「halves」という表記になるとすぐにわかります。他にも、「子音 + y 」の名詞を複数形にする時、「y」 を 「i」 に変えて 「ies」 にするというルールを覚えておくと名詞の複数形のスペルを覚える時に役立ちますよ。
形容詞と副詞の比較級
形容詞と副詞の比較級を作る時は、通常は単語の語尾に「er」、最上級であれば「est」をつけますがそうならない場合があります。例えば、「happy」(幸せ)のように語尾が「短母音 + y 」 の単語の場合、「y」 を 「i」 にして 「er / est」を付けるというルールがあるので、比較級は「happier」最上級は「happiest」 になるのです。このようなルールを覚えておくと、自分で比較級や最上級を作る時に応用できます。
動詞の過去分詞
動詞の過去分詞系を作る時は動詞の後に「ed」をつけるのがルールですが、「use」(使う)や「like」(好き)のように単語の語尾が「e」で終わる場合は、動詞の原形に「d」のみをつけ「liked」「used」とします。また、「carry」(運ぶ)など単語の語尾が「y」で終わる場合は、「y」を「i」に変えて「ed」をつけ、「carried」となります。
一方でルールに当てはまらない、不規則に変化するケースも少なくありません。例えば「go」(行く)を見ると、過去形が「went」過去分詞が「gone」となります。この場合は残念ながらそのままセットで覚えましょう。
副詞
形容詞の語尾に「ly」をつけて作られる副詞がありますが、語尾が「子音2個 + y 」 の形容詞の単語を 副詞にする場合、「y」 を 「i」 にして 「ily」 にするというルールがあります。このルールを知っていれば、「happy」を副詞にする時は、 「happily」という表記がすぐに思い浮かびます。
接頭辞・語幹・接尾辞を知る
単語には接頭辞や語幹、接尾辞を含むものがあります。単語の構成要素がもつ意味を理解すれば、さまざまな単語で応用してスペルを覚えることができますよ。以下でそれぞれにの要素について解説していきます。
接頭辞
接頭辞とは「unhappy」の「un」のように単語の前に付けられる要素のことです。「irresponsible」(無責任)や「irrelevant」(関連性がない)は、接頭辞に否定や反対、不足といった意味をなす「ir」が付いています。
それぞれの単語を分解すると「ir + responsible」「ir + relevant」といったように、「ir」をつけることでその単語に逆の意味を持たせています。「ir」がつくことの意味を理解できていれば、「r」が2つ並ぶ意味もわかり単語を書く時に間違えることが少なくなるでしょう。接頭辞は他にも「悪い」を意味する「mal」、誤りを意味する「mis」などがあり、よく用いられる接頭辞はぜひしっかり覚えておきましょう。
語幹
語幹とは単語の根っこの意味を表す要素です。英単語は2つ以上の要素からなるものも多くありますが、特に語幹は単語の意味を決める重要な部分です。知っておくと単語の意味やスペルを意味づけしながら、効率よく覚えるのに役立ちます。
語幹には例えば、「形つくる」という意味を持つ「form」があります。これを含む単語は「つくる」に関連する意味を持ちます。「reform」(改良する)と言う単語は、「再び」という意味を持つ接頭辞「re」と語幹の「form」が組み合わさり「再び形づくる」という意味からできていることがわかりますね。
接尾辞
接尾辞とは、英単語の末尾に付いて品詞を変化させるものです。例えば、「grace」(美しく飾る)という動詞がありますが、接尾辞が変わることで以下のように品詞が変わります。
graceful(grace + ful):[形]優雅な、上品な、しとやかな、優美な
gracefulness(grace + ful + ness):[名]優雅、優雅、潔さ
gracefully(grace + ful + ly):[副]優雅に、潔く、奥ゆかしく
このように接尾辞による変化を理解しておくと、一つの単語のスペルと意味を押さえておけば、関連する他の品詞の単語のスペルもまとめて覚えられます。
フォニックスを知る
英語の発音とスペルの関係性を学ぶ「フォニックス」をふまえて英単語を学ぶと、スペルの飲み込みがアップします。日本語は「あいうえお」の発音を覚えたら、単語の中でも同じ発音になります。一方で英語は「abc」の発音を覚えても、いざ単語のスペルを見るとアルファベットの発音と異なることが多くあります。これによって初見の単語は読みづらく、覚えづらさにつながります。
