イギリスにはどんなイメージがありますか?
紅茶、スコーン、パブ、サッカー、いろいろな「名物」があるイギリスは、紳士の国ともいわれており、ヨーロッパ諸国の中の唯一の英語圏でユニークな文化をもつ国です。
日本語では「イギリス=イングランド」という教え方がされていますが、実際はイングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの4つの国から成る連合王国で、「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)」が正式名称です。
もともとは別の国だった4つの国が連合したこともあり、イギリスで話されている英語には興味深い特徴がたくさんあります。
そこで今回は、イギリス英語と呼ばれている英語の特徴、イギリス英語とアメリカ英語の違い、イギリス英語のスラング、そしてイギリス英語が楽しめる映画やドラマをご紹介していきます。
これを機会に、いろいろな種類がある英語の世界を楽しんでみましょう!
かっこいい?気取ってる?イギリス英語の特徴
日本で生活していると英語にいろいろな種類があることを実感する機会はあまりありませんが、日本語に方言があるように、英語にも地域によってさまざまな違いがあります。
ここでは、イギリス英語の特徴について確認してみましょう。
イギリス英語は「世界で一番セクシーな英語」のイメージがある
ローカルシティガイド「Time Out」の調査結果によると、イギリス英語は「世界で一番セクシーなアクセント」といわれているんです。実際、イギリス英語は知的だけど、どこか気取った話し方というイメージをもつ外国人が多いようです。
興味深いのは、英語圏の国ではそれぞれの英語に対して特定のイメージがあるようです。実際に耳にしたことがあるイメージには次のようなものがあります。
・アメリカ:早口・大げさ
・カナダ:田舎っぽい
・オーストラリア:抑揚がない
あくまで個人的な感覚もあると思いますが、いろいろな違いがあると知ると、各国の英語を聴き比べたくなりますよね。
イギリス国内にもいろいろな訛りがある
先述の通り、イギリスは4つの国から形成されているということで、イギリス英語とひと言ではまとめられないくらい、地域ごとに話されている英語は異なります。
日本で大阪と山形では方言が全く異なるのと同じように、スコットランドとイングランドでは同じイギリス英語といっても、それぞれ訛り(アクセント)があります。
社会階級・教育レベルの判断材料にもなる
イギリス英語の特徴として、話す英語によって社会階級や教育レベルを判断する人が多いということが挙げられます。
これは、イギリスでは階級と教育レベルは連動すると考えられており、住むエリアは階級によって分かれていると考えられます。例えば、ロンドンの下町といわれる「イーストエンド」を中心に話されている「コックニー」は、労働者階級かつ高等教育を受けていない人と判断されます。
これが原因で、就職のためにアクセントを矯正する人も少なくないと聞きます。現代でも、根強く残る階級に対する意識が、イギリス英語の多様化にあらわれているのかもしれませんね。
イギリス英語とアメリカ英語の違い
イギリス英語とあらゆる場面で比較されることが多いのが、アメリカ英語です。日本の学校教育では、アメリカ英語に準拠した英語が指導されているので、日本人の私たちにとっては驚きが多いかもしれません。
ここでは、イギリス英語とアメリカ英語の代表的な違いについてまとめて確認してみましょう。
発音編
なんとなくアメリカ英語の方が早口に聞こえる…という人もいるかもしれませんが、イギリス英語とアメリカ英語の「r」と「t」の発音の違いがその要因といえます。
「r」の音
学校で「舌を巻いて!」と教えられた人も多いであろう「r」の発音。
イギリスでは、子音の前にある「r」や単語の最後の「r」は発音しません。例えば、「car」は「カー」と日本語のカタカナ通りの発音になるということです。
一方、アメリカ英語では、「r」は舌を少し押し上げるような感じで、しっかり発音する必要があります。少しこもったような独特な音ですね。
「t」の音
「water」の発音がよく例として挙がります。
イギリス英語では、「t」の音はしっかり発音しますが、アメリカ英語では、「ラ」に近い、流したような音で発音しています。
「water」はイギリス英語では「ウォーター」と「t」の音がはっきり出ますが、アメリカ英語では「ワラー」のように「t」の音が流れてしまいます。
口の中で流すように話す発音が、アメリカ英語のスピード感を感じさせているともいえます。
単語編
イギリスで語学学校に行くと、日本で学んだ単語が使われていないことに気付きます。これはアメリカ英語との違いが原因です。
実際、単語の表記や使い方が異なることから、後ほどご紹介する「ハリー・ポッター」シリーズは、アメリカとイギリスで別のバージョンがあるほどです。
スペリングの違い
一般的に5つのルールで違いを分類できますが、例外もあり、イギリスとアメリカでは同じ意味の単語でもスペリングが異なるものが意外に多くあります。
基本の5つのルールは、
1. イギリス英語の語尾「ise/yse」はアメリカ英語では「ize/yze」
例:イギリス realise / アメリカ realize
2. イギリス英語の語尾「ce」はアメリカ英語では「se」
例:イギリス licence / アメリカ license
3. イギリス英語の語尾「re」はアメリカ英語では「er」
例:イギリス theatre / アメリカ theater
4. イギリス英語の語尾「our」はアメリカ英語では「or」
例:イギリス colour / アメリカ color
5. イギリス英語の語尾「ogue」はアメリカ英語では「og」
例:イギリス dialogue / アメリカ dialog
例外では、イギリス英語の「programme」がアメリカ英語で「program」というものもあります。
単語そのものの違い
誤解を起こしかねないのが、単語そのものが違うケースです。特に階数の数え方の違いなどは、海外旅行でも耳にする可能性があるので、要チェックです。
代表的なものに、次のようなものがあります。
「階数」
イギリス:1階2階 Ground floor, First floor…
アメリカ:1階2階 First floor, Second floor…
「エレベーター 」
イギリス:lift
アメリカ:elevator
「ポテトチップス 」
イギリス:crisps
アメリカ:chips ※chipsはイギリスではポテトフライを意味します
「地下鉄」
イギリス:underground / tube
アメリカ:subway ※subwayはイギリスでは地下歩道を意味します
文法編
驚くことに文法にも違いがあります。
日本ではアメリカ英語を指導していますが、この文法に関しては少し混ざってしまっているようです。
現在完了の使い方
誰もが学生時代に苦手意識をもったであろう「現在完了」ですが、アメリカでは使われていません。厳密には使われなくなったそうです。
イギリスでは、現時点と過去の時点との間にある出来事は現在完了、アメリカでは過去のことは全て過去形とシンプルな考え方ができます。
have gotの表現
イギリスでは、とにかく現在完了をよく使います。その一例として、次のような表現があります。
Have you got a pen? (ペン持ってる?)
