ビジネススキルの基礎ともいえるのが、メールのマナーです。グローバル化が進み、日本で働いていても、海外とやり取りする機会も増えてきています。注意しておきたいのが、日本語と同じように英語でのビジネスメールにも、マナーが多くあることです。
今回は、その中でも信用問題にも影響する可能性のある迷惑メールがテーマです。この機会に、迷惑メールに入っていて見落とした時のお詫びフレーズや、迷惑メールに分類されないようなメールマナーを身につけましょう。
「迷惑メール」に関連する英語基本用語
迷惑メールは、IT技術が高まるにつれ巧妙になっており、企業ではあらゆる対策が講じられているとはいえ、個々の注意が求められています。
いざという時に冷静に対処するためにも、まずは迷惑メールに関連する基本用語を英語で確認しておきましょう。
迷惑メール
英語で「迷惑メール」を意味するフレーズは、いくつかあります。最もよく使われている表現が次の2つです。
・Spam mail(スパムメール)
・Junk mail(ジャンクメール)
ちなみに、「Spam」はランチョンミートの缶詰の「スパム」に語源があります。その始まりは、70年代にイギリスで爆発的な人気を誇り世界的にも有名なコメディ番組「空飛ぶモンティ・パイソン」のコント。「迷惑をかける行為」とそのコントで使われた「スパム」という言葉がリンクして、今や「迷惑メール」を指すようになったというのは面白いエピソードですね。
一方、「Junk」は「がらくた・ゴミ」を意味する単語で、イメージしやすいかもしれません。ファーストフードのような栄養バランスの悪い調理済み食品を「Junk food(ジャンクフード)」というのも、「Junk」が本来持つ意味を知れば理解しやすいですね。
この2つが同じ意味で幅広く使われている例は、「迷惑メールボックス」の英語表現からもわかります。
例えば、フリーメールサービスのGmailでは「Spam」、Appleのメールアプリケーションでは「Junk」がそれぞれ「迷惑メールボックス」として使われています。
ここで、「迷惑メール」に関連する英語の基本フレーズも覚えておきましょう。
「迷惑メールがきた」
I received a spam mail / a junk mail.
「迷惑メールボックスに入っている」
It was sent to my spam folder / junk folder.
「受信する=receive」と「送信する=send」という基本をおさえて、シンプルに伝えれば問題ありません。
詐欺メール
迷惑メールには、いろいろな種類があります。その中でも特に注意したいものの一つが、「詐欺メール」です。
英語では、「Scam mail(スカムメール)」や「Fraud mail(フロードメール)」といいます。「scam」も「fraud」も「詐欺」を意味する単語なので、直訳でしっかり理解できますね。
いざという時のフレーズとしては、次の表現を覚えておきましょう。
「詐欺メールは無視した方がいい」
You should ignore a scam mail / a fraud mail.
ここで、「〜した方がいい」という表現を「had better」と使うのは要注意です。一見、「should」の方が「〜べき」ということで、きつく聞こえるかもしれませんが、「should」にはアドバイスする「〜した方がいいよ」のニュアンスがあるんです。逆に「had better」は、「〜しないととんでもないことが起きるよ」的な脅しのニュアンスがあり、要注意の表現だとしっかり理解する必要があります。
なりすましメール
自分のアドレスから送られてくるメールのことを「なりすましメール」と呼びます。架空請求など詐欺メールの一種として注意が必要なものです。
そのような「なりすましメール」は、英語で「Email spoofing(イーメール・スプーフィング)」といいます。次のようなフレーズで使うことができます。
「これは、自分のアドレスから届いたからなりすましメールだ」
This is Email spoofing as it was sent from my own address.
ここでチェックしたいのが、「as」の使い方です。「=(イコール)」と同じ意味をもつ「as」は、時間・原因と結果・様態において「=」の意味を出すことができます。ここでは、原因と結果における「=」ということで、「〜なので」と「because」のような使い方をしています。
まずは、これらの「迷惑メール」に関する基本用語と使い方を覚えておきましょう。
ビジネスシーンで「迷惑メール」が引き起こす問題と対処法
どのようなシチュエーションでも、迷惑メールの対処法を誤ると、大きな問題になる可能性があります。
ここでは、迷惑メールが引き起こす問題のパターンとそれぞれの対処法について確認しておきましょう。
相手からのメールが「迷惑メール」に分類され見落とす
最も注意したいパターンが、相手からのメールが「迷惑メール」に分類されてしまうことです。
設定しているセキュリティの度合いによって、その理由は様々ですが、件名やメールアドレスによって「迷惑メール」に分類され、自動的に迷惑メールボックスに入ってしまうことがあります。
対処法としては、迷惑メールボックスを最低1日1回確認して誤分類が起きていないか確認することが有効です。もし誤分類されているものがあれば、そのメールアドレスをアドレス帳に登録しましょう。
自分からのメールが相手の「迷惑メール」ボックスに入る
こちらから送ったメールへの返信がなかなか来ない、という場合に考えられるのが、自分が送ったメールが相手サイドで「迷惑メール」として分類されてしまった可能性です。
対処法としては、メールの件名に注意することです。どのようなメールの件名が迷惑メールに分類されやすいのかについては、次項で細かくご紹介します。
メールの内容だけではなく、件名を含めたメールの送り方全般にまで留意することを、ビジネスシーンでは特に意識しましょう。
自分のメールアドレスから不審な「迷惑メール」が届く
