中学の英語の時間に私たちは「will」といえば未来形で使うと学びました。そこで「I will」を使って英語の文章を作り発話することも多いと思います。しかしネイティブの感覚からすると「I will」よりも「I’ll」の方が自然だと感じられる場面もあるようです。そこで今回は「I will」と「I’ll」の違いを、例文を交えながらご紹介したいと思います。
短縮形はインフォーマル?
「I’ll」とは「I will」の短縮形だということは多くの方がご存知だと思います。「I will」を「アイ ウィル」と発音するのに対し、「I’ll」は「アイル」と発音します。
そのほかにも
「You will」は「You’ll」
「He will」は「He’ll」
「She will」は「She’ll」
「They will」は「They’ll」
「We will」は「We’ll」
というように主語にあわせて短縮することができます。しかし常に短縮していいわけではありません。
In this essay, I will discuss the good side of using television in class.
(このエッセーでは、授業でテレビを使うことの良い側面について論じたい。)
上記の例文のように、基本的に短縮形はビジネスメールや論文などの書き言葉では使いません。これは「will」に限ったことではなく、基本的に
短縮形→インフォーマル
非短縮形→フォーマル
と考えていただいてよいでしょう。
ただし下記のようにビジネスの場でも会話など話し言葉の中では「I’ll」と短縮形を使うことは度々あります。
I’ll give that work to Mr. Yamada.
(山田さんにその仕事を依頼します。)
また、LINEのチャットなどのカジュアルな場では「I’ll」などの短縮形のほうが自然です。大前提として覚えておきたいのは、論文などの書き言葉では、「I will」を使うということです。
willは意志の意味がある
書き言葉で「I will」が使われるからといって、話し言葉では必ず「I’ll」が使われるかというと、そうではありません。話し言葉の中でも、「I’ll」と「I will」の両方が用いられますが、ネイティブの間ではこれらは区別して使われています。例文を見て見ましょう。
Don’t worry. I’ll drive you home.
(心配しないで。家まで車で送っていってあげるよ。)
話し言葉では、このようにI’llと短縮形を使うことが多く、話し手の意志を表現しています。この場合、今思いついたことを伝えているようなニュアンスです。一方似たような文章でも下記のようにI willを使うと意味合いが少し変わります。
I will drive you home even if it snows.
(もし雪が降っても、私は絶対に君を家まで車で送っていってあげるよ。)
このようにI willを使うと、「絶対に〜する」という「話し手の強い意志」を表現することになります。「will」は名詞形でも「意志」という意味があり、会話の中であえて短縮せずにこの「will」を強調して発話ことで「強い意志」を表すのです。そのため、この文章の場合も、発話の際には「will」に強勢が置かれます。
I’ll treat you.
(ご馳走するよ)
I will treat you today.
(今日は私がご馳走するからね)
たとえばいつも奢ってもらってばかりの彼氏に、「今日は私が絶対に奢るから!」と言いたい場合には、2個目の例文のように「will」を短縮せずに「I will」を使って強い意志を示します。そういった強い意志がなく、今思いついたかのように「ご馳走するよ」という場合には1つ目の例文が適切でしょう。
I’ll go with you.
(一緒にいくよ。)
I will go with him no matter what happens.
(何があろうと一緒に行くつもりよ。)
上記の2つの例文では、例えば友達が「コンビニにお菓子買いに行ってくるね」と言ったときに、「じゃあ私も一緒にいくよ」と言いたい場合には1つ目の例文が適切です。一方、例えば恋人の海外転勤が急に決まって、両親に「それならもうその人とは別れなさいよ」と言われた時には、2個目の例文のように「私は彼について行くの!」という自分の強い意志を表現するために「I will」を用いるのが自然です。
I will always love you.
(あなたをいつも愛し続けます。)
ホイットニー・ヒューストンのあの有名な曲の題名にもなっている「I will always love you」。話し手の未来への強い意志を表現するために「I will」を使っています。恋人に言われるなら「I’ll always love you.」ではなく「I will」と言ってほしいものです。
Will notは「強い意志をもって否定」
会話の中で「I will」「I’ll」が異なるように、「will not」と「won’t」の間にも、同様にニュアンスの違いが存在します。
カジュアルさの違い
まずは短縮形と非短縮形の間のカジュアルさの違いです。例文を見て見ましょう。
Any writing outside the space will not be graded.
(空欄外に書かれたものは採点されません。)
Sry, won’t be able to reply for a while. Later!
(ごめん、しばらく返信できない。あとでね!)
「I’ll」と同様、エッセーや論文などの文章中には「won’t」の短縮形は基本的には使われません。1個目の例文のように「will not」と非短縮形が用いられます。一方2個目の例文のようなチャットでの会話や、話し言葉では短縮形の「won’t」が自然です。ちなみに「Sry」は「Sorry」の短縮形。チャットでは色々な表現がこのように短縮されるのです。
意志の強さの違い
カジュアルさだけではなく、「will not」と「won’t」には意志の強さの違いも存在します。
I will not forgive you.
(あなたを許さないわ)
I won’t do it again.
(もう二度としません。)
1つ目の例文も2つ目の例文も「意志」の「will」が否定になって「〜しない」という意味になっています。しかしこの「〜しない」という意志をより強調して伝えたい時には、1つ目の例文のように非短縮形の「will not」を使うことになります。この場合、notを強く発音して、「絶対に〜しない」という意味を形成します。会話文では、それほど強い意味合いがあるということに注意しながら「will not」を使用する必要がありますね。
まとめ
中学で学ぶ未来形の意味を込めて「I will」という言葉をよく使うことがあると思います。しかし「will」には「意志」の意味があり、「I will」を頻用すると相手に違和感を与えてしまうこともあるかもしれません。またフォーマルな場面での短縮形「I’ll」も気をつける必要があるでしょう。今後はぜひその点に注意をしながら「will」を使っていきましょう。
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