しかし「フォニックス」では、スペルのパターンとその発音をセットで覚えるので、ルールが当てはまる単語であれば初めて見るものでも発音がわかり、逆に発音を聞いてスペルを予測するということができるのです。
英語の発音と一緒にスペルを覚える
「blush」(赤面する)と「brush」(ブラシ)のように、スペルが1文字違うだけで全く異なる意味を持つ単語がいくつもありますが、日本人が日常的に使用しているカタカナ読みで英単語を覚えていると、単語を書く時に「L」なのか「R」なのか迷ってしまうのです。
そこで、英単語の発音を耳で聞き目でスペルを確認することで、正しい発音とスペルをセットで覚えやすくなるのです。さらに英単語を聞いてスペルを書くことで、より深く記憶に定着します。セットで覚えることで、スピーキングのスキルアップにもつながりますよ。
変わったスペルに気づく
英単語の中にはスペルと発音が全く異なるものがあります。そのような単語は発音からスペルを導き出すのが難しいため、「注意すべき単語」として印象づけて覚えるということをしてみてください。例えば、「February」(2月)や「Wednesday」(水曜日)といったように、日常的によく使う単語の中にも発音とスペルが異なるものがいくつもあります。
今後、英語を勉強していくとこのような単語に触れる機会は多いので、紛らわしい単語をピックアップしたり、それぞれの単語で覚えやすい方法を考えたりして一つずつ記憶に定着させましょう。
英語のスペルを効率的に覚えるアプリ
英語のスペルを効率的に覚えるためにアプリを活用してみましょう。仕事をしている人などまとまった時間を取れなくても、スキマ時間を有効に使って英単語を覚えられますよ。以下でご紹介するアプリをぜひ参考にしてみてください。
接頭辞・語幹・接尾辞で学べるアプリ
接頭辞や語幹、接尾辞など、英単語を構成する要素から単語を効率よく学べるアプリをいくつかご紹介します。
語源で覚える英単語 4700語
いくつかの接頭辞や接尾辞と語幹を覚えることにより、効率よく英単語を学べる内容のアプリです。例えば、「clude」という語幹は閉じるという意味ですが、接頭辞に「dis」(否定)をつけることで、「閉じることを否定する」つまり「disclude」(発表する、暴露する)になります。
また、「ex」(外に)という接頭辞を「clude」につけると「外に閉める」、つまり「exclude」(外へ閉め出す)という単語になります。基本となる英単語、よく使われる接尾辞や接頭辞を覚えることで、丸暗記するよりも効率よく英単語を習得できます。空いた時間を有効活用したい、暗記が苦手という人にもおすすめのアプリです。Android版のみのアプリとなるので注意してください。
リピタン語源 ~英単語を接頭辞,語根,接尾辞に分解~
英単語を、接頭辞、語幹、接尾辞の要素に分解して語源から覚えることができる単語帳アプリです。初めて目にする英単語でも、意味の推測が容易になるためボキャブラリーを豊かにするのに役立ちます。
また、正解を4択から選ぶ簡単操作のため、通勤時間など隙間時間を使った学習に最適です。Android版のみのアプリとなるので注意してください。
語源と覚える英単語帳
英単語を構成している語源を覚えるだけで、その組み合わせから英単語を暗記したり、意味を推測したりして英単語の習得を目指すアプリです。1個の単語に対して①覚えていない②ぼんやり覚えている③覚えたの3段階で、暗記度を記録しながら学習を進められます。
また、クイズ形式で英単語を学べるため、登録されている語源や単語をゲーム感覚で覚えられます。楽しく英単語を学べるアプリなので、暗記が苦手な人にもおすすめです。
フォニックスで英語のスペルを学べるアプリ
英語の発音とスペルを同時に学ぶフォニックスで英単語を学べるアプリをいくつかご紹介します。
Phonics Genius
フォニックス学習のアプリは、子供向けが多いのですがこのアプリは黒を基調としシンプルで大人っぽいデザインです。6000以上もの単語が収録されており、フォニックスのルールに従って分類された単語の中から、フラッシュカード形式で問題が出題されます。
自分の覚えたい単語だけに絞るなど、フラッシュカードをカスタマイズできるのが特徴です。アプリは120円と有料となりますが、機能が充実しておりコスパに優れたアプリだと言えます。英語を基礎からしっかり学びたい人、英語特有の音の聞き分けが苦手な人におすすめです。
