日本語の「~に対して」は、感情や態度の方向性、反対や抵抗の立場、支援や目的、話題への関心など、さまざまな意味を持つ便利な表現です。しかし、英語ではこれを1つの単語で表すことはできず、いくつかの単語を使い分ける必要があります。
この記事では、具体例を交えながら、それぞれのニュアンスや適切な使い方をわかりやすく解説します!
感情や態度の方向性を示す「~に対して」
日本語の「~に対して」は、感情や態度が向けられる対象を指すことがあります。英語では「Toward」や「At」がよく使われ、それぞれポジティブまたはネガティブなニュアンスを持ちます。
Toward:ポジティブな感情や行動の対象
towardは感情や行動がポジティブ、前向き、または好意的に向けられる対象を示すときに使います。敬意、愛情、優しさ、協力的な態度などが向けられる場合で、具体的には「誰かに対して優しく接する」「敬意を払う」といった積極的な行動を表す際に最適です。
Her kindness toward strangers was inspiring. (彼女の見知らぬ人々への優しさは感動的だった)
→ 「見知らぬ人々」に対して向けられた優しさや配慮がポジティブな印象を与える。
They showed great respect toward their teacher. (彼らは先生に大きな敬意を示した)
→ 先生に対して示された「敬意」が肯定的で、前向きな態度を示す。
towardは物理的な方向性にも使われますが、感情や態度が向けられる対象に関しては、常にポジティブな意味合いを強調します。
At:ネガティブな感情や攻撃の対象
atは感情や態度がネガティブ、攻撃的、または反感を伴う場合に使います。怒り、不満、攻撃的な行動、非難などが向けられる対象を示すときの表現。特に、「怒鳴る」「批判する」「攻撃する」といった行動が関わる場合に適しています。
He shouted at the waiter in frustration. (彼はイライラしてウェイターに怒鳴った)
→ ウェイターに対して向けられた怒りや苛立ちを表現。「怒鳴る」という行動がネガティブな感情に基づいていることがわかる。
She was angry at his careless mistake. (彼女は彼の不注意なミスに怒っていた)
→ 彼女の「怒り」が特定の行動(彼の不注意なミス)に対して向けられている。
atは単に物理的な場所や方向を指す場合にも使われますが、感情的な表現においてはネガティブな態度や攻撃的な行動を示すのに最適です。
支援や目的を示す「~に対して」
「~に対して」が支援や目的を示す場合、英語では「For」や「To」がよく使われます。それぞれのニュアンスを理解すると、より正確に表現できるでしょう。
For:支援や目的を強調する
forは特定の目的や誰かのために行動をすることを強調する際に使われます。この表現は、誰かに対する支援や意図的な行動が伴うときに適しています。誰かを支援したり、特定の目的に向かって動いたりする場合に使うのが一般的。これにより、行動が「誰かのために」行われていることが伝わります。
He bought a gift for his friend. (彼は友人のためにプレゼントを買った)
→ 「友人のために」という支援の目的を強調。彼が行動を起こした理由は「友人を喜ばせるため」であることがわかる。
The charity organized an event for the homeless. (その慈善団体はホームレスのためにイベントを開催した)
→ 「ホームレスのために」という目的に向けた支援を強調。慈善団体が行動を起こした理由が「ホームレスのため」であることがわかる。
To:行動や反応の対象を示す
toは行動が特定の対象に向けられることを示す場合に使います。何かを行う対象が明確であるとき、または反応が特定の人や物に向けられる場合に最適な表現。toは「誰かに」「何かに」という意味で、行動の対象や方向性を強調するときに使います。
She offered an apology to her colleague. (彼女は同僚に謝罪を申し出た)
→ 「同僚に対して謝罪の行動が向けられている」ことが示され、謝罪という行動の対象が「同僚」になっている。
He sent a letter to the editor. (彼は編集者に手紙を送った)
→ 「手紙を送った」という行動の対象が「編集者」であり、目的ではなく具体的な対象が示されている。
反対や対立を表す「~に対して」
反対や抵抗の表現は、意見を述べたり議論をしたりするときに欠かせない重要な要素です。それぞれのニュアンスや具体的な例を見ていきましょう。
Against:反対や抵抗を示す
意見や行動が何かに反対していること、または対立していることを示し、状況によって物理的な意味(~に接触する、~に逆らう)や抽象的な意味(~に反対して、~に抵抗して)で使われます。反対や対立を明確に表現するため、状況に応じた使い方を理解することが重要です。
<物理的または実際的な対立>
The bike was leaning against the wall. (自転車が壁に立てかけられていた)
→ 「壁に対して」という物理的な接触を示している。
He pushed hard against the door. (彼はドアを押し開けようと力を入れた)
→ 「ドアに逆らって押す」という動作を強調。
<抽象的な反対>
The community voted against the proposal. (地域社会はその提案に反対票を投じた)
→ 「提案」に反対する意見や行動を強調。
She spoke out against discrimination. (彼女は差別に反対して声を上げた)
→ 差別に対する積極的な反対を表現。
Opposed to:特定の意見や立場を示す
特定の意見や立場に明確に反対していることを強調する表現。このフレーズは、日常会話から議論、意見交換に至るまで幅広い場面で使われます。主に、個人やグループが持つ特定の意見や行動方針に対する否定的な態度を表現します。
He is strongly opposed to the new regulations. (彼は新しい規則に強く反対している)
→ 規則に対する強い反対意見を持ち、行動や議論にそれが反映されることを示している。
The group remained opposed to any changes in the policy. (そのグループは政策のいかなる変更にも反対の立場を取り続けた)
→ 特定の変更に対する一貫した反対姿勢を示している。
In opposition to:敵対の立場を示す
