子どもはママが大好き。いちばん大好きで身近な人であるママが英語に対してポジティブな感情を持ち、英語でほめることで、子どもにも「英語=うれしいこと」というプラスの感情が生まれます。『子どもを「英語でほめて」育てよう』の著者、カリン・シールズ、黒坂真由子の二人から英語子育てのヒントをお届けします。
大切なのはママのサポート
子どもに英語をマスターさせるためには、できるだけ早くはじめたほうがいいと思われています。もちろん早く始めるのは悪くはありません。でも、それだけではないということが、最近の研究で明らかになりつつあります。
2013 年の米ブラウン大学の研究や、2011 年に行われたスペイン語を習う赤ちゃんにおける研究では、「子どもが言語を習得するときに大切なのは、周りの環境である」という結果を発表しています。
特に後者の研究では、「学習中の人との関わり合いが、その子の言語習得能力を高めた」と結論づけています。子どもに言語を習得させるなら、単にDVDや音の鳴るおもちゃを与えるのではなく、人とのコミュニケーションが必要だというのです。
「人との関わり合い」ということを、子どもの目線で考えてみましょう。一番子どもが関わりたい相手は、誰でしょうか? それは、多くの場合母親です。母親こそ、子どもが世界中で一番話したい相手、一番必要な人ですよね。着替えにも、寝るときにもママの助けがいるように、英語の習得においても、同じようにママの助けが必要なのです。
「ママを喜ばせたい、ママと同じものが大好き」という気持ちこそ、子どもが英語を吸収する原動力となるのです。
英語好きなママの子は、英語が大好きになる
「私は英語が苦手だし……」というママでも大丈夫。子どもの英語に対する影響を考える上で、英語が流ちょうである必要はありません。英語に対して、ポジティブであること。それが大切なのです。
では、何をすればいいのでしょうか。まずは母親自身が英語を楽しんでいる姿を見せることです。教える必要はありません。それなら、できそうではないですか?
実際に、ママが英語を習っている姿を見て「英語を習いたい!」と言い出す子は多いのです。
もう一つ、言語習得に何が大切かを教えてくれる研究があります。
ボノボをご存知でしょうか。コンゴに生息し、遺伝子的に人間にとても近いといわれている類人猿です。ボノボの研究者であるSusan Savage-Rumbaugh氏は、『TED talk』の中で次のように話しています。
「ボノボに言語を習得させるために、一番大切なことは、『教えてはいけない』ということです。大切なのは彼らの周りでただ話すこと。自分にとって大切と思う人が言っていることを理解したいと思うこと、これこそが言語習得の原動力となるのです。一度その能力を身につけると、彼らは自然に、そして自由に言語(英語)を扱うようになります」
大切な人が話している言葉を理解したい、という気持ちはボノボだって同じ。ボノボにだってできるのですから、私たちだって。
ママが子どもの周りで、英語の歌を歌う、英語を聞く、英語を学ぶ、英語を話す。こんなことが、子どもの英語に対する興味をぐっと引き出すことにつながっていくのです。
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