「気まずい沈黙」を回避するには?プロの通訳が使う英会話の黄金テクニック3選

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英語で発言を求められ、話し始めたはいいものの、会話の途中でちょうどいい単語が思い浮かばずフリーズ状態に。必死で頭の中の日本語を英語に置き換えようとしても、肝心なときに該当する単語が出てこないまま、一秒、また一秒と時間が過ぎていく……皆さんは、こんな経験ありませんか?

英語でコミュニケーションするときに、何よりも避けたいのが「気まずい沈黙」です。特に、英語圏の国々では、会話中の沈黙が否定的なメッセージとして解釈されてしまう場合もあるため、注意しなくてはなりません。

このような沈黙を避け、自然にかつ即座に相手の言葉に反応して会話を繋げていくために使えるのが、プロの通訳者が実践しているテクニックです。瞬発力が命である通訳の現場では、知らない単語や表現をその場で調べることは絶対にできません。瞬時に判断し、言葉を発していく必要があります。

今回の記事では、とっさの言い回しが出ないときに使える万能表現や時制一致の回避など、プロの通訳者が現場で使っているテクニックを厳選してご紹介します。

その1:万能動詞を使いこなす!

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「弊社の技術に磨きをかけるべく……」(あれ、「磨きをかける」って英語でどう言えばいいんだろう?)

英語を話す上で「気まずい沈黙」を引き起こす最大の原因が、「センテンスの核となる動詞が見つからない!」というトラブル。ビジネス英会話では特に、主語となる「名詞」は仕事上の知識でカバーすることができても、述語となる「動詞」の知識がそれに追いつかず、発言がショートしてしまうような瞬間によく見舞われます。

そんな時に備えて、あらゆる文脈や場面で使える「万能動詞」を覚えて、使いこなせるようになると、相手の問いかけに流暢に対応するための瞬発力が身につきます。通訳者は万能動詞を数多く獲得し、それらをうまく使いこなすことで現場を切り抜けているのです。

今回は、具体例として3つの動詞表現をご紹介します。

万能動詞1:“improve”

“improve” は「改善する・改良する」の他、「向上する、上達する、価値を高める」という意味がありますが、とにかく「何かが良くなる」というときに使うことができる万能動詞です。

たとえば、「発展する」「向上する」「良くなる」というプラスの変化を表現したいときには“improve”という単語を使うことでこれら全てを網羅することができます。

<例>
・We should improve our technology.
(我々の技術を発展させていかなければならない。)
・His English has improved.
(彼の英語は向上した。)
・Her condition has improved.
(彼女の体調は良くなった。)

万能動詞2:“suffer from〜”

“improve”がポジティブな変化を表す時に使える万能動詞だとすれば、「苦しむ」「悩む」「見舞われる」などのネガティブな変化・経験を伝える動詞はなんでしょうか?

こういう時、それぞれの日本語に当てはまる動詞をしらみ潰しに頭の中で探していては、大きな時間のロスになってしまいます。そこで使える万能表現が“suffer from”。何か困った事態を表現したい時に、瞬時にこの動詞を選ぶことができれば、たいていの場合において通用する便利なフレーズです。

<例>
・Our company suffered from a labor shortage.
(人手不足に悩まされた)
・He suffers from a health problem.
(健康問題を抱えている)
・The campaign suffered from a poor reputation.
(悪評に曝された)

万能動詞3:“put up with〜”

「我慢する」を英語にするときには、“stand”,“be patient with”,“endure”,“tolerate”など、使えるフレーズが数多くありますよね。これらには、それぞれ細かなニュアンスの違いがあります。

たとえば、“stand”と“endure”を見てみましょう。すぐ終わるのはわかっているが、我慢することができないという短期間の不快感を表すときに使うのが“stand”です。これに対して“endure”は、不快な状況・苦痛に長時間耐えるというニュアンスを含んでいます。

・I cannot stand silence.
(私は沈黙に耐えられない。)
・We endured many hardships during the war.
(私たちは戦時中、多くの苦難を耐え抜いた。)

たとえこのような違いを理解していたとしても、実際の会話の中では、それを即時に判断し、文脈により使い分けていくことは大変ですよね。そこで使えるのが、“put up with〜”という表現です。どんな場面でも使える万能動詞なので、使い分けを気にする必要がなく、汎用性が高いです。

・I cannot put up with him.
(彼には我慢できない。)
・I have to put up with the hard work.
(きつい仕事に耐えなくてはならない。)

このように、いろんな文脈やシーンで使うことができる万能動詞を覚えておくことで、言葉を選ぶ手間を省き、瞬発力を向上させることができるのです。

その2:ややこしい“時制の一致”を回避する!

