英語の「受動態」作り方を丁寧にわかりやすく解説!

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英文法を学習していると「難しいな」と感じるポイントがいくつかあります。そのうちの1つが受動態ではないでしょうか。日本語にも受動態はありますが、日本語とは異なる英語ならではの使い方などがあり、修得するのに難しさを感じることがあります。

英語学習を始めたばかりの初心者・初級者で受動態がわからない、または復習したい人に向けて、英語の受動態とはどのようなもので、どう学習すればよいのか、ポイントをまとめてお伝えします。

英語の受動態とは?

まず、英語の受動態とはどのようなものなのか確認しておきましょう。受動態とは、「…される」という意味を表す用法です。英語では、「主語+be+動詞の過去分詞形」が基本の形。文法上、受身形とも呼ばれています。

日本語にも受動態はあります。「多くの人がこのペンを使う」に対し「このペン」を主語にすると「このペンは多くの人に使われている」となります。同じように「彼は多くの人に愛されている」「この車は弟によって壊された」のように、さまざまなシーンで日常的に受動態は使われています。

英語では、たとえばHe broke the car. (彼が車を壊した)に対して、The car was broken by him. (車は彼に壊された)が受動態です。

受動態が必要なシーン

英文には大別して能動態(active voice)と受動態(passive voice)があります。能動態とは主語が主体的にある動作を行う文章で、受動態はその動作がおよぶ対象を主語に置き換えた受け身の文章になります。受動態は能動態を何らかの理由で受け身にする場合に用いられます。

動作主がだれかわからないとき

動作主がだれかわからないとき、または言うまでもなく動作主がわかるときなどは、能動態ではなく受動態の使用が向いています。たとえば、「私の財布が盗まれてしまった」という文章があるとき、「わからない誰か」を主語にするのは自然な表現ではありません。My wallet was stolen. (私の財布は盗まれた)とすると自然です。

また、主語がWeとなる文章で、Weが誰であるか明確に特定しない場合は、受動態にすることが多くあります。たとえば「夜、私たちは星を見ることができる」というときは、Weを主語にせず、Many stars can be seen at night. というように表現します。

動作に焦点を当てたいとき

受動態が必要になるのは、目的語が主語になるときです。たとえば、「AがBを〇〇する」という文章があるとき、目的語であるBを主語にすると「BがAに~される」となります。

つまり、受動態にすると「〜される」という動作に焦点を当てた表現になるのです。たとえば、She was given a birthday present.という英文では、彼女が誕生日プレゼントをもらったことを強調する文章になります。プレゼントを贈った側に焦点を当てたければ能動態に、彼女がもらったことを強調したければ受動態にすることで微妙なニュアンスを伝えることができます。

話を一般的なものにしたいとき

話を「一般的には〜だ(〜と言われている)」という内容を表現したいときにも受動態は使われます。It’s said that〜やIt’s known that ~といった表現がそのケースです。

たとえば、「日本人は礼儀正しいといわれています」と表すとき、主語を定めるのは容易ではありません。そのような場合は、It’s said that Japanese are polite.と表現できます。It’s known that the plece has a connection with him. (その場所は彼ゆかりの地として知られています)という表現を使いましょう。

動作主を責めたくない・動作主を隠したいとき

話に客観性をもたせ、主語の意図をあまり強く押し出したくないときにも受動態が使われます。たとえば、学校側からの指示で生徒や保護者に何かをしてもらいたいときは、学校を主語にしてしまうと命令するような圧のある印象が強くなってしまいます。そういったときに役立つのが受動態。受動態を使ってソフトな言い方(婉曲表現)に変えてみましょう。

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話に客観性をもたせたいとき

主語を明確にせず、話に客観性をもたせたいときにも受動態を使います。たとえば、「朝の散歩は体に良い」という内容を伝えるとき、「私の母が朝の散歩は体に良いと言った」とするか「朝の散歩は体に良いと言われている」とするかで印象がまったく異なります。

