英語を話すとき、「とりあえず知っている単語」を使っていませんか?
例えば「重要な」はimportant、「買う」はbuy…と、学校で習った単語をそのまま使ってしまう人は多いはず。でも、ネイティブがフォーマルな会議やビジネスメールで同じように話すとは限りません。場面によっては、importantよりsignificant、buyよりpurchaseのほうが自然で、相手に与える印象も変わります。
英語には、意味は近くても語感や使用場面が異なる“似て非なる単語”が数多く存在します。本記事では、そんな単語ペア(類義語)を例文つきでご紹介し、日常会話からビジネスまで状況に合わせた言葉の選び方を解説します。あなたの英語表現を、もう一段アップグレードしてみませんか?
意味が同じでも「印象」は違う?英単語の使い分けが重要な理由
英語では、同じ意味を持つ単語が複数存在することは珍しくありません。しかし、それらは単なる言い換えではなく、場面や相手によって選び分けることで、伝わり方や印象が大きく変わるからです。ここでは、なぜ単語の使い分けが重要なのか、その理由を見ていきましょう。
単語は「意味」だけでなく「響き」も持っている
言葉は辞書的な意味だけで成り立っているわけではありません。ネイティブスピーカーは、その響きや雰囲気も含めて単語を選びます。
例:helpは親しみやすくカジュアル、assistは改まった印象
・音の長さや発音の響きもフォーマル感に影響
・日本語の「手伝う」と「補助する」の違いに近い
相手・場面・媒体によって適切な単語は変わる
日常会話、ビジネスメール、学術論文——それぞれでふさわしい単語は異なります。
相手:友人と話すのか、顧客と話すのか
場面:雑談か、公式会議か
媒体:口頭、メール、契約書など
単語の選び方は、礼儀や信頼感にも直結します。
単語の使い分けが「説得力」と「信頼感」を生む
正しい単語選びは、あなたの英語をワンランク上に引き上げます。特にビジネスやフォーマルなやりとりでは、「きちんと場面に合った表現を使える人」という印象が相手に伝わり、説得力や信頼感が高まるでしょう。
逆に場にそぐわない単語は、知らず知らずのうちに幼く頼りない印象を与えてしまうこともあります。
よくある語彙ペア10選(カジュアル 対 フォーマル)
英語には、意味は近くても使用場面が異なる単語が多く存在します。ここでは、日常会話で使いやすいカジュアル表現と、ビジネスやフォーマルな場面にふさわしい表現をペアでご紹介!それぞれのニュアンスや使いどころを理解して、単語選びの幅を広げましょう。
important(カジュアル) 対 significant(フォーマル)
どちらも「重要な」という意味ですが、significantはより改まった重みのある場面で使われます。
important:日常会話、一般的な重要性
significant:学術・ビジネス文書、数値的・統計的な重要性
This meeting is important for our project. (この会議は私たちのプロジェクトにとって重要だ)
This discovery is significant in medical research. (この発見は医学研究において意義深いです)
buy(カジュアル) 対 purchase(フォーマル)
意味は「買う」ですが、purchaseは契約や公式文書でよく用いられます。
buy:口語、日常の買い物や簡単な取り引き
purchase:ビジネス、契約、領収書など
I’ll buy a coffee on my way. (行く途中でコーヒーを買うよ)
The company decided to purchase new equipment. (会社は新しい設備を購入することを決定しました)
help(カジュアル) 対 assist(フォーマル)
どちらも「助ける」という意味ですが、assistはより改まった響きがあります。
help:友人同士や日常会話
assist:接客、業務連絡、公式な依頼
Can you help me with my homework? (宿題を手伝ってくれる?)
We will be happy to assist you with your inquiry. (ご質問に対応させていただきます)
start(カジュアル) 対 commence(フォーマル)
「始める」を表すcommenceは、法律文書や式典など非常にフォーマルな場面で使われます。
start:会話、一般的な文章
commence:契約、規約、公式発表
Let’s start the game! (ゲームを始めよう!)
The conference will commence at 9 a.m. (会議は午前9時に開始されます)
ask(カジュアル) 対 request(フォーマル)
どちらも「頼む」という意味ですが、requestは書き言葉や公式なお願いに使います。
ask:友人同士、カジュアルなお願い
request:メール、通知、公式依頼
Can I ask you a favor? (お願いしてもいい?)
We request your attendance at the meeting. (会議へのご出席をお願い申し上げます)
get(カジュアル) 対 obtain(フォーマル)
どちらも「得る」を意味しますが、obtainは書き言葉や公式文書で多く使われます。
get:会話や口語的文章
obtain:契約、規約、許可証関連
I got a new job last month. (先月新しい仕事を得た)
You must obtain a license to operate this machine. (この機械を操作するには免許を取得する必要があります)
check(カジュアル) 対 verify(フォーマル)
「確認する」という意味は同じですが、verifyは正確性や正式な手続きを伴う確認を指します。
check:軽い確認や日常会話
verify:証明、事実確認、セキュリティ関連
Let me check my schedule. (スケジュールを確認させて)
Please verify your identity before proceeding. (続行する前に本人確認をしてください)
tell(カジュアル) 対 inform(フォーマル)
どちらも「知らせる」という意味ですが、informは改まった通知や公式な報告に使われます。
tell:友人や同僚への口頭の連絡
inform:文書や公式発表、ビジネスメール
He told me about the event. (彼がイベントについて教えてくれた)
Unfortunately, we regret to inform you that your application was unsuccessful. (残念ながら、ご応募は不合格となりましたことをお知らせいたします)
show(カジュアル) 対 demonstrate(フォーマル)
「見せる」という意味は同じですが、demonstrateは証拠や具体例を示す場合に用います。
show:日常的な見せる行為
demonstrate:実演、プレゼン、実証
Can you show me how to use this app? (このアプリの使い方を見せてくれる?)
