英語の文章には、実にさまざまな品詞が含まれています。品詞というのは単語の種類のことで、動詞や形容詞など全部で8種類です。英語を「なんとなく」ではなく正確に理解するには、品詞についての理解は欠かせません。しかしなかなか習得が難しい品詞もあり、苦労している人も少なくないでしょう。特に名詞は数が多く、学習につまづく人が多い品詞です。今回の記事では、名詞の運用に悩む人のために、その種類や使い方など文法的観点から詳しく解説していきます。
英語の名詞とは
名詞とは、人や物、事などの「名称」を表わす言葉です。英語ではnounと呼ばれ、辞書上では「名」「n.」などと表わされます。人を表わす名詞としてわかりやすい例はTomやJuliaといった人の名前でしょう。あるいは、familyやteamといった単語も人を表わす名詞といえます。物を表わす名詞には、pencilやbookなど具体的な形を持つ物を示す単語もあれば、airなど実体のない物を指す単語もあります。そして、loveやexperienceといった、物事の概念や捉え方などが事を示す名詞です。名詞は文章中では主語、目的語、補語として使用されます。動詞と違って時制による変化がなく、また、形容詞や副詞のように他の言葉を修飾することもないのが特徴です。
英語では可算名詞と不可算名詞の区別が大切
一言で名詞といっても、実は種類がいろいろとあり、用法にも若干の違いがあります。まずは可算名詞と不可算名詞の2つに分けられることと、その違いを確認しておきましょう。
数えられる名詞:可算名詞
可算名詞とは「1つ、2つ…」と数えられる名詞のことで、英語ではcountable noun(s)と表わされます。例えばdesk、pencil、といったように頭の中で想像した時に明確に輪郭があり、他の物体と区別できるものが可算名詞のイメージです。物を指す名詞については可算名詞であることがほとんどですが、必ずしもその限りではないので、新しい単語に出会った時には辞書で確認するようにしましょう。そして、可算名詞を扱う時には単数形と複数形があることにも留意する必要があります。
可算名詞は単数形と複数形がある
可算名詞についてはその名詞が指すものが「1つ」なのか「複数」なのかを示す必要があります。前者の場合には不定冠詞「a/an」をつけてそれを示します。
a book(一冊の本)
an apple(1つのりんご)
対象物が複数ある場合には名詞にsもしくはesをつけ、複数形にします。
books(<複数の>本)
apples(<複数の>りんご)
既出の単語や特定のものを指す場合には定冠詞theがつきますが、その場合は単数形につける「a/an」はいらなくなります。
the book(その本)
the books(その<複数の>本)
the apple(そのりんご)
the apples(その<複数の>りんご)
数えられない名詞:不可算名詞
英語の名詞には不可算名詞(uncountable nouns)もあります。例えばwaterやfreedomなど、実体がなく「1つ、2つ…」と数えられないものが不可算名詞です。ただし、気を付けなければならないのが「英語的感覚で」数えられないものだということです。日本語的感覚ですべて区別しようとすると、「なぜこれが不可算名詞なの?」と疑問に思うものも中にはあります。そのため、単純に「数えられる、数えられない」で区別するのではなく、ひとつひとつの単語について丁寧に確認する必要があるといえるでしょう。ちなみに、不可算名詞は複数形がなく、常に単数形で表わされます。
名詞はさらに5種類ある
名詞はまず大きく分けて可算/不可算の2グループがあります。そして、さらに細かく見ていくとその中でもさらに2種類/3種類に分類されることがわかります。つまり、2グループ5種類です。可算名詞には普通名詞と集合名詞が、不可算名詞には物質名詞と抽象名詞、そして固有名詞があります。それぞれどのような性質の名詞なのかまた、文法上の注意点などをここで確認しておきましょう。
普通名詞:数えられる一般的なものの名前
可算名詞のうち、一般的な物や人を指す名詞は普通名詞と呼ばれます。「一般的な物や人」というのは対象物を特定せず、同種類の物や人を示す時に使われる名詞のことです。例えば、下記の文章を見てください。
I love dogs.(私は犬が好きです。)
この場合のdogsは「どの犬」というのは限定されておらず、「犬と呼ばれる生き物全般」を指しています。
I want to be a teacher.(私は先生になりたいです。)
この文章内のteacherも、「誰」という限定はなく「先生と呼ばれる職業全般」を指しています。このような、人や物の一般名称のことを普通名詞と呼びます。そして、普通名詞は可算名詞ですので必ず数の区別が必要です。単数ならば「a/an」(あるいはthe)をつけ、複数なら語尾にs/esをつけます。
集合名詞:同じ種類のものや人の集まりを表す名前
一般的な人や物を指す単語のうち、ひとつの集合体やグループを指すものは集合名詞と呼ばれます。例えばfamily、audience、classなどです。集合名詞は単数扱い、複数扱い両方の用法があり、それぞれ若干ニュアンスが異なります。
My family is important for me.(私にとって家族は大事です。)
この文章中のfamilyは「家族」をひとつのまとまりとして捉えており、その構成要員については特に言及していません。対して、
My family are all musicians.(私の家族は全員音楽家です。)
この文章の場合は、個々のメンバーそれぞれについて焦点を当て「音楽家である」と言っています。このように、「まとまり」「メンバー」のどちらを指すのかによって単数/複数扱いが変わるのが集合名詞の特徴です。
物質名詞:形や区切りのないものの名前
物質名詞とは、「具体的な形や区切りのないもの」です。1つ、2つ…と数えられるものではないため、すべて不可算名詞です。
Water is very important to all living things on Earth.(水は地球上のすべての生き物にとって重要です。)
waterは不可算名詞ですのでa/anがつくことはなく、また複数形になることもありません。物質名詞の量や数を示したい場合には、以下のように適切な単位を補って表わします。
May I have a glass of water?(水を一杯いただけますか?)