具体的に誰が何を言ったのかを明らかにせず、一般的に広く知られている内容であれば、My mother says that a morning walk is good for your health.ではなく、Morning walks are said to be good for your health.と表現しましょう。

受動態が形容詞の役割を持つとき

受動態は、形容詞のように使われることもあります。例えば、I’m tired.(私は疲れています)と伝えたいとき。原形の動詞は「tire(疲れさせる)」という他動詞で、その過去分詞が「tired」です。人を主語にして形容詞として使うことが一般的な用法になっています。

同じように、I’m excited.も「excite(興奮させる)」 と動詞の過去分詞が使われていますよね。Pleased to meet you. (お会いできて嬉しいです)もPlease(喜ばせる)が形容詞として慣用的に使われている例です。

動作主を主語にすると主語が長くなりすぎるとき

日本語は最後に結論を述べることが多い言語ですが、英語は結論を先に述べる傾向が強い言語です。そのため、主語が長すぎる場合も受動態を使うことがあります。

たとえば、私はその映画に感動した」と伝えたいとき、その映画がいつどんな映画であるかなど詳細を修飾すると主語が長くなって、言いたいことが端的に伝わりません。

The movie which became a hot topic in 2020 moved me.このように主語が長い場合は、受動態を使ってI was moved by the movie which became a hot topic in 2020.とするのが一般的です。

受動態の作り方|能動態からどう変形させる?

受動態の作り方には、ルールがあります。受動態は能動態から作るのが基本で、いきなり受動態を作るのが難しい場合はいったん能動態を考えてから作るとスムーズです。

具体的に受動態をどのような手順で作ればいいのか紹介します。

1.主語を「物」に設定する

受動態の文をつくるには、まず目的語になっている物(名詞)を主語にします。受動態の主語になるのは、能動態の動詞の直後にある名詞です。

たとえば、The dog broke the vase. (犬が花瓶を壊した)は壊された花瓶を主語にして、The vase was broken by the dog. (花瓶が犬に壊された)と言い換えることができます。The vaseを主語にして受動態にすることで「壊されてしまった」という受け身の状態を強調できるのです。

同じように、人を主語に設定して受動態を作れます。He was injured by a stranger.も「見知らぬ人が彼を傷つけた」ではなく「彼は見知らぬ人に傷つけられた」とすることで彼が被害に遭ったことを強調できます。

2.主語にbe+動詞の過去分詞を付ける

受動態は主語に「be動詞+過去分詞形」をつけて作ります。これが基本形なので、しっかり理解しておきましょう。

be動詞の部分は、主語が単数か複数かによって、また現在形か過去形かによって変わります。過去分詞の基本形は、動詞の最後に「-ed」ですが、不規則変化動詞も多くあります。不規則変化動詞については1つひとつ地道に暗記していくしかありません。

中学レベルで学ぶ不規則変化動詞には、次のようなものがあります。

・become – became – become
・begin – began – begun
・break – broke – broken
・build – built – built

3.必要であればby+動作主を付ける

目的語に当たるものを主語に置き換えた結果、元の能動態の文章で主語だったものを「〜によって」という形で付け加えることがあります。

<能動態>A famous writer wrote the book. (有名な作家がその本を書いた)
<受動態>The book was written by a famous writer. (その本は有名な作家によって書かれた)

ただし、「〜によって」という部分を強調しなくても良い場合は、by+動作主は省かれます。English is spoken all over the world.は「世界中の人によって」とわざわざ言わなくても意味が通じるので、by+動作主はつけないのが通常です。

受動態の否定文

受動態は否定文にすることができます。作り方は一般的な否定文と同じで、be動詞の後にnotをつけます。助動詞が使われている場合は、「助動詞+be動詞+not+動詞の過去分詞形」にします。

<能動態>My mother cleans my room. (私の母が私の部屋を掃除する)
<受動態>My room is cleaned by my mother. (私の部屋は私の母によって掃除される)

<否定文1:be動詞の場合>My room is not(isn’t) cleaned by my mother.
<否定文2:助動詞の場合>My room can not(can’t) cleaned by my mother.