AGO Phonics Sound Pad
子どもの英語学習に使われている「AGOカードゲーム」をアプリ内で利用できます。Aqua、 Green、 Orange、Purpleの4つのレベルに分かれており、自分のレベルに合わせた学習ができること、「AGOフォニックスサウンドパット」で、英単語の発音とスペルを楽しみながら学べるのが特徴です。
400の英単語と140の音素の読み方を徹底して覚えることで、語彙力アップにつなげます。子供にも使いやすい内容のため、英語初心者にもおすすめです。
ゲーム感覚でスペルチェックできるアプリ
英語を楽しく学びたい人におすすめしたいゲーム感覚で学べるアプリをご紹介します。
英単語スペル3600 – ゲーム感覚の英単語勉強アプリ
出題された英単語を構成するアルファベットが表示されているので、正しい順番に並べて英単語を学べるアプリです。表示されるすべての英単語をネイティブが発音してくれるため、正しい発音も習得できます。
全部で3600の英単語が収録されており、中学、高校、中堅大学、難関大学などレベルに合わせた問題にチャレンジできます。英語初心者から上級者までゲームで遊びながら楽しくレベルアップできます。すべての機能を無料で利用できるので気軽に試せます。
Duolingo
世界で最もダウンロード数が多いと言われている英語学習アプリで、英会話に必要とされるボキャブラリー、文法、リスニング、スピーキングを効率よく学べるのが特徴です。
このアプリを使った34時間分の学習が大学1学期分の語学授業に匹敵するほどの学習効果が得られると調査により証明されています。学習内容は全て56単元あり、単元ごとに5つのレベルで構成されているため、自分の英語力に合わせたレベルから徐々にスキルアップできます。英語初心者にもおすすめです。
POLYGLOTS
英語で書かれた記事を読むことで語彙力を伸ばせるアプリです。アプリ内にはカテゴリごとに分けられた幅広い最新記事があるので、読みたい記事を選んでリーディングを進められます。わからない単語が出てきた時もワンタップ辞書機能を使って意味を調べられるので、難しい単語が出てきた場合でも無理なく読み進められます。
リーディング中に辞書機能を使って調べた単語は、自動的に単語帳が作成されるので、復習にも活用できます。リーディングや文法などのスキルも併せても高めたい人におすすめです。
ターゲットの友1900 英単語アプリ
大学入試教材で有名な旺文社のロングセラーの英単語アプリです。基礎的なレベルから、大学入試共通テストや中堅私大対策に必要なレベルの英単語を習得できる内容となっています。共通テスト対策や一般の大学を目指している人や、TOEIC対策で学びたい人など英語中級レベルの人におすすめのアプリです。
発音と一緒にスペルを覚えられるアプリ
英語特有の発音を聞き分けられると、英単語のスペルを正確に覚えるのに役立ちます。発音と一緒にスペルを覚えられるアプリをいくつかご紹介します。
iKnow
覚えた英単語を英会話や英文作成で有効に使えるように、様々な角度から英単語を覚えられるアプリです。脳科学の知見をもとに独自のアルゴリズムを用いた学習法で、人間の記憶に定着しやすいように配慮された構成となっているのもポイントです。
例えば、単語の意味を問う問題や日本語から英単語を選ぶ問題が出題されたり、音声を聞いて単語のスペルをディクテーションしたりと様々な方法で問題が出されます。DMM英会話を運営している会社が出しているアプリで、利用料金がかかりますが、DMM英会話の有料会員は無料でアプリを利用できます。
英語発音速成攻略
英語の発音とスペルの組み合わせには一定の規律がありそれに基づいた学習を行うことで、最低限の暗記でより楽に英単語を習得できます。発音と音標との規律関係をまとめて、よく使われている単語と音声を合わせて練習し、英語のスペル、発音、意味を暗記できます。
まとめ
英単語がなかなか覚えられないのは英語特有の音や外来語由来の言葉などがあるからです。丸暗記するよりも、英単語の構成や英語の音の基礎であるフォニックスについて理解することで、効率よく英単語を学べるようになりますよ。アプリを活用するとスキマ時間を有効に使いながら英単語を学べます。
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