これは、アメリカでは
Do you have a pen?
と言います。
イギリス英語で使っている「have got」は、アメリカ英語の「have」と全く同じ意味です。
イギリスで日常的に使われているユニークなスラング
イギリス英語には、「イギリスっぽい」と感じるユニークなスラングがたくさんあります。
ここでは、日常的に頻用されているイギリス英語のスラングをご紹介します。スラングには、使う場面に注意が必要なものもあるので、どのような場面で使えるのかを理解してから使うようにしましょう。
「Lovely」
「かわいらしい」という意味の単語ですが、イギリスでは「いいね」というニュアンスでも使われています。
例えば、お店でお釣りなしで代金を支払ったとき、嬉しい報告をしたとき、お誘いを受けたとき、などなど、「OK」や「Nice」と同じ意味で「Lovely」ということができます。
男女問わずカジュアルに使えるスラングです。
「Rubbish」
「ゴミ」という意味をもつこの単語は、イギリスでは「つまらない」「くだらない」というニュアンスでも使われています。
That’s rubbish! (バカげてるね・くだらないね)というように使いますが、強い表現なので、親しい人との間だけで使うようにしましょう。
「Fancy」
「高級な・おしゃれな」という意味があるこの単語を、イギリスでは動詞で「〜が好き・欲しい」という意味でも使っています。
例えば、
Do you fancy a drink?(何か飲み物いる?)
I fancy him.(彼のこと好きなの)
という使い方ができます。
イギリス英語が楽しめるオススメ映画・ドラマ
実際にイギリス英語を体感したいのなら、イギリスに実際に行ってみるのが一番ですが、もっと簡単にイギリス英語の世界に浸ることができるのが映画やドラマです。
ここでは、イギリス英語を堪能できる代表的な映画やドラマをご紹介します。
「ハリー・ポッター」シリーズ
イギリス人作家J・K・ローリングによる児童文学で、1990年代のイギリスを舞台に魔法使いの少年の学校生活や闘いを描いています。2001年に映画版1作目が公開され、それ以降8作品が上映され、世界中で大人気の作品となりました。
ハリー・ポッターシリーズでは、イギリス英語の特徴である「階級によるアクセントの違い」を体感できます。
例えば、主人公のハリー・ポッターは優秀な血筋の両親から生まれたことから上流階級寄りの英語を話していますが、ホグワーツ(魔法学校)の用務員やバスの乗員はコックニーといわれるロンドンで使われている労働者階級のアクセントを話しています。
「ブリジット・ジョーンズの日記」
アメリカ人女優レニー・ゼルウィガーがイギリス人女性を演じているこの作品では、典型的でイギリス英語の特徴をしっかりおさえたお手本のようなイギリス英語を楽しめます。
恋愛・ダイエットなど、誰にでも共感できるような物語の展開が、比較的追いやすいテンポの英語で展開されていくので、楽しみながらイギリス英語とイギリス文化を体感することができます。
「シャーロック」
イギリス国営放送BBCで放映されていたドラマということもあり、RP(Received Pronunciation)と呼ばれている容認発音というイギリス英語の標準語が話されています。
名探偵シャーロック・ホームズの現代版で、「コンサルタント探偵」として難事件を21世紀の最新技術を駆使して解決するという物語です。スマートフォンやインターネットなどを駆使するということもあり、「今のイギリス英語」を学ぶことができます。
まとめ
いろいろな特徴をもち、お国柄がしっかり反映されているイギリス英語。
イギリスで話されているどの訛りでも、イギリス英語であり、世界中で問題なくコミュニケーションをすることができます。
日本で英語を勉強していると、「正しい英語」にこだわりをもってしまう人もいるかもしれませんが、大切なのは「伝えようとする気持ち」です。
あらゆる違いがあることを知ることで、英語の奥深さを体感するとともに、今あなたが話している英語に自信をもつことができます。
是非一度イギリス英語に触れて、そのユニークさを体感してみてください。
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