The experiment demonstrates the effectiveness of the new method. (この実験は新しい方法の有効性を示しています)
need(カジュアル) 対 require(フォーマル)
「必要とする」を意味する2語ですが、requireは条件や規定に基づく必要性を示します。
need:口語、日常的な必要性
require:規則、契約、制度に関わる必須条件
I need more time to finish the project. (プロジェクトを終えるのにもっと時間が必要だ)
The position requires at least five years of experience. (この職種には最低5年の経験が必要です)
例文で比べるニュアンスの違い
単語の意味や定義だけでは、使い分けはなかなか身につきません。ここでは、前項でご紹介した語彙ペアを、会話とビジネス文書という異なる文脈で比較します。同じ意味でも、場面によって選ぶ単語が変わる感覚をつかみましょう。
important 対 significant
カジュアル会話
The weather is important for our picnic tomorrow. (明日のピクニックには天気が重要だね)
フォーマル文書
Climate change has a significant impact on global agriculture. (気候変動は世界の農業に大きな影響を与えている)
buy 対 purchase
カジュアル会話
I bought a new phone yesterday. (昨日、新しいスマホを買った)
フォーマル文書
Please retain your receipt as proof of purchase. (購入証明として領収書を保管してください)
help 対 assist
カジュアル会話
Can you help me carry these bags? (このカバン運ぶの手伝ってくれる?)
フォーマル文書
Our staff will assist you during the event. (イベント中はスタッフがお手伝いいたします)
start 対 commence
カジュアル会話
Let’s start the meeting. (会議を始めましょう)
フォーマル文書
The training session will commence at 10:00 a.m. (研修は午前10時に開始されます)
ask 対 request
カジュアル会話
Can I ask you for some advice? (ちょっとアドバイスしてもらえる?)
フォーマル文書
We request that all participants arrive 15 minutes early. (参加者の皆さまは15分前にお越しくださいますようお願い申し上げます)
get 対 obtain
カジュアル会話
I got my driver’s license last year. (去年、運転免許を取った)
フォーマル文書
Applicants must obtain prior approval before proceeding. (申請者は手続きを進める前に事前承認を得る必要があります)
check 対 verify
カジュアル会話
I’ll check the train schedule. (電車の時刻を調べるね)
フォーマル文書
Please verify all information before submitting the form. (フォーム提出前にすべての情報を確認してください)
tell 対 inform
カジュアル会話
She told me she was moving to another city. (彼女が別の街に引っ越すって教えてくれた)
フォーマル文書
Please inform us if you are unable to attend the meeting. (会議にご出席いただけない場合は、必ずご連絡ください)
show 対 demonstrate
カジュアル会話
Let me show you my new bike! (新しい自転車見せてあげる!)
フォーマル文書
The results clearly demonstrate the benefits of the new system. (結果は新システムの利点を明確に示しています)
need 対 require
カジュアル会話
I need a break. (ちょっと休憩が必要だ)
フォーマル文書
This position requires advanced computer skills. (この職種には高度なコンピュータースキルが必要です)
単語の選び方が英語力の差になる!
英語の語彙は、意味だけでなく「響き」や「使われる場面」によって印象が大きく変わります。今回ご紹介したペアは、どれも日常会話からビジネス、公式文書まで幅広く登場する重要語彙です。
「意味が同じ=どちらを使っても良い」ではない
「意味が似ているからといって、どちらを使っても同じ」というわけではありません。適切な単語選びは、相手への印象や理解度に直結します。
カジュアルとフォーマルの切り替え力は武器になる
日常会話では親しみやすい表現、ビジネスや公的な場ではきちんとした印象を与える表現を選ぶことが大切です。この「スイッチ」を意識しておくと、英語の説得力や信頼感がぐっと上がります。
今日からできる練習法
単語選びや使い分けの練習方法には、以下のようなものがありますので、今日からでも始めてみましょう。
・英語のニュース記事やビジネスメールを読み、フォーマル語彙をメモする
・会話の中で自然にカジュアル表現を使い分ける練習をする
・TOEICや英検の過去問で「どちらが適切か」を意識して解く
英語表現力をワンランク上へと引き上げよう!
単語の使い分けは一朝一夕で身につくものではありませんが、意識して繰り返せば必ず習慣になります。「この場面ではどちらを選ぶべきか?」を考えることが、あなたの英語表現力をワンランク上へと引き上げるカギとなるでしょう。
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