受動態の疑問文

受動態は疑問文にすることもできます。作り方はとても簡単で、be動詞があるので、be動詞を主語の前に出し、文末に「?」をつけるだけです。「be動詞+主語+動詞の過去分詞形~?」となります。

<能動態>She bought the book. (彼女はその本を買った)
<受動態>The book was bought by her. (その本は彼女によって買われた)
<受動態の疑問文>Was the book bought by her? (その本は彼女によって買われましたか?)

答えも簡単に作成できます。The bookが主語なので、答えの文の主語はItです。

<肯定>Yes, it is.
<否定>No, it isn’t.

Wh疑問文

疑問文には疑問詞「Wh-」がつくものがあります。Wh-がつく疑問文を受動態で作る場合は「Wh-+受動態の疑問文(be動詞+動詞の過去分詞形)?」という形になります。

What was made by her? (何が彼女によって作られましたか?)

When was the house built? (その家はいつ建てられましたか?)

Where is this notebook sold? (このノートはどこで売られていますか?)

Which flower is loved by her? (どちらの花が彼女に愛されていますか?)

さまざまな種類の受動態

これまで受動態の基本パターンを見てみましたが、受動態は使えるシーンが多いこともあり、実にさまざまな使い方があります。いろいろなパターンを覚えておけば、いざ使うときにとても便利です。

ここでは、受動態の具体的な使われ方について、変則的なパターンを含めて実例を交えながら紹介します。

過去(was/were+過去分詞)

過去を表す受動態の一番オーソドックスな作り方は「be動詞の過去形(was/were+動詞の過去分詞)」です。「〜された」という受け身の意味を表します。能動態の目的語に当たるものを主語にすることで、〜する側ではなく、〜される側にフォーカスすることができます。

He was loved by many fans. (彼は多くのファンに愛されていた)

The teacher was loved by many students. (先生は多くの生徒に慕われた)

また、行為を行った主体がはっきりしない場合にも受動態は便利に使えます。

My bag was stolen. (私のバッグが盗まれた)

The garage was destroyed last night. (ガレージが昨夜壊された)

進行形の受動態(be+being+過去分詞)

受動態は進行形にもできます。be動詞を使っているので作り方は簡単で「be +being+動詞の過去分詞」で作ることができます。意味は「〜されている」となり、何かをされている状態が継続中であることを示します。

<能動態>Someone is following us. (誰かが私たちのあとをつけている)
<受動態>We are being followed. (私たちは誰かにあとをつけられている)

<能動態>He is cleaning his room. (彼は部屋を掃除している)
<受動態>The room is being cleaned by him. (部屋が彼によって掃除されている)

完了形の受動態(have+been+過去分詞)

受動態は完了形にもすることが可能です。作り方は「have+been+動詞の過去分詞形」で、意味は完了形の3つの意味、「~された:完了」「~されたことがある:経験」「~されている:継続」のいずれかになります。

<能動態>I have done my homework. (私は宿題を終わらせた)
<受動態>完了:My homework has already been done. (宿題はもう終わった)

経験:I have been injured by a friend. (私は友人に怪我をさせられたことがある)
継続:I have been monitored all the time. (私はずっと監視されている)

助動詞の受動態(助動詞+be+過去分詞

受動態には助動詞をつけることができます。助動詞がつく場合は助動詞のあとは原形がくるため、受動態は「助動詞+be+動詞の過去分詞」となります。

<能動態>We can see many stars at night. (私たちは、夜に多くの星を見ることができます)
<受動態>Many stars can be seen at night. (夜には多くの星が見られます)

The job can only be done by him. (その仕事は彼でなくてはできない)

The work must be completed today. (その仕事は今日完成しなくてはならない)

What should be done in an emergency? (緊急事態の際になされるべきことは何か?)