「a glass of」の部分はその後に続く名詞によって変わります。例えばbreadやcakeであればa piece ofが使え、goldであればa bar ofが適切です。物質名詞を覚える時は、このような単位も合わせて覚えるようにすると表記に迷わないでしょう。
抽象名詞:概念や感情にまつわるものの名前
抽象名詞は物質名詞と同様、「1つ、2つ…」と数えられない不可算名詞です。物質名詞と違うのは、概念や感情といった「目には見えないものである」という点です。例えば以下の例文のnewsは抽象名詞です。
Bad news travels quickly.(悪事千里を走る。)
1つ、2つ、と数えられそうに見えますが、newsそのものは目に見えたり手で触れられたりするものではありません。「1つのニュース」という時にはa piece of newsといいます。他にもloveやsadnessといった感情を表わす単語、philosophyといった学問の名称も抽象名詞です。その中にはmathematicsなどsのつくものが少なくありませんが、単数扱いになるので注意が必要です。
固有名詞:具体的なものの名前
固有名詞とは人や物がそれぞれ持つ固有の名称のことです。人や国の名前、地名などはすべて固有名詞です。原則としてa/anはつけず、大文字で書き始めます。
Tom likes to play the piano.(トムはピアノを弾くことが好きです。)
I’ve never been to Italy.(私はイタリアに行ったことはありません。)
He is going to Tokyo next month.(彼は来月、東京に行くつもりです。)
上の例文中のTom、Italy、Tokyoはいずれも固有名詞です。他にも、会社名や学校名、施設名なども固有名詞にあたります。特定の「誰か」や「何か」を示すものですので、複数形になることはありません。
名詞の文章の中での働き
既述の通り、名詞は文章中で主語、目的語、補語のいずれかになり、文章を構成する上で非常に重要な役割を果たします。品詞の中でも特に大きな役割を担い存在感のある「名詞」について、それぞれの役割ごとに働きと文法的ルールを確認していきましょう。
主語になる
日本語と違い、英語は主語を省略して文章を作ることができません。すべての文章に主語が含まれており、「誰が/何が」動作の主なのかを明らかにします。そして、主語になれる品詞(要素)はいくつかあり、名詞もそのひとつです。
Students should submit the homework by the deadline.(学生は締め切りまでに宿題を提出しなければなりません。)
Ken speaks English fluently.(ケンは流暢に英語を話します。)
The bank is next to the station.(銀行は駅の隣にあります。)
Students、Kenは、それぞれ動詞であるshould submitとspeaksの動作の主として示されています。また、the bankについても「何が」「どこにある」の「何が」を担っています。
目的語になる
目的語とは、動作の目的となる語のことです。「何が何をどうした」の「何を」の部分にあたります。目的語となれる品詞はいくつかありますが、単語1つで目的語になれるのは名詞と代名詞のみです。
She studies English.(彼女は英語を勉強しています。)
I’m writing an essay.(私はエッセイを書いています。)
上の例文を見るとそれぞれ、Englishはstudy(〜を勉強する)の目的語に、an essayはwrite(〜を書く)の目的語になっています。studyとwriteもそうであるように、目的語が置かれるのは必ず他動詞の後ろということもポイントです。自動詞はそれのみで文章が完結する単語ですので、目的語を必要としません。もし、自動詞の後ろに目的語的なフレーズを入れたい場合には必ず「前置詞+名詞」という名詞句が入ることになります。名詞句については後述します。
補語になる
名詞は補語になることもできます。補語とは「主語+動詞」あるいは「主語+動詞+目的語」にさらに、意味を補うために置かれる単語です。下の文章を見てみてください。
I am a student.(私は学生です。)
ここではstudentが補語となっています。主語である「I(私)」=「student(学生)」という意味を補う役割をしています。
My teammates elected me a captain.(チームメイトは私をキャプテンに選びました。)
この文章の場合、captainが補語です。目的語である「me(私)」=「captain(キャプテン)」という意味を補っています。このように、主語あるいは目的語を補うのが補語の役割です。
呼びかけで使う
口語の場合、名詞は呼びかけで使うことも多々あります。
Cathy, what do you think about it?(キャシー、それについてどう思う?)