自分のメールアドレスから届くメール「なりすましメール」は、とにかく開くことなくそのまま削除が大原則です。
開けたとしても、返信したり、文面にあるURLをクリックしたり、添付ファイルを開けたりすることは絶対にせず、削除しましょう。
もし会社から貸与されているメールアドレスで「なりすましメール」を受信したら、人事部もしくはシステム管理部などに報告してセキュリティの確認をすることが大切です。
「迷惑メール」に分類されないためのメールの作り方
ビジネスにおけるコミュニケーションで多用しているメールだからこそ、確実に相手に届くようにメールを作ることが大切です。
ここでは、相手サイドで「迷惑メール」に分類される理由になりやすい「メールの件名の付け方」の注意ポイントについて確認してみましょう。
シンプルすぎる件名は避ける
言語を問わず、ビジネスにおけるコミュニケーションの原則として「端的に要点を伝える」ことは重視されています。
ただメールの件名に関しては、端的すぎる、つまりシンプルすぎるものは、「迷惑メール」に分類される可能性が上がるといわれています。
例えば、
・Request (依頼・お願い)
・Inquiry (問い合わせ)
・Meeting (会議)
このような1単語しかないようなものは要注意です。シンプルに、かつ具体性がある件名を心がけましょう。
【重要】や【緊急】は避ける
急いで確認してもらうために、メールの件名に【重要】や【緊急】や、「!(エクスクラメーションマーク)」を使うことがあるかもしれません。
実は、[Important]や[Urgent]は迷惑メールによく使われる文言で、セキュリティの設定によっては迷惑メールに分類されてしまう可能性があります。
ここでも1単語で重要性や緊急性を表現せず、ある程度の具体性を含めるようにしましょう。
迷惑メールと誤解されないスマートなメールの件名を覚える
ビジネスシーンでは、毎日大量のメールのやりとりが行われています。相手の作業効率を考えて、スマートなメールの件名を作ることで、あなたの印象は格段に良くなります。
ポイントは、「シンプルに具体的に」まとめること。よく作るメールの内容を想定して自分の中で件名のテンプレートを準備しておくことをおすすめします。
例えば、
Action required: Meeting set-up (要対応:会議設定)
このように、返信や何らかのリアクションをしてもらうことが必要な内容であること、そして何の件かわかるようにしましょう。
Inquiry on the estimate of ~ (〜の見積もりに関する問い合わせ)
「inquiry(問い合わせ)」だけではなく、「何の」という点を含めましょう。
日頃から、迷惑メールに対する意識をもったメールマナーを心がけていれば、見落としだけではなく、相手へ送ったメールが誤分類される可能性を下げることもできます。
「迷惑メール」で問題が起きたときのお役立ち対処フレーズ
日頃から対策はしていても、迷惑メールで問題が起きてしまう可能性はあります。そういう時にも、冷静に適切な対処をすれば問題を最小限にすることができますね。
ここでは、迷惑メールで問題が起きてしまった時に使えるお役立ちフレーズを学んでおきましょう。
「迷惑メールボックスに入っていて見落としてしまいました。」
I overlooked your email as it was sent to the spam folder.
ここでは、「見落とす」を意味する「overlook(オーバールック)」という単語を覚えましょう。
「先日送ったメールを送ったのですが、確認していただけますか?」
Could you confirm if you have received the email I sent you on the other day?
「Please confirm」で始めてしまいそうですが、「please」には命令的なニュアンスがあるので、このように相手に確認をお願いするようなケースでは丁寧な表現「Could you」を使うようにしましょう。
「返信が遅くなり申し訳ありません。」
I apologize for not replying sooner.
「申し訳ありません」は「I’m sorry」だとビジネスシーンではカジュアルすぎます。ここは「apologize(アポロジャイズ)」という「謝罪」の言葉を使うようにしましょう。
「お手数ですが、再送していただけますか?」
I am sorry to trouble you, but could you please send it again?
ここでおさえたいのが「お手数ですが」というビジネスシーンで頻出のフレーズです。お詫びを伝える際に「I am sorry」はカジュアルすぎますが、言いづらいことを伝えるクッションとしては適しています。「trouble you」は「あなたに面倒をかける」という意味があり、「I am sorry to trouble you」はセットで使えるようにしておくと便利です。
「いただいたメールは迷惑メールに分類されたのかもしれません。」
I am afraid your email may have been marked as junk.
言いづらいことを伝えるためのクッション言葉「I am afraid」は決して「怖い」というニュアンスはなく、決して好ましくないことを相手に伝えている残念な気持ちを表現しています。
「may have +過去分詞」の形で、「〜したかもしれない」という過去の出来事を推測する表現になります。応用しやすいので、基本の形を覚えておきましょう。
まとめ
メールでのコミュニケーションは、お互いの表情が見えない上、一方的になる可能性があるので、相手に伝えたいことを正確に届けるための心遣いが必要です。
「迷惑メール」で、面倒な問題を起こさないように、メールを送るときも、受け取るときも注意をしつつ、今回ご紹介した英語での基本用語や便利フレーズを習得して、いざというときのために備えておきましょう。
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