使役・知覚動詞の受動態(使役・知覚動詞+O+動詞の原形)

使役動詞(make,have, let)・知覚動詞(see,hear,feelなど)を使った受動態も多く使われます。たとえば、「私は上司に嫌な仕事をさせられた」というような場合です。

使役・知覚動詞の受動態は、「使役・知覚動詞の受動態+to不定詞」で作ることができます。このとき、to不定詞が続く場合と〜ing(分詞)が続く場合とで、少し意味が違ってくることがあるので注意が必要です。

to不定詞が続く場合は動作の全部を知覚した場合、〜ing(分詞)が続く場合は動作の一部を知覚した場合になります。

<能動態>I made him cook dinner. (私は彼に夕食を作らせた)
<受動態>He was made to cook dinner. (彼は夕食を作らされた)

<能動態>She hear me play the piano. 彼女は私がピアノを弾くのを聞いた
<受動態>
I was heard to play the piano. (私はピアノを弾くのを彼女に聞かれた)
I was  heard playing the piano. (私はピアノを弾くのを彼女に聞かれた)

by以外の前置詞を使う受動態

受動態では「〜に〜される」という意味にする場合、「〜によって」はby〜で表すのが一般的です。ただし、一部の用法で前置詞にby以外を使うケースがあります。これは慣用的な用法なので、具体的な例文で覚えてしまうのが良いでしょう。

よく出てくる例は「be known to〜(~に知られている)、be known for〜(~で知られている)、be known as〜(~として知られている)」です。be known for〜は「ある特徴(理由)で知られている」、be known as〜は「〜として有名だ」という意味になります。

be known to〜

He is well known to Japanese Baseball fan. (彼は日本の野球ファンによく知られている)

The author is well known all over the world. (作者は世界中によく知られている)

be known for〜

She is known for his beauty. (彼女は美しさで知られている)

My brother is known for his great photos. (私の兄は素晴らしい写真で知られている)

be known as〜

She is known as the first president. (彼女は最初の大統領として知られている)

群動詞の受動態

受動態の応用編としてマスターしておきたいのが群動詞です。群動詞とは、複数の単語が集まって1つの動詞として働くものをいいます。

たとえば、take care of〜(〜の世話をする)、speak to〜(〜に話しかける)などは、受動態になっても be taken care of (by〜)、 be spoken to (by〜)とし、ofやtoを省いてはいけません。群動詞はバラバラにせず、ひとまとまりで覚えてしまうのが得策です。

<能動態>I take care of cats. (私は猫の世話をしている)
<受動態>The cat is taken care of by me. (その猫は私に世話をされている)

<能動態>A stranger talked to me. (見知らぬ人が私に話しかけてきた)
<受動態>I was spoken to by a stranger. (私は見知らぬ人に話しかけられた)

<能動態>Everyone laughed at me. (みなが私を笑った)
<受動態>I was laughed at by everyone. (私はみなに笑われた)

目的語が2つある動詞の受動態

英語には第4文型というものがあり、SVOOと目的語を2つ取ります。このような場合でも受動態を作ることができます。

I gave her a present. (私は彼女にプレゼントをあげた)

この文章には目的語が「彼女」「プレゼント」と2つあるので、どちらを主語にしても受動態を作ることができます。

<受動態1>She was given a present by me.
<受動態2>A present was given to her by me.

プレゼントを主語にした場合は「誰に」という表現が必要になるので、「to her」を追記しなければならないことに注意が必要です。機械的に受動態を作るのではなく、しっかり意味を考えて作文することがポイント。

まとめ

受動態は能動態と同じくらいよく使われるので、英語力をつけたいなら、しっかりマスターしておく必要があります。もっとも、be動詞を使用したシンプルな作文なので、一通り勉強してしまえば応用しやすい分野だといえます。暗記すべきことも多いので、地道にコツコツ勉強することが大切です。

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