発音だけではなく語彙にも違いが? 「イギリス英語」は知れば知るほど面白い【前編】

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ご存知の通り、「英語」はもともとイギリスという一つの地域で使われていた言語、すなわち「イギリス語」です。一方で、今や英語を話す人口はイギリスに留まらず、国語や公用語として採用する地域も世界中に広がり、英語は国際共通語として高い地位を有しています。日本でも必修科目として教えられ、多くの日本人が学校を卒業してからも資格試験のために英語を勉強しています。

さて、英語がイギリス発祥の言語であるということは大半の人が認識していながらも、実際にイギリスでどのような「英語」が使われているかということは意外と知られていないようです。これは日本の学校で教わる英語が、アメリカで使われているものをベースとしていることが大きな要因となっています。

しかし、イギリス英語とアメリカ英語とでは発音、綴り、語彙……とさまざまな面で違いがあります。アメリカが独立してから200年以上、その間に起きた世界の変化を考えれば、英米両国の「英語」がそれぞれ違う道を歩んだのも当然と言えるでしょう。今回は、そんなイギリス英語の個性について、前編・後編に分けて徹底的に解説します。

イギリス英語独自のアクセント

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先ほどイギリス英語の実態は意外と知られていないと書きましたが、英語を勉強する人のなかにはむしろ「本場の」イギリス英語に特別な憧れを持っている方も多く、その動機の少なからぬ部分を占めるのがイギリス英語の発音(アクセント)でしょう。

「イギリス英語」と言ったときになんとなく「クイーンズ・イングリッシュ」や、BBCのアナウンサーが話す英語を思い浮かべ、「気品がある」とか「丁寧である」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

これはなにも日本人に限ったことではなく、アメリカでもイギリス式の発音に好意的な印象を持つ人は少なくありません(映画『ラブ・アクチュアリー』を観た方は、アメリカでモテモテになるコリンというキャラクターを思い出すかもしれません)。逆に、しばしばイギリス英語が「冷たい」「鼻持ちならない」という印象を持たれるのも、このアクセントが原因となっていることが多いです。それだけ、英語話者はアクセントの違いに敏感になります。

「bottle」はどう発音する? 母音、子音の発音の違い

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後半で述べるようにイギリス英語の発音をまとめるのは一筋縄ではいかないのですが、アメリカ英語と異なる特徴は大きく以下のようになります。

まず、母音の発音が大きく違います。上で言及した『ラブ・アクチュアリー』でコリンが発音をせがまれるbottleを例に取りましょう。bottle /bɒtl/ はカタカナで書けば「ボトル」ですが、学校でこの /ɒ/ は「オ」と「ア」の中間だと習った方も多いと思います。しかし、イギリス英語の発音ではもっと日本語の「オ」に近くなります。

子音の違いでは、TとRの発音に大きな違いがあります。アメリカ英語では母音の後のTがしばしばDやLに近い音で発音されますが、イギリス英語はTをはっきりと発音する傾向があり、oftenもしばしば「オフトゥン」と発音されます。したがって、bottleはアメリカでは「バドル」「バル」に近い一方、イギリス英語では「ボトル」のように聞こえます

もうひとつイギリス英語を大きく特徴付けるのがRの発音です。イギリス英語では、次に母音が続かなければ基本的にRを発音しません。たとえばcarはアメリカ英語で /kɑːr/ と最後にRを発音するところを、/kɑː/ と発音します。

以上の違いが凝縮された例にwaterがあります。アメリカ英語では「ワラー」に近く、イギリス英語では「ウォータ」に近い発音となります。「水」ならば話の文脈で分かるかもしれませんが、発音の違いを認識していなければ相手の言っていることを理解できない場面も出てくるというわけです。

このほか、can’tを「キャント」ではなく「カーント」/kɑːnt/と発音したり、あるいはadvertisementを「アドヴァタイズメント」ではなく「アドヴァーティスメント」/ədˈvɜːtəsmənt/ のようにアメリカ英語とは強勢の来る位置が多い語もたくさんあります。

階数、日付はどう表す?語彙や記法の違いを知ろう。

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アメリカ英語とイギリス英語では、同じ単語でも綴り(スペル)に大きな違いが出たり、そもそも単語自体が異なっていたりすることも頻繁にあります。

綴りに関しては、「語末」に特徴が出ることが多く、代表的な綴りの違いとしては下の図のような例があります。

語末 イギリス英語 アメリカ英語
[-tre]
(米:-ter)
centre center
theatre theater
[-our]
(米:-or)
colour color
flavour flavor
[-ise]
(米:-ize)
organise organize
realise realize

イギリス英語にはその他にも、「catalogue(米:catalog)」、「programme(米:program)」など、語末にeが加わることによって綴りが異なる単語があります。これらの綴りの違いは、書くときに混乱しがちであるのはともかく、読む側としては推測できるものが多いですが、まれにgaolと書いて「ジェイル(jail)」と発音する場合のような、知らなければ面食らうようなものもあります。

ボキャブラリーはこんなに違う!

実践的な面で言えば、語彙が最も違いを感じる部分かもしれません。以下に代表的なものを列挙しましょう。

日本語 イギリス英語 アメリカ英語
autumn fall
ナス aubergine egg plant
ポテトチップス crisp(s) (potato) chip(s)
セーター jumper sweater
スニーカー trainer(s) sneaker(s)
ズボン trouser(s) pant(s)
サッカー football soccer
高速道路 motorway highway
freeway
歩道 pavement sidewalk
地下鉄 tube
underground
subway
ガソリン petrol gas
行列 queue line
生ゴミ rubbish garbage
蛇口 tap faucet

このほか、お会計をお願いするときにはcheckではなくbillを使い、

Could we have the bill, please?

と頼みます。逆に、紙幣はアメリカ英語ではbillですが、イギリス英語ではnoteを使います。

また、厳密には語彙の違いとは言えませんが、日常生活の面で気を付けねばならないものに階数の数え方日付表示があります。アメリカでは建物を1階からfirst floor, second floor, . . . と数えますが、イギリスでは1階がground floorで、その上(2階)がfirst floorとなります

さらに、日付の表記はアメリカ式では「月→日→年」(November 20, 2016)と書きますが、イギリス式では「日→月→年」(20 November 2016)と記します。したがって例えば数字だけで05/06/16と書かれた場合は、イギリス式かアメリカ式かで指している日付が変わってくるので注意が必要です。

【後編】につづく

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