短く簡潔な文章が英語学習に最適!星新一のショートショートを英語で読む

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みなさんは星新一という作家をご存知でしょうか?日本のSF作家である星新一は、通常の短編小説よりさらにコンパクトな短編、ショートショートの名手として知られます。1997年に亡くなってしまいましたが、簡潔でいて含蓄のある星作品は英訳されて世界中から高い評価を得ています。

英訳された星新一のショートショート作品は英語の小説を読むことで学習に役立てようとする人にぴったり。この記事では、星新一作品を題材に小説の読み方、英語学習への活かし方をご紹介します。

まずは類推して読んでみる~英語で小説を読むためのイントロダクション

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本の内容に入る前に、ぜひともお伝えしておきたいことがあります。分からない単語があっても辞書など引かず、前後の文脈からなんとなく推測してみるということです。

わからない単語に出会うと、ついつい調べたくなりますが、ちょっとした時間の繰り返しが集中して小説を読み進めていくうえではある意味で無駄になってしまうのです。また、前後の文脈で判断する癖を付けることで、日本語を介さずに英語を理解する思考力を身につけることもできます。1ページ目から知らない単語、表現につまずくよりも、わからなければ読み飛ばすくらいの心構えで読み始める方が、内容に集中できるのです。

小説作品は、書き手によって文体や表現の癖があります。初めて読む作家の冒頭部分はなかなかリズムがつかめず難しく感じますが、類推しながら読み進めているうちに文体にも慣れ、内容が理解できてくるとともにスピードアップしてくるのです。

短編集『気まぐれロボット』英訳版を読む

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星新一が書くショートショートは一つの話が短いもので2〜3ページ、長いもので5〜6ページしかありません。短いお話の中でピリリとひねりの効いたオチを見事につけるのが星作品の真骨頂です。

今回ご紹介するのは、『きまぐれロボット』(角川文庫)の英訳本『きまぐれロボット“The Capricious Robot”』 (講談社英語文庫)です。翻訳者はRobert Matthewという方で、星新一のニュートラルな文章を丁寧に英語に訳しています。

短さもさることながら、背表紙に「TOEIC400〜」と書かれてある通り、作品に登場する単語の難易度も低め。気軽に読んで英語力を高めるのにうってつけの本だと言えます。巻末には「Notes」として、難しいと想定される単語やフレーズの和訳をリストアップしてくれているので、持ち歩いて読んでも辞書なしで済ますことができると思います。

ここからは、“The Capricious Robot”の一部を引用しながら、話を進めます。表題作でもある“The Capricious Robot”をネタバレにならない程度に紹介しておきますね。

主人公のN氏は博士が開発したロボットを買って、そのロボットとともに離島にバカンスに行きます。そこで1ヵ月間ロボットとともに過ごすわけですが、このロボットがちょっと変わったロボットだったのです。従順に家事をこなすかと思えば、急に動かなくなったり逃走したり。しまいには凶暴になったロボットに追いかけられる始末。バカンスを終えてN氏は街に帰ります。散々な目に遭ったN氏に博士は一体何と言うのでしょうか。これ以上はオチをバラしてしまうことになるので控えます。

小説作品は英語表現の宝庫

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N氏は日本語原文では「お金持ちのN氏」として登場します。これを英語では“the Wealthy Mr. N.”と訳しています。

N氏が島に着いてから最初にするのはビールを飲むことですが(「まず、ビールでも飲むとするかな」)、日本語原文でのビールが英語ではなぜかタバコになっています。それは置いておいて、ここでの言い回し “I think I’ll have a smoke.” で文頭に“I think”と入れることで、日本語の「〜でもするかな」というニュアンスをよく汲み取っている表現になっています。

次に、ロボットがおかしくなりはじめたことが書かれた段落の文を見て行きましょう。

“しかし二日ほどすると、ようすが少しおかしくなってきた。”
“Two days later, however, something seemed to go wrong.”

日本語でよく使われる「様子がおかしい」は英語にする時 「something」 を使えばいいのですね。同様に、少し後で “Every day, the robot did something unexpected” として「something」が登場しています。これは原文では「ロボットは毎日、なにかしら事件をおこす」となっています。

「something」の使われ方ですが、“something is wrong with…” [〜の何かがおかしい]という言い方でも使われます。覚えておくと会話でも役立つかもしれません。

また、このショートショートは基本的な構文の復習にちょうど良いフレーズがたくさん登場します。例えば、先のロボットに追いかけられるところでは

“腕を振りまわして、追いかけてくる。こんどは、N氏が逃げなければならない。”
“Waving its arms about, it chased Mr. N., who had to run for his life.”

と訳しています。 “Waving…,”と分詞構文を使い、「腕を振りまわす」ロボットの様子を表現しています。さらに、 “Mr. N., who had to run…” と関係代名詞の非限定用法を使っています。ここでの “who” 以下はandで繋がれている文章のように話の流れが先に進んでいることを表現しています。

関係代名詞の非限定用法が話の展開を描写するのに使われるのは、物語文に限らず英語話者の書いた様々な文書にも見られることなので、注意して読むと物語や議論の流れをしっかりと追うことができると思います。

『ふしぎな放送 “The Broadcast”』

せっかくのショートショート集なので、表題以外の作品も取り上げてみたいと思います。

『ふしぎな放送 “The Broadcast”』という作品では、宇宙基地でみんなが心待ちにしている地球からの放送が、その日だけなぜか「コ・コ・コ」とか「ナ・ナ・ナ」だけで、通常の放送とは違うという話です。少し聞いただけでも不思議なお話ですよね。

基地に暮らす隊員たちは地球が大変なことになっているのではないかと不安になり、泣き出す者まで出る始末。不思議な放送の結末は実際に読んでいただくとして、作中の英語表現を見ていきましょう。

放送を心待ちにしている隊員が、“The broadcast from Earth is due soon.” と言っています。原文とはやや違いますが、「地球からの放送はもうすぐだ」という意味ですね。

ここでの “is due”という表現は、例えば「The term paper is due on May 20th.」のように何かの提出期限を表すのによく使われます。普段の会話でよく出てくる言い回しなのでぜひとも覚えておきたい表現です。

また、時間に関する表現がもう一つ出てきます。原文では、“あと五分ほどだ”というところを、英語では “There’s another five minutes to go.” と訳しています。“…minutes to go”も「あと残り〜分」と言う時によく使われますね。

意味不明な放送が地球の危機を表しているのではないかと考えた隊員たちが、“青い顔になった”という表現があります。英語では “They turned pale.”。このように状態が変化する時には、「become」ではなく、「turn」がよく使われます。

丸暗記より効果的!気になる表現を覚えるのにも有効

小説作品の中からいくつか具体的なフレーズを紹介しました。英語で長い文章を読む時には、まず集中力を持続させるのが大変です。星新一のショートショートは一つの話が短いので、英語で長時間読むのに慣れていない人も最後まですんなりと読めるはずです。

日本語作品の英訳を読むメリットのひとつは「原文を読むことができる」こと。すでに原文に触れたことのある作品を読んでも良いですが、まずは英訳されたものを読み、そのあとで日本語原文と比較しながら英語表現を学ぶというやり方をオススメします。

単語や熟語、言い回しを単純に暗記するのは大変ですが、作品の情景や場面を思い浮かべながら覚えると、記憶が定着しやすくなります。とはいえ、小説はあくまでも小説。教科書としても役に立ちますが、物語として味わうことも忘れないようにしましょう。

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