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中級以上の英語学習者でも頭を悩まされるのが、「時制の一致」です。最初は過去形で始まったのに、話し始めていくと現在形になってしまったり、そこからまた過去形に戻ったり…と、みなさんもそんなご経験はありませんか?

実は、通訳者はこの問題をうまく切り抜けるために、時制の一致を回避する得意技を使っています。今回は、よく使われる表現を2つご紹介しますね。

時制一致の回避テクニック1:“according to〜”

会話の中で、例えば“She told me that…”と言い始めた場合、that 以下の文章は時制の一致を受け、過去形で表現していく必要がでてきます。短い文ならばまだしも、長い文ともなってくると、時制の一致を意識し続けることが難しく、混乱してしまうことも多いです。

そこでよく使われる時制の回避テクニックが、「according to〜」(〜によれば、〜の言うところによれば)です。

<例1>
She said that he had been an English teacher.
According to her, he was an English teacher.
(彼は英語の先生だったと彼女は言った。)

「英語の先生だった」とする場合、that以下の時制は、過去形“was”ではなく過去完了形の“had been”にする必要があります。しかしながら、ここで「according to〜」 を使うことにより、時制の一致を回避して、言いたいことをシンプルな時制で表現することができるようになります。

例をもうひとつご紹介しておきますね。

<例2>
Our manager said that he would resign from his position.
According to our manager, he will resign from his position.
(課長は、辞職すると言った。)

この例文でも、助動詞の“will”,“would”にまつわるややこしい時制の一致を、that節を用いないことによって回避しています。このように、文法的に正確な表現を心がけようとモタモタしてしまう時間を避けるために便利な表現は、ビジネス英会話にも応用することが可能です。

時制一致の回避テクニック2:“Is it right?”

「〜ですよね?」や「〜ではないですよね?」というように、相手に軽く念を押したり、同意を求めたり確認したりする時に使うのが、以下のような「付加疑問文」

・You are a member of this project, aren’t you?
(あなたはこのプロジェクトの一員ですね。)
・He was not involved in the decision, was he?
(彼はこの決定に関わっていなかったですよね。)

このように、付加疑問文は前の文の形に合わせ、肯定文には否定形の付加疑問を付けます。また、前の文の時制が現在形なら、付加疑問でも現在形を使わなくてはなりません。そのため、実際の会話で使おうとするとなると、時制の一致や肯定形・否定形への変換に頭を使う事になり、とても面倒です。そこで使える万能表現が「Is it right?」です。

たとえば、先ほどの例文を「Is it right?」を使って表現してみると、次のようになります。

・You are a member of this project, aren’t you?
→You are a member of this project. Is it right?
(あなたはこのプロジェクトの一員ですね。)

・He was not involved in the decision, was he?
→He was not involved in the decision. Is it right?
(彼はこの決定に関わっていなかったですよね。)

ご覧の通り、“Is it right?”を付加疑問文の代わりに用いれば、時制の一致や肯定形・否定形などを考える必要がないため、長い文章や複雑な構文になったときにも間違えることがなく、安心です。

その3:長い単語を敢えて選び、時間を稼ぐ!

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通訳者は、同じ意味を持つ単語の中から「長い単語を敢えて使う」ことで、時間稼ぎをするテクニックも身に付けています。たった1〜2秒の差でも、大きな違いを生み出すのが通訳の現場。長い単語を発している間に、瞬時に言葉を探して、会話を繋げていくのです。

例えば、「一生懸命に、熱心に」と表現したいときに使える副詞は数多くありますが、身近でシンプルな表現としては、“hard”を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか? “eagerly”という単語なども使えますが、時間稼ぎをしたい場合は違います。このような時、通訳が好んで使う表現のひとつが“enthusiastically”です。

・Your team members work hard.
・Your team members work eagerly.
・Your team members work enthusiastically.
(あなたのチームメンバーは一生懸命働いている。)
※【発音】eagerly [íːgərli]/enthusiastically[enθjùːziǽstikəli]

ぜひ上の例文を声に出して読み、その違いを感じてみてください。このように、長めの単語を敢えて使うことで、うまく時間稼ぎを行うことができるのです。

おわりに

プロの通訳者が実践しているテクニックをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか? ビジネス英会話でも、正確な表現をピンポイントかつスピーディーに選べるようになることによって、コミュニケーションがグッと楽に感じられるはずです。皆さんも、これらの黄金テクニックをご自身の会話にうまく取り入れ、英語の瞬発力を鍛えていきましょう!

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