上の例文ではwhat以降に主語+動詞の要素が含まれており、Cathyはなくても文章は成立しています。この場合は聞き手の注意を引くために名詞が呼びかけとして使われており、それほど強い意味はありません。他にも下記のように普通名詞が呼びかけに使われることもあります。
Driver, please turn right at the next corner.(運転手さん、次の角を右に曲がってください。)
Manager, can I get a day off tomorrow?(マネージャー、明日休みをとってもいいですか?)
複数の語がまとまって名詞の働きをする「名詞句」「名詞節」
ここまでは単語としての名詞について説明してきましたが、実は複数の語と組み合わさることで名詞としての働きを持つフレーズもあります。それらは文を構成する要素によって「名詞句」と「名詞節」の2つにわけられます。文章の中での役割は名詞と同じです。それぞれについて、下記で詳しく説明していきます。
名詞句:2語以上のSVを含まないまとまり
主語と動詞を含まず、2つ以上の語が集まって意味をなすフレーズを「句」と呼びます。それが名詞としての役割を果たす時、名詞句となります。例えば、
I love to dance.(私は踊ることが好きです。)
Her dream is to be a musician.(彼女の夢は音楽家になることです。)
to danceやto be a musicianは、toがto不定詞として働き「踊ること」「音楽家になること」という名詞句を作っています。また、以下の例文のように前置詞と名詞が組み合わさることで名詞句を作ることもあります。
We will arrive at the airport soon.(私たちは間もなく空港に着きます。)
at the airportが「空港に」という、arriveに対する名詞句です。
名詞節:2語以上のSVを含むまとまり
同じように複数の語が集まって名詞としての役割を果たし、その中に主語と動詞が含まれるものを名詞節と呼びます。節を含む文章は主節(文章のメインとなる節)と、従属節(メインの文章を修飾する節)があります。
I didn’t know that he was a doctor.(私は彼が医者だとは知らなかった。)
I didn’t knowが主節であり、「何を知らなかったのか?」の目的語にあたる部分をthat he was a doctorが説明しています。that以下が従属節です。
The problem is that the boss hasn’t shown up yet.(問題は社長がまだ来ていないということです。)
主節であるThe problem is(問題は~)に対し、that the boss hasn’t shown up yetが名詞節で文を説明しています。that以下は従属節です。
名詞と似ている「代名詞」「間投詞」「動名詞」
最後に、代名詞と間投詞、そして動名詞について詳しく解説していきます。この3つは名詞と非常に似た役割を持ち、しばしば英語学習者の混乱を招く品詞です。なんとなくで理解してしまうと、複雑な英語の文章を読んだり書いたりしている時に迷いが生まれるかもしれません。それぞれの品詞について、名詞との違いとその働きを確認しておきましょう。
代名詞:名詞の代わりになるもの
代名詞は読んで字のごとく、「名詞」の「代」わりになる語のことです。例えばIやweなどの人称代名詞、itやthatといった指示代名詞、allなどの不定代名詞などがあります。
I like movies.(私は映画が好きです。)
I(私は)が人称代名詞です。個人の名前の代わりを果たしてくれています。
Do you know that boy?(あなたはあの男の子を知っていますか?)
that(あの)が指示代名詞です。日本語でいう「こそあど言葉」の「こそあ」にあたります。
All of us were surprised at that news.(私たちはみな、そのニュースに驚きました。)
不定代名詞とは不特定のものや人を示す時に使う名詞です。allの他にother、some、any、one、bothなどがあります。
間投詞:感情等をあらわすもの
間投詞とは、短い言葉で喜怒哀楽を示したり、あいづちをしたりする時に使うフレーズです。日本語でも「わぁ!」「うわー」などと言うことがありますが、英語にもそれに相当する言葉があります。例えば以下のような言葉です。
Oops!(しまった!)
No kidding.(まさか)
Seriously?(ほんと?)
これらはそれ自体に強い意味があるわけではなく、言い方やジェスチャーなどでその時々の感情を表わします。
あるいはフィラー(filler)といって、言葉が出てこない時に「えっと」などと話をつなぐフレーズも間投詞と呼ばれます。
Well,(えっと)
You know,(~だよね、ほら)
カッコ内に訳例を示していますが、必ずしもこの通りの意味になるわけではなく、単に言葉と言葉の間を埋めるためのフレーズです。
動名詞:動詞を名詞化したもの
動詞はingをつけることで名詞にすることが可能です。「~すること」という意味になり、動詞や前置詞の後ろによく続けられます。
She likes singing.(彼女は歌うことが好きです。)
singにingがつき「歌うこと」という動名詞になっています。ちなみに、to不定詞も動詞を使って「~すること」を表すことができ、動名詞と似たような使われ方をします。
This water is suitable for drinking.(この水は飲むことに適している=飲料水です。)
Ken is really good at playing baseball.(ケンは本当に野球をすることが上手です。)
名詞と同じ役割を持ちますので、上記のように前置詞に続けることも可能です。
まとめ
今回の記事では、名詞の役割や文法上のルールについて細かく見てきました。名詞含め品詞の理解が深まると、より正確に英語の文章を読み書きできるようになります。しかし、こういった細かなルールは日常会話の中だとついついあいまいになりがちです。しっかり習得するためには、実践の場で繰り返し使用していくことが重要です。
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