明確で強い反対や敵対の立場を示す表現。このフレーズは、公式な文書、公的な声明または論文などでよく使われ、意見の対立をよりフォーマルに伝えます。opposed toと比べて、集団的な行動や大きな意思表示を含む場合に使われることが多いです。
The protest was organized in opposition to the government’s decision. (その抗議は政府の決定に反対して組織された)
→ 集団的な抗議活動が「政府の決定」に直接的に敵対していることを表現。
She spoke in opposition to the proposed budget cuts. (彼女は提案された予算削減に反対する意見を述べた)
→ 予算削減に対する公的な立場や見解を表現。
話題や関心の対象を示す「~に対して」
「~に対して」が話題や関心の対象を表す場合、「Regarding」「Concerning」「About」が適切です。これらの表現は、フォーマルからカジュアルまで幅広い文脈で使い分けが可能です。それぞれのニュアンスや使用シーンを理解することで、より適切なコミュニケーションが可能になります。
Regarding:フォーマルな「~に関して」
公式な文書やビジネスの場面でよく使われるフォーマルな表現で、主に手紙やメール、レポート、公式声明などで使用。「~に関連して」「~について」という意味合いを持ち、情報を伝達する際に的確で簡潔な印象を与えます。
Regarding your application, we will contact you soon. (あなたの応募に関しては、近日中にご連絡します)
→ 応募に関連した話題を明確にし、プロフェッショナルなトーンを保っている。
The report regarding climate change was detailed. (気候変動に関するその報告書は詳細でした)
→ 特定のテーマに焦点を当て、内容の専門性を強調。
Concerning:ややカジュアルな「~に関して」
regardingよりもややカジュアルで、日常会話やインフォーマルな文脈でも使用される表現。ただし、公式な場面でも十分に適用できるため、使用範囲が広いのが特徴です。ニュアンスとしては「~に関連して」「~に関する」という意味で、対象への関心を示します。
I have some questions concerning the new policy. (新しい方針に関していくつか質問があります)
→ 新しい方針についての具体的な疑問を伝えている。
There was a discussion concerning the project timeline. (プロジェクトのスケジュールに関する議論があった)
→ 話題の焦点がスケジュールに置かれていることを示している。
About:最もカジュアルな「~に関して」
regardingやconcerningと比べて最もカジュアルな表現で、日常会話やフランクな場面で頻繁に使われます。特定の話題や対象について話す際に、シンプルかつ直接的に伝えられるのが特徴。軽いビジネスコミュニケーションにも使われます。
I have a question about the new policy. (新しい方針について質問がある)
→ 自然なトーンでシンプルに話題を提示している。
We had a discussion about the upcoming event. (今後のイベントについて議論をした)
→ フォーマルすぎない軽い議論を示唆。
対比や応答を表す「それに対して」
日本語の「それに対して」は、英語では文脈や目的に応じてさまざまな表現が使われます。「応答」「対比」「同時進行」を示す場面で、それぞれ異なる表現を選ぶことで、より適切で明確なコミュニケーションが可能になります。
In response to that:応答や反応を強調
特定の行動や出来事に対する反応や応答を強調する表現。「~に応じて」「~に反応して」というニュアンスがあり、ビジネスでも日常会話でも使えます。相手の行動や状況に対して具体的な対応を述べたいときに最適。
In response to that criticism, she improved her presentation. (その批判に応えて、彼女はプレゼンを改善した)
→ 批判を受け、それを改善点として行動を起こしたニュアンスを伝える。
The team acted quickly in response to that emergency. (その緊急事態に対応してチームは迅速に行動した)
→ 緊急事態に即座に反応した行動を強調。
In contrast to that:対照的な立場や状況
ある提案や状況に対して異なる立場や視点を提示する際に使われる表現。「対比」や「比較」を明確にしたいときに適しており、論理的な文章や議論の中でよく用いられます。
In contrast to that suggestion, this plan is more realistic. (その提案に対して、この計画はより現実的だ)
→ 対象となる提案との違いを強調し、現実性を主張。
His response was calm, in contrast to that of his colleagues. (彼の反応は同僚たちとは対照的に冷静だった)
→ 個人と他者の行動を比較し、その差異を際立たせている。
Meanwhile / While:同時進行や異なる視点
同時進行している出来事や異なる視点を表現する際に使われる表現。どちらも「一方で」「その間に」というニュアンスを持ちますが、meanwhileは文頭に置かれることが多く、whileは接続詞として文中で使われる傾向にあります。
The manager was reviewing documents. Meanwhile, the team was preparing for the meeting. (マネージャーが書類を見直している間、チームは会議の準備をしていた)
→ 両者が同じ時間帯に異なる活動をしていることを伝えている。
While one group was discussing the budget, another was finalizing the design. (1つのグループが予算を議論している間、別のグループがデザインを仕上げていた)
→ 複数のグループが同時に異なる作業をしている状況を描写。
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日本語の「~に対して」は、英語では状況に応じて使い分けが必要です。ここでご紹介した単語やフレーズのニュアンスや用途を理解することで、適切な表現が選べるようになるでしょう。
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